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営業と詐欺のあいだ

2021.01.11 公開 ツイート

しつこい訪問販売、キャッチセールスを撃退する最強の方法 坂口孝則

モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この試し読みで、ぜひテクニックの一端を知ってください。

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手強い相手もこれで退散!

前項では、騙されないための法律知識と心の持ちようを説明しました。これらを一歩進めて、具体的な対策を披瀝しましょう。

(写真:iStock.com/karinsasaki)

まず訪問販売や、電話販売という典型的な例でいうと、

①特定商取引法にしたがって、「会社名」と「氏名」「訪問目的」を語ってもらいましょう。その時点で、興味がなければ、お断りします。再勧誘された場合は、その行為が禁じられている旨を教えてやりましょう。

「今、お悩みのことはありませんか?」に対して「この電話をいかに切るか、です」というフレーズは相手を絶句させるには有効です。

②ICレコーダーをドア横に用意しておきましょう。そして、電話は録音機能をいかにして使うかを熟知しておかねばなりません。もっとも、最近では突然の来訪者にはドアを開けない人が多いようですし、電話も一度留守録になって相手の声を聞いてから受け取る人も増えてきたようです。用心深すぎるのは暮らしにくいとはいえ、優れた防衛指針だといえるでしょう。

「なぜ録音するのか」と訊かれたら、「先日押し売りに遭ってしまい、これ以降は消費生活センターにタレ込もうと思っている」と教えましょう。

いざとなったらこんな方法も

③勧誘が始まり理屈で負けると思ったら、無言になりましょう。あるいは、相手が怒り出すまで同じことをオウム返しにします。

(写真:iStock.com/KatarzynaBialasiewicz)

以前、私のところに「あなたに幸せになってほしいから、脳学習教材を100万円で買ってほしい」という売り込みがありました。私は「本当に幸せになってほしいのであれば、1円で売ってほしい」と言うと、相手はあれやこれや言い出します。でも、私は一字一句変化させないそのフレーズをひたすら繰り返すだけです。

「ちょっとはこちらの教材の話を聞いてくださいよ」「本当に幸せになってほしいのであれば、1円で売ってほしい」という感じです。しまいに、相手は怒って電話を切りました。

 

一番ダメなのは、相手の議論に一つ一つ応えてしまうことです。相手はプロなので、どんなことを言ってもそれをくつがえす「理屈」を持っています。それに立ち向かうのは、狂人になることだけです。

その厚かましさがなければ、ただ一言「買う気はありません」と小声で伝え、あとはひたすら無言でいましょう。人間は相手が無言になることを極度に恐れるものです。でも、そんなことに気を遣ってはいけません。ただただ無言。相手が怒り出すまでそのままでいてください。

 

④非礼には非礼で返すしかない、ということも覚えておきましょう。あまりに失礼な売り手がいたら、「警察を呼びますよ」ではなく、本当に呼んでしまってください。「あなたはこのままでは不幸になりますよ」と脅されたら、「そんなことを言う人にこそ不幸が訪れるように、知り合いの祈祷師と今日から祈り続けます」と切り返しましょう。毒は毒をもって制すしかないのです。

また、あなたが遠くに住むご両親のことを心配しているならば、財産はできるだけ引き出しにくい環境に置くことも一考でしょう。定期預金にしておく、などすぐに引き出せないというステップを作っておくだけで、その間に冷静になれるものです。

振り込め詐欺が横行している昨今、怪しげな口座に振り込もうとしている老人がいないか銀行員が観察しているといいます。そして、ブラック口座に振り込もうとする老人を制止しようとすると、「孫が大変なんだ。すぐにお金が必要だと言っている」と涙目になるご老人もいらっしゃるようです。

中には「詐欺かもしれないが、あの可愛い孫のために振り込ませてくれ」と懇願する場合もあるといいます。詐欺を止める用心をしていても、その様子です。注意しすぎることはないでしょう

関連書籍

坂口孝則『営業と詐欺のあいだ』

モノが売れない時代でも一流の営業マンは売りまくる。彼らは、絶妙なタイミングで商品を薦め、必殺の決めゼリフを持ち、いつの間にか絶大な信頼感を勝ち取り、さらには「あなたは特別な人だ」と自尊心をくすぐりながら相手を気持ちよくさせ、必要のないモノまで買わせてしまう。商品説明などしなくとも、顧客は満足し、騙されたと訴えることもない。詐欺師と一流の営業マンは紙一重。十倍買わせる、きわどい営業のコツと心得を伝授!

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営業と詐欺のあいだ

モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この「試し読み」で、ぜひテクニックの一端を知ってください。

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坂口孝則

1978年生まれ。調達・購買コンサルタント、未来調達研究所株式会社所属、講演家。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書に『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『1円家電のカラクリ 0円iPhoneの正体』『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』『稼ぐ人は思い込みを捨てる。』(小社刊)、『製造業の現場バイヤーが教える調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)など多数の著書がある。

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