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稼ぐ人、安い人、余る人

2019.09.18 公開 ツイート

完璧主義、先延ばし…稼げない人の「悪いクセ」はこう克服する キャメル・ヤマモト

終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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「細部完璧主義者」になるな

エンジニア組織や弁護士事務所のマネジャーからは、「エンジニアや法律家は、ほうっておくと、締め切りを設定したがらない。締め切りのために品質がおちることを許容できないからだろう。でもそれでは仕事にならないから困る」という話をよくききます。

(写真:iStock.com/taa22)

法律や品質基準が絶対的に重要な職場ではいかにもありそうな症状です。

また、エンジニアや弁護士には稼ぐ人も多いでしょうし、確かに、細部の詰めがすべてに優先するケースもあるでしょう。

問題は、「状況にかかわりなく、パブロフの犬的に細部完璧主義でしか動けない」点です。「安い人・余る人」の中には、状況に関係なく、非常に几帳面に丁寧にしか仕事ができない症状に陥っている人が結構います。

この症状には、三つの対処法があります。

一つは、「結果的に何ができればいいのか」という成果イメージを明確化してから仕事にかかるという方法です(ダチョウ病と同じ処方です)。

そんなこといわれなくてもやっているという方も、もしあなたの組織が官僚的な場合には注意が必要です。官僚的な組織では細部完璧主義が蔓延していますから、仕事を始める前に、あなただけでなく、関係者や顧客まで巻きこんで、どういう成果が必要なのかという期待値を一致させておくことが必要です。

成果イメージの共有化ができていないと、必ず、後になって細部完璧主義者が、成果とはあまり関係ない細部の詰めの必要性を指摘しだして、ことが進まなくなってしまいます。

二つ目の対処法は、「時間も品質の一部」ルールです。仮にある仕事を一〇〇%完璧にやっても、一定の期限内にできなければ価値はゼロかもしれません。お客さんの目からみると、期限がすぎた作品は不良品と判定されかねません。「八〇%できたらよしとして、残りの二〇%は時間をさらにかけることに値する場合のみやる」というルールも効果的です。

仕事の中には、最後の二〇%を詰めるのに時間の八〇%を食う、というのが結構あります。そしてその二〇%を完璧にやらないと意味がない仕事もあれば、さほどそこが重要でない仕事もあります。そこを見分けていくことが重要になります(その際はやはり成果イメージが基準になります)。

三つ目の対処法は、ちょっとその場を離れてリラックスする、というものです。アメリカ人と一緒に仕事をすると、sit backしようという表現をききます。もっとも、肩に力が入った完璧主義者に、ちょっとリラックスしようなどというと、かえって「リラックスなどしている場合じゃない、もっと品質をあげろ」と皺のよった眉間でにらまれそうですが。

「あとでやろう病」から脱せよ

「稼がない」人は、「その場で完結させる」とか「即決する」ということがありません。例えば会議に出た場合、会議ではひたすらノートをとって、「会議が終わったらゆっくりノートをまとめよう」と考えます。

(写真:iStock.com/Dcwcreations)

そういう人が所属する組織が官僚的な組織だと、そのノートを会議録のドラフトとして、関係者に配って「決裁」を得て、それから皆に回覧するなどというご丁寧なことをやっています。

これと対照的に、「稼ぐ人」は、通常案件はその場で処理してしまいます。「稼ぐ人」は、会議の記録など、会議の場で終えています。さらにその場で会議の結果に基づくアクションプランを決めて、すぐ動けるようにします。

「稼ぐ人」によっては、そもそもノートなどとらず、とにかくそこで決定してしまいます。頭が常に臨戦態勢で成果イメージもクリアなので、いつでも必要なことは即決できる状態になっています。

「後でやろう病」の克服には、「リアルタイム処理」を身につけることです。それには、まず簡単なところで、即決の練習をします。例えば会議などの機会を利用して、とにかくその場で記録を終えてしまう練習をします。

はじめのうちは不安でしょうから、即決で浮いた時間を使って即決の結果(例えば記録)を手直しして質を高めておきます。高度な問題についてのリアルタイム処理は、「七つの才」の開花がかなり進まないと難しいでしょうが、簡単なもののリアルタイム処理はやってみると思いの他、早く身につくはずです。

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稼ぐ人、安い人、余る人

終身雇用、年功序列が崩壊し、リストラも当たり前になった昨今。元官僚で、現在はコンサルタントとして世界で活躍するキャメル・ヤマモト氏は、著書『稼ぐ人、安い人、余る人』で、ビジネスパーソンの「選別」が始まっていると説く。この厳しい時代において、わずか1割の「稼ぐ人」になるためには、どのようなことを心がければよいのか? 本書より、その一部をご紹介します。

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キャメル・ヤマモト

本名・山本成一。1956年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、外務省入省。のち、コンサルタント会社に転じ、日米両国で活動。現在は中国に拠点を移し活躍中。

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