

つげ義春の傑作漫画に「李さん一家」という作品がある。郊外のボロ屋に引っ越してきて、これからの悠々自適な生活を空想する主人公の家に、フワッとどこからともなくやって来て住み着いてしまう一家の話だ。この一家のムードが実に良い。何をしているかわからない飄々とした李さん。千葉出身とだけ紹介される無表情でグラマラスな妻、栄養失調気味な娘とそのお古を着ている弟。彼らは特に主人公と交流するわけでもないが、主人公の育てたきゅうりは勝手にもいで行く。こうしたフワッとやって来る者たちが入り込む隙間が1960年代までの日本には沢山あったのだろう。
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礼はいらないよ

You are welcome.礼はいらないよ。この寛容さこそ、今求められる精神だ。パリ生まれ、東大中退、脳梗塞の合併症で失明。眼帯のラッパー、ダースレイダーが思考し、試行する、分断を超える作法。
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