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稼ぐ人、安い人、余る人

2019.09.21 公開 ツイート

「志が高く、明確である」…たった1割の「稼ぐ人」の共通点 キャメル・ヤマモト

終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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「志の高い人」になる方法

高い志や夢を、描くにはどうすればいいのでしょうか。これまでの話をきいただけで、きっと、すでに、自分にもこういう夢や志がある、といくつか頭に浮かんでいるはずですが、救いようもなく、「フツーの日本人」になっていて、夢や志と無縁の方のために、いくつかヒントを出しましょう。

(写真:iStock.com/chaunpis)

●起業家の話を聞く

私は、今シリコンバレーに住んでいて、成功したり失敗している起業家から直接話をきく機会に恵まれています。特に、スタンフォード大学が一般の人にも公開しているindustrial thought leaderというセミナーは圧巻です。米国を代表するような起業家やベンチャーキャピタルが金曜日の午後四時半から一時間、自分の起業経験を語ってくれます。

この本でもそのいくつかを紹介していますが、この人達に共通しているのは、周りの人からはそんなの非現実的といわれかねない自分の「志」を信じて、それに賭けて生きている点です。

私のような元官僚で、こうした話に簡単には感激しないような人間でも、一時間の話をきいて会場から出てくると、よし、自分も自分の志を高めて、何かやってみようという「自律度の高まり」をひしひしと感じます。クリーンエネルギーを浴びたような体感です。

自分の志を高めていくためには、伝記でも、テレビでも、雑誌でも何でもいいから、ホンモノの起業家が語る志に接して、自分の中に眠る「志」を呼び覚ますに限ります。

●夢タイムを確保する

志(や夢)を描くには、まず、志を描く時間(夢タイム)を確保することから始めます。時間だけではだめで、初めは場所を選ぶことも重要です。お酒の力も、私の場合など不可欠でした(過去形というよりここは現在完了形です)。

結構いけるのが、モーニングページという方法です。これは創造性開発のために、キャメロンという英国人の素敵な女性芸術家が考え出して、世界的にはやっている方法です。

毎朝、十分とか二十分とか時間を決めて、とにかく、鉛筆でノートにやりたいことを書きつづけます。途中でとめてはいけません。十分とか二十分、とにかく休まず書きつづけます。

書くことがきれたら、「ここで書くことがなくなってきました。どうしよう。もう夢が出てこない。うーん」といった、自分の苦境自体を書きます。例えば、奥さんや彼女と喧嘩して、夢どころでないときは、その喧嘩の続きとして、いかに自分が正しくて相手が間違っているかを書きつづけます。

不思議なことに、五分も、誰かの悪口をいいつづけ、自分を正当化しつづけ、それを書きつづけるのは至難の業です。そのうち、悪口に疲れて夢を描く余裕が出てきます。

私は、最近、小型ですぐに立ち上がるPDAを買ったので、それを使っています。キーボードが小さくて、夢を描く練習をしているのか、指先の繊細さを鍛えているのか怪しくなってきていますが。

「ゴールイメージ」をクリアにする

●有名人の伝記を読む

夢というと、普通、何か、漠然としたものを連想するかもしれません。確かに、夢の描き始めは、漠然としたイメージや、単なる単語でしょう。例えば、「日本人から稼ぐ人をもっと生み出したい」とか、「自分の子供は稼ぐ人にしたい」とか。これだけでは単なる夢で、そんなものを原動力にして「稼ぐ人」になれる、といったらそれこそ詐欺です。

(写真:iStock.com/tomertu)

ポイントは、その漠然としたイメージを詳細化していくことです。絵を描くように、輪郭から始めて、だんだんに描きこんでいきます。例えば、どんな子が「稼ぐ人」になるのか、どんな企業に就職すればいいのか、どんな学校がいいのか、親は何をするのか等々です。

稼ぐとはいくらくらいなのか、どの国に住むのか、どんな家に住むのか、どんな車にのるのか、どんな友達ができるのか、とにかくいろいろ考えてイメージを詳細にしていきます。

「どうしてそんな夢を描くのか」とか、「どうやってその夢を実現するのか」といった質問は、この段階ではタブーの質問です。なぜという質問や、どうやってという質問ではなくて、ひたすら、夢の内容をクリアにする作業に没頭します

最近、シリコンバレーで会う若い日本人が、「ベンチャーキャピタルになってみたい。こっちのベンチャーキャピタルのふところに入って、実は彼らが何をやっているのかみたい。そして、自分で起業したい。その後、日本に帰って職があるだろうか」と私に相談にきました。

私は彼に、「自分は、ベンチャーキャピタルになって何をやりたいのか、それを突き詰めて想像することが大切だ。ベンチャーキャピタルになるには、何が必要かとか、何が障害か、それにむけた自分の強みは、弱みは、といった戦術は後で考えればよい。まずは、結果イメージ、ゴールイメージ自体をクリアにして豊かにしていくことだ」と伝えました。

「志」のイメージをつくっていくうえで、有名人の伝記は、格好の材料です。岩波少年文庫などのシリーズは、大人がみてもよくできています。

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終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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キャメル・ヤマモト

本名・山本成一。1956年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、外務省入省。のち、コンサルタント会社に転じ、日米両国で活動。現在は中国に拠点を移し活躍中。

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