
みなさんは「孤独死」という言葉を聞いて、どのようなイメージを持たれますか? うらやましいですか? うらやましくないですか?
幸せな死とはいったい何なのか。そんな根源的な問題を考えるため、幻冬舎大学では2021年3月3日、森田洋之さんと大脇幸志郎さんという、異色の経歴をもつ2人のドクターをお招きして、オンライントークイベントを行いました。
森田洋之さんの新刊『うらやましい孤独死――自分はどう死ぬ? 家族をどう看取る?』(三五館シンシャ発行/フォレスト出版発売)の内容を軸に、コロナ禍の今だからこそ、人を幸せにする医療・介護について、「理想の死」について、語りあっていただきました。イベントレポートをお届けします。

イベント冒頭、森田さんは最新刊の出版経緯を説明。
「病院で多くの人に看取られながら最期を迎えたとしても、うらやましく思えないときもある。一方でこれまでの経験で、孤独死だったとしてもうらやましいと思える事例がいくつもあった。高齢になるにつれてみんな恐れている身近なテーマ。うらやましい理由は何かを深堀りした」
また、新型コロナ禍で医療崩壊が叫ばれるなか「たしかに現場では医療が逼迫しているかもしれないが、本質ではない。もっと大きな問題が別にある」と問題提起をされました。
大脇さんが、
「医療や介護の質、量ともに充実していないと、うらやましい孤独死は実現できないのでは」
と問いかけると、森田さんは、
「質や量以上に、体力や認知力の衰えていく過程に周りが伴走していないことが問題。老いていく過程を共有することが大事。家族も医者も老いの過程を、時間をかけて共有していくうちに意見が擦り合わさっていく。そこで醸成される共有意識が大事」
と応じるなど、対談は非常に盛り上がりました。
イベントでは、参加者の方々からの質問にご回答いただく時間も設けました。
「生き方や死に方に対する主体性がない人もいる。そういう場合は、それを育むところから始めるべきなのか」
という問いには、
森田さん「一見ないように見えて、本当の心を見せていないだけのことも多い。自分はこうありたいということに本人が気づけていないこともある。でも、主体性のない人なんていない。周りがそこを引き出せるような関係性をつくるところから始めるべき」
大脇さん「自分の死に直面すると、うろたえて、本当の気持ちを閉ざしてしまいがち。でも、その先に本当に自分が求めていることがわかるときもある。うろたえることもときには大事です」
と、それぞれ異なる医療現場に身を置く立場から意見を述べられました。
同じ問題意識を共有しながら、キャラクターも、活躍されている医療現場も異なる2人のドクターですが、参加の方々からの質問やご意見もたくさんあり、話はつきません。2時間の予定時間をオーバーしてしまうほど議論は熱気を帯び、最後は次の本の企画に話が及ぶほどの盛り上がりとなりました。
* * *
幻冬舎大学では今回のイベントの音声データを販売しております。
当日見逃された方も是非、チェックしてみてくださいね。(杉)
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