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おしゃれ嫌い

2019.08.08 更新 ツイート

なぜユニクロだけが「国民服」「一億人のファッション」になったのか米澤泉

ユニクロがここまで普及した理由は、服は特別なもの、おしゃれは難しいという思い込みを解き、服で個性を競うことに疲れた人々の心を掴んだから。これまで指摘されることのなかったユニクロのメッセージと消費の変化を気鋭の社会学者が『おしゃれ嫌い~私たちがユニクロを選ぶ本当の理由~』で鮮やかに読み解きます。

安いからユニクロを着るわけではない

今の日本で、ユニクロを一度も着たことのない人はどれぐらいいるだろうか。

アウターだけでなく、インナー、下着を含めれば、一億総ユニクロ状態、ほぼ誰もが何らかのアイテムを所有し、何らかのかたちでユニクロを着ているのではないだろうか。逆に、よほど意識してユニクロを拒絶しない限り、ユニクロを身につけてしまうのではないだろうか。

もちろん、20年近く前から、ユニクロは私たちの身近なアイテムとして、浸透している。フリース、ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウン、さまざまな新素材の登場とともに、ユニクロは大ヒットを飛ばし、私たちの生活の中にどんどん入り込んできた。気づけば、おじいちゃんから孫まで、一人一着は必ず持っているブランドとなっていたのだ。

なぜ、私たちはフリースやヒートテックを身につけるのだろう。

なぜ、私たちはユニクロを着るのだろう。

それは、「安いから」なのか。ユニクロがポピュラーになった20年前ならば、その答えが正解だったかもしれない。だが、現在はそれだけでは、正解とは言えない。私たちは、「安いから」という理由だけで、ユニクロを着るのではない。安い服ならば、他にも数多く存在する。その中で、なぜ、ユニクロだけが、「一人勝ち」なのか。なぜ、ユニクロだけが、「国民服」となり、「一億人のファッション」となりえたのか。

もちろん、ユニクロのここまでの道のりは決して平坦ではなかった。一大ブームを巻き起こし、誰もが着るようになったものの、あまりにもポピュラーになりすぎたために、「ユニバレ」「ユニ被り」と否定的に語られることもあった。確かに着るけれども、着ていることを周りに知られたくない。10年前はまだユニクロを着ていることがバレるのを恐れる時代であった。しかし、現在は違う。すっかりデイリーブランドとして定着し、ファッション誌でも頻繁に特集されるようになった。ユニクロを着ることの意味は、ここ数年で肯定的に変化したのである。

いつからこうなったのだろうか。いつからファッション誌は「ユニクロでよくない?」と言い始めたのか。なぜ、「ユニバレ」「ユニ被り」から一転して、積極的に「ユニクロ女子」を名乗るようになったのか。そもそもなぜ、ユニクロでよくなったのか。ユニクロが一番に選ばれる服になりえたのはなぜか。

やはり、柳井正の先見の明が抜きん出ていたからだろうか。ファーストリテイリングの戦略が素晴らしかったからだろうか。もちろん、その答えも間違いではないが、それだけではない。むしろ、ファッションの転換期に相応しいタイミングでユニクロの服が現れたからではないだろうか。

この本は、企業としてのファーストリテイリングやユニクロのブランディング戦略に迫り、成功の秘密を解き明かすわけではない。決して「ユニクロに学ぶ」わけではない。言うまでもなく、ユニクロを礼賛するわけではない。

そうではなく、なぜ私たちがユニクロを着るようになったのかを問う。平成という時代とともに世に広まり、まさに「国民服」として台頭してきたユニクロ。そして今、「LifeWear(ライフウェア)」として評価されるユニクロ。その意味合いは平成の始まりと、終わりを迎えた現在とでは劇的に変化した。

本書はユニクロの変化の過程を追い、ユニクロを通して、現代における「服を着ること」「消費の変化」「欲望のあり方」について明らかにすることを目的としている。むしろ、現在の私たちが求めるユニクロ的なるものについて考えることを目指している。

ユニクロを追うことは、この30年の間に服を着ることの意味がどのように変わったのかを考えることになるだろう。それは、おしゃれとの付き合い方の変化を浮き彫りにすることでもある。

*続きは『おしゃれ嫌い~私たちがユニクロを選ぶ本当の理由~』をご覧ください。

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関連書籍

米澤泉『おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由』

日本の国民服となったユニクロ。長く無視していたファッション誌も今ではユニクロの虜だ。ここまで普及した理由は、服は特別なもの、おしゃれは難しいという思い込みを解き、服で個性を競うことに疲れた人々の心を掴んだから。もう誰もが服に余計なお金も時間も使いたくない。ユニクロはその変化にいち早く気づき、「見た目」をよくするための服ではなく、「くらし」をよくするための服を提案し続けてきた。それは世界をも席巻している。これまで指摘されることのなかったユニクロのメッセージと消費の変化を気鋭の社会学者が鮮やかに読み解く。

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米澤泉

甲南女子大学人間科学部文化社会学科教授。1970年京都生まれ。同志社大学文学部卒業。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は女子学(ファッション文化論、化粧文化論など)。『「くらし」の時代』『「女子」の誕生』『コスメの時代』『私に萌える女たち』など著書多数。

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