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営業と詐欺のあいだ

2021.01.07 公開 ツイート

注文したくなるダイレクトメールは「封筒」と「チラシ」に秘密がある 坂口孝則

モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この試し読みで、ぜひテクニックの一端を知ってください。

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ほとんどは「ゴミ箱行き」だが……

大多数のダイレクトメールは単なるゴミでしかありません。その一方で、ダイレクトメールだけで利益を上げている会社もあります

ゴミの山の中で、成果を上げているダイレクトメールは、どのような工夫がなされているのでしょうか。販売する商品が同じでも、方法によっては1円も奪えず、ある方法では巨額の富を奪う。これは、まさに郵便を利用したマジック・ワールドです。

この種のダイレクトメールは、封筒と中に入っているチラシにそれぞれ工夫が施されています

(写真:iStock.com/kuppa_rock)

封筒の工夫

・送り手の意外性

私はだいぶ前に、結婚相談所からダイレクトメールをもらったことがあります。私がそのダイレクトメールをつい開けてしまったのは、差出人が企業名ではなく「○○○子」という個人名だったからです。

また、ある企業はダイレクトメールをわざわざ外国から出したといいます。たしかに、外国の消印があれば、興味がそそられますからね。このように、送り手が意外で、想像がつかなければ、受け手はついダイレクトメールを開けてしまいます。

 

・触感の利用

住宅販売のダイレクトメールで驚いたのは、筒状にふくらんでいるものが入っていたときです。封書の中に、何か突起物が入り込んでいるとき、あなたはそれを開けずにゴミ箱に捨てることなどできるでしょうか? これまたついつい開けてしまった私は、プラスチックに包まれた「モデルハウスオープン記念ボールペン」を発見することになります。

ま、それだけで食指が動く人などいないでしょうけれど、開けさせるにはもってこいの方法です。また、もっとダイレクトに「あなただけにプレゼントがあります!」と大きく書いてしまう方法もあります。これで100パーセント近い開封率が達成できるそうです。

 

・脅迫的な文面の利用

封筒に開けざるを得ない文面を書くことです。「あなたにオトクな情報が入っています」ではなく、「必ずお読みください」とだけ書かれていたら、心理的圧迫は相当なものになるでしょう。また、「もう時間がありません!」というパターンもあります。

この種類の文章は、何を書けば受け手の反応(開封率)が良いかデータ化されているので、売り手の業種にとって最も優れた文章を繰り返すところもあります。そして、多くの場合、期待した通りの反応率が得られるものです。

(写真:iStock.com/AndreyPopov)

チラシの工夫

写真で人目を惹きつける。その商品を象徴する、印象的なワンフレーズを大きく載せる。場合によっては無償サンプルを請求してもらう。このような手順はネット販売で紹介した手法とさほど変わりません。

ただ、チラシの目的は何なのか、ということに意識的な売り手と、意識していない売り手がいます。それはどうやって見分けるかというと、そのチラシを見て買いたいと思った人が、「すぐに注文できるか」ということです。

 

優秀な売り手であれば、チラシに「気になった方は、今すぐここに電話を!」と大きく印字しているでしょう。あるいは、そのチラシの下部がそのままFAXで申込書として使えるようにしている場合もあります。

買い手がその気になっても、どうやって注文してよいのか分からなかったり、買う手間がかかったりするものも多いのです。すぐれたセールスレターは「その気になった客」を確実に捕まえる工夫にあふれています

 

なんだかんだいっても、ネットを使わない層がかなりいます。その層には、このようなダイレクトメールがまだ効果的といいます。

送り手からすれば、受け手が封書に驚き、中身に心とらわれ、いつしか注文するという蟻地獄にまんまと吸い込まれる絵図のできあがりです。

関連書籍

坂口孝則『営業と詐欺のあいだ』

モノが売れない時代でも一流の営業マンは売りまくる。彼らは、絶妙なタイミングで商品を薦め、必殺の決めゼリフを持ち、いつの間にか絶大な信頼感を勝ち取り、さらには「あなたは特別な人だ」と自尊心をくすぐりながら相手を気持ちよくさせ、必要のないモノまで買わせてしまう。商品説明などしなくとも、顧客は満足し、騙されたと訴えることもない。詐欺師と一流の営業マンは紙一重。十倍買わせる、きわどい営業のコツと心得を伝授!

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営業と詐欺のあいだ

モノが売れない、といわれる時代。しかし、一流の営業マンは今このときも売りまくっている……。調達・購買業務コンサルタント、坂口孝則さんの『営業と詐欺のあいだ』は、彼らの「きわどいやり方」を赤裸々に明かした、一風変わったビジネス書。坂口さんによれば、「詐欺師と一流の営業マンは紙一重」だそう。手の内を知っておかないと、あなたもいつの間にか損をしているかも……? この「試し読み」で、ぜひテクニックの一端を知ってください。

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坂口孝則

1978年生まれ。調達・購買コンサルタント、未来調達研究所株式会社所属、講演家。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書に『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『1円家電のカラクリ 0円iPhoneの正体』『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』『稼ぐ人は思い込みを捨てる。』(小社刊)、『製造業の現場バイヤーが教える調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)など多数の著書がある。

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