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世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45

2019.07.30 公開 ツイート

なぜ日本の子どもは「アウトプット」が苦手なのか? 廣津留真理

独自の家庭教育で、一人娘を地方公立校からハーバード大学現役合格に導いた廣津留真理さん。学校や塾に「外注」しなくても、親の教育しだいで子どもの学力はいくらでも伸ばすことができるのです。著書『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』より、今日からわが子に実践できるメソッドをご紹介します。お父さん、お母さんは必見!

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「5教科」至上主義から脱出せよ

子どもたちは小さい頃はみんな言いたい放題なのに、大人しく席について5教科を勉強させられているとだんだん覚えるインプットだけが得意になってしまい、それに慣れすぎてアウトプットが少なくなってきます

(写真:iStock.com/monkeybusinessimages)

確かにインプットがないとアウトプットはできません。私の英語教室でも、導入時はインプット(読み、単語暗記)から入ります。理由は2つあります。一つ目は、英語スピーキングの機会が少ない日本で日本人が英語を習うなら、家庭でらくらくできる文章の読み書きがもっとも効果的だから。二つ目は話す、書くといったアウトプットを上手に行うには、インプットが欠かせないからです。

でも、日本語ならインプットとアウトプットは同時並行で進めるのが正解。アウトプットがあると自己表現ができるので子どもたちは快活で明るくなりますが、黙ってインプットばかりに励んでいるとどんどん暗くなって自己表現が下手になります。

日本人は5教科を受け身でインプットするのは得意なのに、アウトプットが苦手なタイプが少なくありません。それは横並びの減点主義の弊害。「何でもいいから、思ったことを話してみよう」と表向きは言っていても、失敗を許さない文化が日本にはまだまだあります。

その空気を感じ取った子どもたちも「変なことを言って失敗したら、どうしよう」と不安なので自ら何かを表現するのに二の足を踏むのです。

私の教室でも、ママやパパが授業を観に来ているクラスでは、何を聞いてもみんな同じような意見ばかり言う傾向があります。ところが親御さんがいないときに、私が二人きりで同じ質問をすると、みんな自分の意見をはっきり述べます。

子どもたちは親御さんをつねに意識しており、ママとパパが好きなあまり、「私が何かマズいことを言ってこの場で外したら、授業を観に来てくれたママとパパが恥ずかしい気持ちになって可哀想」と気遣っているのです。子どもたちから、ママとパパに嫌われたくない、親が困る姿を見たくないという気持ちが私にはひしひしと伝わってきます。

サマー・イン・ジャパンに参加してくれる日本の子どもたちも、1日目は心を固く閉ざしたように自分からは何も話せません。しかし講師役のハーバード生が閉じた心をオープンにしてあげると、生まれ変わったように自由に話せるようになります。

ビジネスでもアウトプットが大事

アウトプットが苦手な子どもをオープンマインドにして自己表現がしっかりできるようにするためには、家庭での教育が大事です。

(写真:iStock.com/metamorworks)

英語教室を通じてさまざまな家庭を見ていると、アウトプットが苦手で大人しい子どもの家はパパかママにやや権威主義的な傾向が見受けられます。家庭でパパとママの言うことを子どもが黙って聞くという図式があるので、家の外でも子どもは萎縮して黙っているのです。

かといって友達みたいに仲が良い家族もフランクすぎるので、フランクでありながら真面目で深い対話ができている環境が理想です。そうしたら家の外でもアウトプットが増えて自己表現ができるようになります。これも家庭教育でのアクティブ・ラーニングの目的の一つです。

コンピュータ・サイエンスが得意で、じっと黙って考えごとばかりしているオタクタイプのハーバード生でも、外向的でアウトプットが得意です。彼らに聞いてみると、やはり子どもの頃から両親とたっぷり対話をしていたそうです。

子どもだけではありません。日本では、大人だって下手なことを言うくらいなら黙っていた方がいいし、間違ったことを言うくらいなら周囲に同調した方がいいと内心思っている人は多いのではないでしょうか。

飲み会などのインフォーマルな場所では上司の愚痴から政治批判までベラベラとしゃべっているのに、会議のようなフォーマルな場所では二枚貝になったように口を固く閉ざしてしまうタイプは少なくないはずです。

グローバル化が進むと、典型的なハイ・コンテクスト社会で“あ・うんの呼吸”が通じた日本社会でも、自分から積極的にアウトプットする人材が評価されるようになります

昭和時代の社長さんは黙ってエラそうなイメージでしたが、いまやトヨタ自動車の豊田章男社長も英語で軽妙なプレゼンをする時代。アップルの故スティーブ・ジョブズのように、リーダー自身が自分の言葉で語る姿が評価されます。

日本でも30~40代でスタートアップ(起業)して成功したCEOには一見軽いノリでよく誰とでも話す人が増えてきました。子どもたちがのびのびと思ったことを伝えられる人間に育つように家庭でアウトプットをする機会を作ってください

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世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45

独自の家庭教育で、一人娘を地方公立校からハーバード大学現役合格に導いた廣津留真理さん。学校や塾に「外注」しなくても、親の教育しだいで子どもの学力はいくらでも伸ばすことができるのです。著書『世界のトップ1%に育てる親の習慣ベスト45』より、今日からわが子に実践できるメソッドをご紹介します。お父さん、お母さんは必見!

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廣津留真理

大分県在住。早稲田大学第一文学部卒。ブルーマーブル英語教室代表、一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)設立者・代表理事・総合プロデューサー、株式会社ディリーゴ代表取締役。2012年、一人娘のすみれさんが18年間塾なし、留学なし、学費は小中高12年間でたった50万円で、地方公立からハーバード大学へ現役合格。「英語4技能(読む、聞く、書く、話す)」を伸ばし、本当に「使える英語力」を磨く独自のメソッドで、多数の小学生を大学入試レベルの英文が読めるように導く。ハーバード生が子どもたちにプレゼンや演劇などを英語で教えるサマースクール「Summer in JAPAN」を2013年から開催し、2014年に経済産業省の「キャリア教育アワード奨励賞」を受賞。著書に『世界に通用する一流の育て方 地方公立から<塾なしで>ハーバードに現役合格』(SBクリエイティブ)、『英語で一流を育てる 小学生でも大学入試レベルがスラスラ読める家庭学習法』(ダイヤモンド社)がある。

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