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稼ぐ人、安い人、余る人

2019.09.22 公開 ツイート

あなたは「1時間3万円、誰かに請求できる仕事」をしているか? キャメル・ヤマモト

終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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同じ「1時間」でも価値は異なる

「稼ぐ人」になるためには、場の問題とならんで「時間」の問題も重要です。一日の時間は誰に対しても平等ですが、「時間の女神」は結構きまぐれなのです。

(写真:iStock.com/nito100)

同じ二十四時間なのに、寝る時間がないほど忙しい人もいれば、時間をもて余している人もいます。時間を使いこなしている名人もいれば、時間に支配される凡人もいます。この章では、時間の使い方について考えてみます。

資本主義社会で時間について考える際、最も基本になる点は何でしょうか。私は、時間単価の問題だと考えています。同じ一時間でも、価値が異なります。「安い人」にとっての一時間は、安物のコモディティ(どこにでもある品物)です。

別にその人にその時間いてもらわなくても、代わりになる人はいくらでもいます。ハンバーガー屋さん、コンビニのパートの人を考えてみてください。かなり安い時給で、人を雇うのにさほど支障はないはずです。

「余る人」はどうでしょうか。「余る人」の時間は、文字どおり余っていて、本人も夕方五時になるまでの時間をもて余しているかもしれません

あるいは、周りからの客観的評価とは関係なく、「余る人」ご本人は「忙しい、忙しい」と思って、朝から晩まで、新聞や、社内の重要書類を読みまくっているかもしれません。読んでも何か成果が出てくるわけでもないのに。

せいぜい出てきても、他の人がやっている仕事の邪魔になる否定的な評論ばかりかもしれません。「キャメル君は、暇だから余計なことをいい出して邪魔だ。だまらせるために、仕事を与えよう」といって周りの人は余計な苦労をしているかもしれません。

「稼ぐ人」の時間は、貴重で希少ですから時間単価は高くなります。「稼ぐ人」が時間を使った仕事は成果を出す可能性大です。「稼ぐ人」が忙しすぎて時間を使えない仕事は、「要処理重要案件」のまま、お蔵入りの可能性大です。

「時間単価」を知ることが第一歩

時間を有効に使いたいと誰もが思っているでしょう。その第一歩は、自分の時間単価を知ることです。時間単価の簡単な推定方法について説明しましょう。

(写真:iStock.com/BrianAJackson)

例えば、給与の面からは「稼ぐ人」の仲間入りをしている年収一〇〇〇万円の新庄さんを例にとりましょう。

仮に新庄さんが、一年間、あるお客さんのためにだけ働いたと仮定します。年間二〇〇〇時間働いているとすれば、一〇〇〇万円を二〇〇〇で割って、時間単価は五〇〇〇円となります。

お客さんに請求する際には、間接経費その他の経費も含めて、例えば時間単価を三倍にして一万五〇〇〇円とします(実際の倍率は業界、企業によってかなり差がありますが)。

さらに、お客さんは甘くないから、どうせ二〇〇〇時間すべてを請求対象の仕事とは認めてくれず半分の一〇〇〇時間分しか請求できないだろうと想定します。そこであらかじめ時間単価を、そのまた倍の三万円にしておこうと新庄さんは考えます。

さて、ここで、仮にあなたが新庄さんだとして年収一〇〇〇万円で、自分のお客さんに対して一時間三万円請求できるか、胸に手をあてて考えてみてください。お客さんなどない方は、もっと問題で、いったい誰が奇特にもあなたに一時間で三万円も払ってくれるのか考えてみてください。

年収は一〇〇〇万円を例にとりましたが、もし年収五〇〇万円でも、一時間一万五〇〇〇円、お客さんにチャージすることになります。おそらく、ほとんどの人は、自分にはそんなに払えないと思うのではないでしょうか。

「稼ぐ人」をめざすあなたは、まず、自分がお客さんに請求できる時間単価にこだわることが出発点です。この額なら自信をもって請求できる額まで時間単価を下げていくことはできます。つまり「安い人」になるわけです。

それでも今の年収を維持したければ、長時間働くしかありません(収入=時間単価×労働時間)。仮に時間単価を半分にするなら、二倍の時間、例えば一日十六時間働くことが必要になります。そうすれば「安い人」も年収一〇〇〇万円は可能ですが、十六時間は結構厳しそうです。

そんな単純な時間単価計算は非現実的だ、と思うかもしれません。でも、すでに、コンサルティング企業や弁護士事務所のようなプロフェッショナルが中心となった組織では、個人別の時間単価がすべてのビジネスの基本になっています。お客さんへの請求も、コンサルタント個人の年収も、すべて時間単価がベースになっています。

通常の企業の場合、プロフェッショナル組織の時間単価モデルをそのままあてはめるのが困難なことは承知していますが、「稼ぐ人」をめざすあなたは、自分の時間単価を大まかでもいいから推定しておくことが重要です。そして、「一時間三万円、誰かに請求できる仕事をしているだろうか」と自問してみてください。

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稼ぐ人、安い人、余る人

終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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キャメル・ヤマモト

本名・山本成一。1956年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、外務省入省。のち、コンサルタント会社に転じ、日米両国で活動。現在は中国に拠点を移し活躍中。

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