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アルパカ通信 幻冬舎部

2022.09.27 公開 ツイート

彩瀬まる『かんむり』/清水ミチコ『カニカマ人生論』―豊かな読書体験をお約束する2作 アルパカ内田/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
清水ミチコ『カニカマ人生論』

「芸はプロだけど、生き方がアマチュア」。ジァン・ジァンで出会い、才能を見出してくれた永六輔さんにそう言われた清水ミチコさんは、文章の芸も、一流。本書はそんな清水さん初めての「自伝エッセイ」。唯一無二のエンターテイナーは、いかにして出来上がったか。面白くも、箴言に溢れた一冊です。

一方こちらは、人気タレント・清水ミチコさんのエッセイ。

岐阜県で自営業の実父と継母(この母親との愛情あふれる関係がとても素敵)に育てられ、やがてテレビ等で活躍するまでがつづられている。

今の活躍ぶりからは想像できないが、子どものころの著者は、小学校に入ってもハキハキしている周囲の子たちに馴染めない……、高校受験もプレッシャーに負けて失敗。やがて東京に出てきて舞台やテレビに出るようになっても、誰かにちょっとダメ出しされては落ち込む日々。さらには、ある番組の収録の前日に、どうしてもネタが自分では面白いと思えず、プロデューサーに降板を直談判するような始末……。

書かれていることの8割(たぶん)は、失敗した経験や、自分がダメだったというエピソードばかり。でも、そんな失敗もすべて明るく笑えてしまうのが、本作の面白さであり、筆の巧みさである。

タイトルにあるカニカマとは、高級食材のカニのいわば「モノマネ」食品。「本物の『カニ』の持つ旨味こそありませんが、B級グルメだからこその味わいや、ちょっと情けないテイスト」なのだ。とにかくゆるく読めるのがいい。このエッセイ、読むほどに(噛みしめるほどに)その旨さがしみ出してくるのだ。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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