生き方
年に一度はテントと食料を担いで、数泊の行程で山へ出かける。荷物を詰め込んだ十キロ前後のザックは肩に重くのしかかり、冬でも上り坂では汗が吹き出してくる。初日の汗はどろっと粘度がある気がするのだけれど、だんだんと汗はさらさらになりニオイもしなくなる。おそらく歩き始めは、街で日々食べたものが排出されて、デトックス効果があるのだろう。しかし、数日過ごすにつれて、体は山で口にした物で満たされていく。美味しい空気や水はもちろん、食料はほぼ油と動物タンパクなしでシンプルだ。そうして、汗まで澄んでいく。
ここから先は会員限定のコンテンツです
- 無料!
- 今すぐ会員登録して続きを読む
- 会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン
本の山
- バックナンバー
-
- 「ものを書く」行為に突き動かされる理由ー...
- 大切なものを手放すことの難しさ -『よき...
- 各国の歴史的背景を学び、死刑の是非を自ら...
- 現実世界にも通じる奮闘を応援せずにいられ...
- 偽りの巡礼者 稀有な旅人の喜び -『天路...
- 面倒なことも楽しむことができるのが、人間...
- 言語が探検の道具となり、道を切り拓く -...
- 「使命を負った」アルピニスト との、愛...
- 物語を通して、悲劇を含め、歴史、現実世界...
- 本書がノンフィクションという事実が最大の...
- 若かりし頃に見た世界は、人生そのものと呼...
- 心のなかのとっておきの山を楽しもうとする...
- 「息子の思春期」でぐらりと揺れる母親の心...
- 自然環境に身をゆだねる─スノーボードを生...
- 自分と重ねてしまうコロナ禍の“妻”の日常...
- 他人の心のクオリアは自分の心にも抱えてい...
- 山で過ごした時間は永遠に積み重なっていく...
- 勝利のために、誰よりも「孤独な世界」に身...
- 土偶のモチーフは植物だった!? 縄文人に...
- 近未来でもなお人々を突き動かすのは ‐『...
- もっと見る