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前進する日もしない日も

2019.01.09 更新

ヘルシンキ 人気カフェのベジバーガー益田ミリ

一度、食べてみたいなぁと思っていたのである。

『ストーリー』というカフェのランチである。

『ストーリー』はマーケット広場近くの市場、オールド・マーケットホールの中のカフェである。ミシュラン獲得のシェフの料理がリーズナブルな値段で食べられるので人気なのである。去年は気後れしてあきらめたが、今年はチャレンジ! しかし、早目に行ったのに、すでに超満員。座る席も取り合い気味だ。マーケットの通路のような場所なので、もともと席数が少ない。

やっぱりやめとこ、とあきらめかけていたときに、カンピショッピングセンターのレストランフロアーに支店があることを知る。よし、そっちにしよう。

 

 

ランチタイムを避け、午後3時に店へ。日本でいうところの、デパートの食堂街のような雰囲気。かなり入りやすそうだ。オープンな入り口なので、中の様子もよく見える。空き席は十分あった。大きな窓から太陽の日射しが射し込んでいる。

カウンターで注文し、先にお金を払うシステムだ。ネットで調べるとサーモンスープがおいしいらしいが、ハンバーガーも有名みたいだ。メニューに野菜のハンバーガーがあり、それに決める。番号が書かれた札を渡され、席の前に立てておくと運んできてくれる。

景色がいい窓際も空いていたが、カウンターに近い席に座る。「わたしはここにおります!」と目立つ席だ。セルフサービスの無料の水をもらって待機する。

しばらくして、楕円の白いお皿にのったハンバーガーが運ばれてきた。べジバーガー16.9ユーロ。日本円にして二千円ちょっと。グリーンサラダが添えられている。

バンズは見るからにふっわふわ。パクリと頬張ると意外な食感。グリルした大きめの茄子やパプリカである。大豆ミートのパティを想像していたのである。

塩加減もぴったり。おいしい。しかし、半分を過ぎたあたりで、パンとグリル野菜だけというのが味気なくなり、今度来た時は肉のバーガーにしようと思う。

食べ終えて街に出た。

あさって帰国だから、まる一日観光できるのは明日だけ。そう思うと急に気持ちが急いてきて、午前中にヘルシンキ市立美術館に行ったのに、さらに、国立現代美術館キアズマにも行ってしまった。疲れるから、美術館は一日ひとつと決めていたのに、つい。

キアズマは駅近で、利便性に優れている。一階に大きなカフェがあるので、そこだけ利用することも可能だ。

去年も感じたが、現代美術の展覧会は映像作品がどんどん増えている。映像も楽しいけれど、大きな空間があるのだし、巨大な立体作品を見たいなぁとも思う。作家の自由度、わがまま度を目の当たりにできるのがデカい作品の醍醐味である。

「この作品は、天井から自動車を宙づりにして欲しいんデスよ」

画家が言うなら美術館はやってくれる。そういうタイプの作品を見られたときは、やっぱりわくわくするのだった。

キアズマの後は、トラムで老舗カフェ・エンゲルへと向かう。お昼のベジバーガーが遅かったので、夕飯は軽めにデザートと紅茶に。

窓辺の席があいていた。キャロットケーキとルイボスティ。しばし読書タイムだ。旅先で、さらに本の中の世界に旅する贅沢さよ。

本の世界から戻って顔を上げれば、窓の外にヘルシンキ大聖堂がどーん。特等席だ。読書と観光とお茶を同時に行えるひとときを味わった。

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林けいこ  ヘルシンキ 人気カフェのベジバーガー<前進する日もしない日も>益田ミリ-幻冬舎plus https://t.co/rQovJ826wv 9日前 replyretweetfavorite

前進する日もしない日も

仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に漫画「すーちゃん」シリーズ、『週末、森で』『きみの隣りで』『世界は終わらない』『今日の人生』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『泣き虫チエ子さん』などがある。またエッセイ『女という生きもの』『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』や、絵本『月火水木金銀土日 銀曜日はなにしよう?』(共著)など、ジャンルを超えて活躍する。最新刊は小説『一度だけ』。

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