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Xデイ到来 資産はこう守れ!

2022.08.12 更新 ツイート

世界のインフレ退治の流れにのれない日銀 藤巻健史

円安、物価上場はこれからが本番――藤巻健史氏の話題書『Xデイ到来 資産はこう守れ』で詳らかにされた、いまそこにある危機。長く続いたデフレの時代が終わり、世界でインフレ懸念が生じているいま、日本はどこへ進むのか。個人資産をどう守るのか。8月特集「日本は本当に沈むのか」、先行き不安な現実を直視することからのスタートです。

*   *   *

膿をためこむ日銀

BOE(英国中央銀行)は2021年12月に資産買い入れを止めて、政策金利を12月、2022年2月、3月、5月、6月と5会合連続で0.25%ずつ引き上げ、1.25%としました。3月からは保有資産の圧縮も始めています。

米FRBはBOEよりは遅れたものの、3月に資産買い入れを終え、政策金利の引き上げを始めました。5月の会合でも、0.5%の引き上げ、6月の会合では0.75%とおよそ27年半ぶりとなる大幅引き上げを行い、1.5~1.75%としました。さらに6月からは保有資産の圧縮を開始しました。

ECB(欧州中央銀行)も4月14日に、テーパリング(資産購入額の縮小)を7月から9月の間に完了させると発表しました。それ以降はバランスシートの拡大は終わることになります。その後、10年余りで初の利上げを7月に行うと予想されています。6月16日にはスイス国立銀行(中央銀行)が大方の予想に反し、およそ15年ぶりに0.5%の利上げをし(マイナス0.75%からマイナス0.25%に)、市場関係者に驚きを与えました。

どの中央銀行も、インフレ抑制のために金融引き締めを急ぐ姿勢を強めているのです。

ところが、黒田日銀だけは断固「金融緩和継続」を主張しています。主張するだけでなく、2022年3月の期末前4日間は債券指値オペを連続して行い、また4月28日の金融政策決定会合では、「円安でも緩和を維持する。そのためにも指値オペを毎日実施する」とも決め、金融緩和継続に極めて強い意志を表明したのです。

そのような環境の中で5月21日現在、米国10年債の金利は2.78%、英国10年債は1.89%。日本同様に長年マイナス金利だったドイツ国債(2021年8月にはマイナス0.5%)の10年物の金利も今や0.94%にまで上昇しています。

一方の日本国債10年物の金利は0.23%です。

(写真:iStock.com/gyro)

世界中の長期金利が上昇しているときに、日銀だけが「指値オペで」0.25%に抑えようと思っても、しょせん無理です。円安を助長するだけで、日銀は膿をより一層ため込む結果となり、いずれ力尽きると思います。

日銀は「通貨安」宣言をした

日銀は、2022年3月の期末前4日間は「債券指値オペ」を連続して行いました。さらに4月27~28日に開いた金融政策決定会合で「明らかに応札が見込まれない場合を除き、指値オペを毎営業日オファーする」と決めたのです。

通常の「債券買いオペ」とは、購入金額を決め、高い利回りを提示したところから順番に国債を日銀が買い取るというもので、主目的は市場にお金を供給することです。

しかし「債券指値オペ」とは、決められたレートで無制限に国債を買い取るぞというものなのです。絶対にそのレートより金利を上昇させないという、日銀の強い意志を表しています。なんとしても金利を抑制したい、金利が上がるのを阻止したいという断固とした意志が見てとれます。

今回は「新発10年国債を0.25%で買う」という指値オペでした。3月30日には9年ぶりの2兆3000億円という巨額の国債買いオペをも行ったのです。9年ぶりとは、黒田総裁の就任直後以来ということです。

黒田総裁は就任直後、デフレ脱却のために「戦力の逐次投入はしない。短期勝負」と大規模な買いオペを行い、「黒田バズーカ」と命名されました。そして今回、再び当時と同規模の額である買いオペを行ったのです。

さらには、そのオペを4月28日以降は毎営業日やるというのです。他国が金利引き上げ体制に入っているとき、債券指値オペを実施し、また毎営業日行うとは、諸外国との金利差拡大を容認するという意味で、日銀の「通貨安」宣言に等しいと思います。

同時に、「いかに日銀の財務状況が危機的状態にあるか」を世界に公言したようなものです。今後、日銀が0.25%に固執すればするほど、世界は、なぜ日銀はそんなに必死になって10年国債の金利0.25%を死守しようとするのだろうと不思議に思い、分析を進めるでしょう。

「0.25%を超えると日銀に危機到来」と自ら苦痛の叫びを世界に発信したようなものです。絶対に弱みを見せてはいけない中央銀行が弱みを見せたのですから、円は何らかの機会に投機筋から売り込まれる可能性があると思います。

関連書籍

藤巻健史『Xデイ到来 資産はこう守れ!』

インフレになっても、金利を上げられない日銀。 円安、物価上昇はこれからが本番。 ※Xデイ=日本経済が大混乱に陥る日 今、世界では長く続いていたデフレの時代が終わり、インフレ懸念が生じている。インフレが進むと国民の生活が苦しくなるため、各国の中郷銀行は金利を引き上げて、インフレを抑えようとしている。 ところが、世界一の借金大国である日本は、金利を上げると、保有国債の金利も上がって評価損が出てしまうため、金利を上げることができない。そのため日銀の黒田総裁は、3月下旬から10年国債の0.25%での「指し値オペ」を始める始末。 アメリカは徐々に金利を上げていくから、日米の金利差は開く一方で、ドル高円安も止まらなくなる可能性も。 著者は、以前から警告してきたXデイ(日本経済が大混乱の陥る日)が近いと予測。 この先、日本経済はどのように崩壊しているのか? 個人はXデイから自分の財産をどのように守ればいいのか? 今こそ知っておくべき知識・情報が詰まった、日本国民必読の書。

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Xデイ到来 資産はこう守れ!

インフレになっても、金利を上げられない日銀。
円安、物価上昇はこれからが本番。

※Xデイ=日本経済が大混乱に陥る日

金利をあげてインフレを抑えようとしている他国に比べ、日本は、保有国債の金利も上がって評価損が出てしまうため、金利を上げることができない。日米の金利差は開く一方。ドル高円安も止まらなくなる可能性も。個人はXデイから自分の財産をどのように守ればいいのか? 日本国民必読の書。

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藤巻健史

1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表などを歴任し、東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。2000年にモルガン銀行を退職後、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。現在(株)フジマキ・ジャパン代表取締役。東洋学園大学理事。

 

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