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猫を撫でて一日終わる

2019.04.13 更新

薬がなくなったpha

なんとなく、飲むとやせるというサプリを飲んでいたのだけど、そうしたら体重が一ヶ月で4キロくらい減ってしまった。

別にそんなにやせたかったわけじゃない。ただ、何か薬を飲むのが好きなのだ。薬を飲むのって、ゲームでいうとアイテムや呪文のような感じがするから。

頭が痛いときは鎮痛剤を。胃がもたれるときは胃腸薬を。乗り物に酔うときは酔いどめ薬を。風邪のときは風邪薬を。筋肉痛には湿布を。不眠には睡眠薬を。野菜不足にはビタミン剤を。

 

あらゆる状態異常にはそれに対応する薬という対処法があるはずだ。薬さえあればどれだけ無茶な生活をしても大丈夫なような気がしてしまう。人体というのは所詮一つの機械だ。不調というのは体内の化学的なバランスが狂っただけだ。それならそれは何らかの化学物質の摂取によって調整できるはずだ。そうあってほしい。

やせたのはサプリのせいというよりも、ただ単に最近食事が少なくなったからかもしれない。以前は昼にカツ丼を食べて夜にラーメンを食べて間食にアイスを食べるみたいな生活をしてたのだけど、最近歳のせいか、そういうことをすると胃がもたれるようになってしまった。胃腸薬を飲んでも完全にはカバーしきれない。今は昼にカツ丼を食べたときには、夜はサンドイッチ一つくらい食べればいいやという感じだ。今までが異常で普通になっただけかもしれない。

この生活を続けていたらどこまで体重が落ちるのだろうか。あまり急激に体重を落とすのも健康に良くないらしいので、ちょっとリバウンドしたほうがいいのかな、と思っている。夜中にアイスを食べたりして。

 

そういえば、昔たくさん買っておいた、Dという薬がなくなってしまった。Dは昔は個人輸入が可能だったのだけど、二年前に禁止された。僕は禁止される直前に400錠ほど買いだめしていた。

Dは、飲むと気分が落ち着く作用がある薬だ。僕は緊張するイベントの前とか、頭の中がぐちゃぐちゃになって不安でどうしようもないときとかにDを飲んでいた。

飲みすぎて依存や離脱が起きるのが怖いので、いつも一錠を四分の一ずつ割って飲んでいた。青い円形の錠剤には割れ目がついているので、前歯をその割れ目に当てて、カリッ、と二分割する。そしてその二分割された半円を、さらに前歯で割って扇形にして、その一つを舌の上に乗せて飲み込む。普通の不調のときは四分の一錠を飲んで、ちょっと重めの不調のときは半錠を飲んでいいことにしていた。一錠を丸ごと飲み込むのは、よっぽどのときだった。

飲むと落ち着くような気がしていたけれど、本当はそんなに効果はなくて、プラシーボ効果だったのかもしれない。効果があるにせよないにせよ、何か不安があるときは、それに対して取るアクションがあるというだけで気持ちは落ち着くものだ。

Dは別に珍しい薬ではない。個人輸入は禁止されたけれど、普通に日本の病院で「不安がやばい」とか言えば出してくれるらしい。だけど僕は病院に通うのが嫌いなので、病院に行ってまでもらいたいとは思わない。

これからは、不安に襲われたときも緊張するイベントの前も、薬に頼らず自分の力でなんとかしないといけない。自分の力だけでこの不安だらけの人生を戦っていかなければいけない。でも、みんなそうやっているのだ。やっていくしかない。

薬は便利なものだけれど、薬があれば何にでも対応できるはずだ、という思考は良くないのだろう。この世界には、理不尽でわけがわからなくて対処法の存在しない、名前のない怪物のようなできごとがたくさん溢れているのだから。

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コメント

医療系情報局  薬がなくなった|猫を撫でて一日終わる|pha - 幻冬舎plus https://t.co/fCJBKUiApd https://t.co/NDX88XXwqr 8日前 replyretweetfavorite

健康おたくおじさん  薬がなくなった|猫を撫でて一日終わる|pha - 幻冬舎plus https://t.co/yUIS32hWf3 8日前 replyretweetfavorite

つぶやけ太郎冠者  まともな病院で診断書もらって役所の福祉課で何かしらの認定を受けたらある程度楽になりそうな気がするのだが。その為の手引書も色々世に出ている。体力オバケに迎合しなくていいと思う / “薬がなくなった|猫を撫でて一日終わる|pha -… https://t.co/VuDO4Oxo2C 8日前 replyretweetfavorite

猫を撫でて一日終わる

人と話すのが苦手だ。ご飯を食べるのが面倒だ。少しだけ人とずれながら、それでも小さな幸福を手にしたっていいじゃないか。自分サイズの生き方の記録。

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pha

1978年生まれ。大阪府大阪市出身。現在東京都内に在住。京都大学を24歳で卒業し、25歳で就職。できるだけ働きたくなくて社内ニートになるものの、28歳のときにインターネットとプログラミングに出会った衝撃で会社を辞める。以来毎日ふらふらしながら暮らす。シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人。著書に『ニートの歩き方 お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法』(技術評論社)、『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』『ひきこもらない』などがある。

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