【レポート】河野貴代美×上野千鶴子「子どものいない女性の老後は本当に寂しいの？」社会の“呪い”から自由になろう幻冬舎編集部

老いて得た「自由」と「シンプルさ」

1980年、日本ではじめて「女性解放」の視点での心理療法を実践するカウンセリングルームを開き、フェミニストカウンセリングを牽引してきた河野貴代美さんと、河野さんの開催する「自己主張のトレーニング」の講座にいらして以来、40年のお付き合いである社会学者の上野千鶴子さんによる「おひとりさまの老後を生きる」トークが2023年12月11日（月）に開催されました。

河野さんがこの3月に出版した著書『1980年、女たちは「自分」を語りはじめた　フェミニストカウンセリングが拓いた道』の巻末に上野さんとの対談が収録されていますが、今回の講座は、その続きの意味があります。

まず、その対談でも話題になった、フェミニストカウンセリングがなぜアカデミックに評価されなかったのかについて、上野さんの誤解、そして心理学とフェミニズムの距離の話から始まりました。

それから、本題の「子どものいない女性の老後は本当に寂しいのか？」へ。

84歳の河野さんと75歳の上野さん。「子どもを持たなかったことについて後悔はない」ときっぱり。家族がいてもいなくても、人間から寂しさの感情がなくなることはないでしょう、と。

おふたりの好きな感情は「しみじみ感」（上野さん）、「感傷」（河野さん）。誰とも共有できない感情、時間を享受することの歓びをお話されました。

90分のトークのあとは、30分の質問タイム。「それでも子どもがいる女性が羨ましくてたまらない」という声がたくさん届きました。また「今、20代に戻れるならば何をしたいですか？」という質問も。これには、お二人とも「戻りたくない」とひとこと。

すべての質問にお答えすることはできませんでしたが、年を重ねることへの勇気をもらう充実の2時間でした。

ご視聴くださった方からはこんな感想をいただいています。

これから老後を生きる身として、素敵な道しるべを与えられました。お二人とも20代に戻りたくないとおっしゃったことに、とても共感しました。 子どもがいてもいなくても寂しさはあるし、日々生活を充実していければいいのかなと思えました。

とても充実した内容でした。いつも、お二人には勇気づけられていますが、あらためて、自分の人生を生きていこうと、思えました。

お二人が自分の意見の違いなどを言い合っていらしたのが印象的。辛口の中に相手を思う40年の友情が感じられ胸がジンとした。

人生の素晴らしい先輩お二人のお話が聞けて、今後の自分の自由について考える上で大変役にたちました。

お二人の老いて得たもののお話に共感すると同時に励まされました。

河野さんが上野さんそれぞれに「ひとりの世界」ではあるのだけれど、自然や時の流れ、世界や人々ともつながっているお二人の心の宇宙を感じました。「侘び寂び」に重なる境地かなとも。お二人の交流と対話がとても心地よかったです。

老いていくリアルを聞けてよかった。80歳でまた米国へ行かれた河野先生には驚かされました。でも、私も60後半で留学予定なので、楽しみながら生き、そしてやることがあるというのは何歳になってもいいことだなと思いました。

大変、よかったです。沢山の思いこみ、価値基準に縛られ、縛っていたことにハッとさせられました。こだわりから解放、楽しくやりたいことをしていきたいと思います。

お見逃しの方には、期間限定でアーカイブ動画を販売しております（視聴期限：2024年1月8日23時59分）。ぜひご利用ください。

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