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死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」

2019.12.19 更新 ツイート

なぜ「未来日記」は健康にいいのか その1

目の前にあるのは、過去ではなく「未来」小林弘幸

自律神経の名医、順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生の最新刊は『死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」』。先生が提唱する「未来日記」は、「達成したいことを完了形で書く」日記でも計画表でもない、1日の価値を上げる、まったく新しいツールです。

本書より、「みなさんの人生が満足いくものになりますように」と、願う小林先生のメッセージをお届けします。

*   *   *

ときに神様はひどいことをする

医師という仕事をしていると、たくさんの人の命の終わりを突き付けられます。
世の中の人はみな「いつか自分が死ぬ」と頭ではわかっていても、「明日、死ぬかもしれない」とは誰ひとり思っていません。それは、救急車で運び込まれてくる人も同じです。まさか自分が事故に遭うとは思っていなかったし、心筋梗塞になるとも思っていなかったでしょう。でも、それが起きるのが現実です。

私は以前、小児外科を担当していたので、生まれたばかりの赤ちゃんを診ることもありました。保育器の中で小さな体をよじらせながら、全身で生きようとしている命。けれども、残念ながら当時の医学ではどうにもできないケースもありました。

「あんなに一生懸命生きているのに、あの子には未来がない」
非情な現実に打ちのめされながら「世の中は公平なんて、ウソだ」と、唇を噛みしめたことが何度もあります。ときに、神様はとんでもないことをするのです。

私の身近にも、突然、不幸に見舞われた人物がいます。名前は雪下岳彦。同じ大学のラグビー部の後輩です。
彼は非常に頭がよくて、お父さんも医師。いわゆるエリート街道をまっしぐらに歩んでいました。
しかし、医学部6年生のときの試合中、本当に一瞬のことです。スクラムを組んだときに、彼の首の骨は折れました。そしてなんとか一命は取り留めたものの、手足の自由を失ってしまったのです。

ICU(集中治療室)で治療を受けている間、「この線を越えたら頭がおかしくなるな」と思うラインがあったそうです。体の痛みはもちろん、もうすぐ医師になるはずだった未来が崩れ落ちてしまったのだから無理もありません。

けれども、彼は今、医師をしています。
夢だった脳外科医への道は閉ざされてしまいましたが、自身の経験からメンタルヘルスの重要性を意識するようになり、精神科医になりました。現在は、パラスポーツの振興にも積極的に取り組んでおり、スポーツ庁の参与を任されるほどになりました。
彼を見ていると、自分の至らなさを思い知らされます。雪下君は、非常に温厚で、努力家で、前向き。もしかすると、安易に「前向き」なんて評するのは彼に対して失礼かもしれません。きっと、不安が出ては消え、不安が出ては消えの生き地獄だったと思います。それでも、彼は過去の事故を呪うのではなく、ちゃんと前を向いて生きているのです。

目の前にあるのは、過去ではなく「未来」

人はついつい「あのとき、ああしていれば」「あんなことさえ、なかったら」と、過去を振り返ってしまいます。
だけど今、目の前に広がっているのは、過去ではなく未来です。過去を修正することはできませんが、未来はこれから築くことができます。

しかし、その未来も決して確実なものではありません。
一寸先は闇。
いつ事故に遭うかもわからないし、いつ災害に巻き込まれるかもわかりません。

けれども、だからこそ私は言いたいのです。
朝起きて、夜になったら寝て、また目覚める。これがいかに素晴らしいかということを。そして、その奇跡を大切に噛みしめて、悔いのない人生を送っていただきたいと。
そのために、私たちには何ができるでしょうか。いつ、何が起きるかわからない人生。明日、続いているかも定かではない時間。悔いを残さずに生き尽くすにはどうすればいいのでしょうか。

そうして私が考え出したのが「未来日記」です。
「未来日記」は、未来の自分と向き合うことで前を向き、充実した人生を歩んでいく基盤となるものです。
過去の辛い出来事にとらわれている人、昔はよかったと思い出に浸っている人、なんとなく毎日を過ごしている人、死に対する漠然とした恐怖を感じている人、あるいは、もっと人生を充実させるためにはどうすればいいかと思いをめぐらせている人……。そんな方々が、一日一日を輝かせて、自分らしい人生をまっとうする手助けをするものです。

日々、患者さんと接していると次のように思います。
「患者さんの心持ち次第で、病気はさらに悪くもなるし、よくもなる」

私が、免疫力と深い関わりがある腸や自律神経を専門としていることもあるのでしょう。たとえば軽い便秘の場合、「ちょっとくらい出なくても大丈夫ですよ」と笑顔でお話しするだけで患者さんは気持ちが明るくなり、治ってしまうこともあります。反対に「もっと早く病院に来ればよかった」と、患者さんが後悔ばかりしていると、なかなか治療が進まず症状も改善しません。そのくらい、ご本人の心の持ちようで、体の調子も未来も変わってしまうのです。

だから私は医師として、過去ばかり見て、暗い気持ちでいる人の健康が侵されるのをくい止めたい。前を向くことで自律神経のバランスを整えて、やりたいことができる健やかな体を手に入れていただきたい。そして、できるだけ多くの人が「いい人生だった」と笑顔で幕を下ろせるような、命の価値を高める一助となりたい。そう思って、本書を書いています。

自分の人生に点数をつけられるのは、自分だけです。そして採点は、最期の瞬間に成されることです。
まだまだ、これからですよ。

小林弘幸『死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」』

過去を修正することはできませんが、未来はこれから築くことができます。
「未来日記」は、未来の自分と向き合うことで前を向き、充実した人生を歩んでいく基盤となるものです。

<目次>
第1章 なぜ「未来日記」は健康にいいのか
第2章 未来を明るく考える10のヒント
第3章 未来日記の書き方
第4章 「未来日記」の効果を上げる生活習慣

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死ぬまで“自分”であり続けるための「未来日記」

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小林弘幸

1960年埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのパフォーマンス向上指導にかかわる。『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』『「これ」だけ意識すればきれいになる。自律神経美人をつくる126の習慣』『自律神経を整える「あきらめる」健康法』など、著書多数。

写真 ©Ichiro Kumada

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