1. Home
  2. 生き方
  3. 北極かえるのコモンロー日誌
  4. 魔法のテーブルの上は全部Free!

北極かえるのコモンロー日誌

2020.05.23 更新 ツイート

魔法のテーブルの上は全部Free!吉村静

家から数分のところに「フリーテーブル」がある。

フリーテーブルとは、いらなくなったものを置いていき、欲しい人がとっていける場所であり、テーブルである。冬の間は雨が多いのでテーブルは撤去されるんだけれど、春になってまたテーブルが現れた。

これがフリーテーブル。素朴な感じの存在感に好感が持てる。
 

これはCo-op Housingという共同住宅みたいなところの前に置かれていて、そこに住む人たちが設置してくれている。よく散歩するとき通るので、「今日はなんかお宝ないかしら~♪」とフリーテーブルを見るのが小さな楽しみになっている。

そこには食器や本、服、布団のシーツに大小様々な小物たちが置かれていて、サイクリングや犬の散歩のご近所さんたちもよく足を止めている。

「これが欲しい」とか、「これが食べたい」と思っていく買い物とは違って、自分の想像もしていなかったものが置かれているところが好きだ。

漬物石かと思った2秒後に、いやいやここカナダやんと気づき、よく見たらカーリングのあの石だった! 激重! 笑

もちろん超新品未使用みたいなものもあれば、壊れかけた箸置きみたいなやつ、ちょっとだけ余ったキラキラの紙、すごく異国風の置物とか、私はそういう「これなんなん?」的なものに愛着が持てる。

キラキラの紙のあまりとかってお手紙をちょっとデコレーションするのに最高だし、この空間にいろんなインスピレーションをもらっている。

前にフリーテーブルで見つけたペンギンの小物入れ。

新しいのを買うまででもないものっていっぱいあるし、最初から無料だって言われると、金額のことを考えなくていい分、何に使えるかなぁ? と想像力が掻き立てたれるし、「安いから買っとこ」がないのもいい。

こんなの誰が使うねん、みたいなものを誰かが颯爽と持っていくのを見ると、すごく嬉しくなるし、そういう意味で魔法がこのテーブルにかかっているように見えるのだ。

一番驚いたのはある雨の日、木の枝がポツンと置いてあったこと。よくみたら「ローレルの葉っぱ」と書いてあって、洗って干して料理に使っている。

この前はネギの苗が置かれてて、少しだけもらってガーデンに植えたりもした。

雨の日にローレルを発見したルイス。嬉しそう。

自分もたまに部屋の中を見直して、これは使ってないなとか、読み終わった雑誌を置きにいくこともある。

フリーテーブル以外にも、道端に無料の本スタンドなるものも点在する。いらなくなった本をダンボールに入れて「Free!」という張り紙とともに家の前に置いている人もよく見かけるけど、ちゃんと作り込まれたスタンドもある。

こちらはご近所さんの本スタンド。
扉付きのこんなのもあった。「Mr.ミミズの図書館」。

おそらくその近くに住んでいる人が設置してるのかなぁと思うんだけれども、ユニークでいつ見てもほっこりする。

5年前にバンクーバーのあるアーティストが「フリーストア」っていうお店(プロジェクト)をやっていて、そのお店の中もフリーテーブルと同じく、寄付されたものだけで構成されていた(全部もちろん無料)。

そのアーティストが、「自分にとってはただのゴミでも、誰かにとっては宝物かもしれないじゃん?」と言っていたのを思い出す。

"ゴミ”とジャッジする瞬間って、確かに人それぞれだ。エストニアを旅した時にも、フライドポテトじゃなくて、「ポテトの皮フライ」なるものが存在し、本当に皮が揚げてあるだけなんだけど、すごく美味しかったことを覚えている。

バンクーバーは穴のあいたTシャツとか着てても、誰も変な目で見てこないし、そういう雰囲気がこのリサイクルやリユースの流れを後押ししてくれているのかもしれない。

今回コロナでいろんなお店が閉まって、家にあるもので生活を楽しくする工夫をした人って多かったんじゃないかなぁ。私は近頃シェアハウスの仲間から古紙を集めてノート(メモ)を作ったりもしている。

コロナもフリーテーブルも身の回りのものを見直す機会をくれている気がしてならない。

今後もこの魔法のフリーテーブルをみんなで活用しながら、コミュニティがうまく循環していくといいなぁ。

関連キーワード

{ この記事をシェアする }

北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

バックナンバー

吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP