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前進する日もしない日も

2021.01.09 更新 ツイート

絶対失敗しないお菓子作り 益田ミリ

シュークリームを手作りしていた頃があったのだ。今となっては幻影のようである。10代の終わりだっただろうか。カップケーキやパウンドケーキをよく焼き、その流れでシュークリームも作っていた。わたしが台所に立っていると、「今日はなに作るん?」などと家族にも楽しみにされたものである。

 

月日は流れ、現在のわたしにとってお菓子とは「買うもの」でしかなく、その理由は「うちに電子レンジがないから」もあるが、やはり「面倒くさいから」である。

とはいえ、この頃作っているお菓子がある。

きっかけは去年の節分。豆まきの豆を買ったものの、ちょっと食べた後はなかなか減らない。豆のイソフラボンは肌にも良いらしい。摂取せねばという気持ちはあるが、あの豆をおやつとして食べるにはもの足りない。

それで、チョコレートで固めてみることにした。湯煎したチョコレートの中に節分の豆をドバッと投入し、スプーンでさっくりと混ぜる。それを一口サイズずつクッキングシートに並べて乾燥させれば名もなきチョコレート菓子の完成である。イソフラボンは摂取できるし、チョコレート菓子としても楽しめる。そのチョコレートも72パーセントのだからヘルシーだ。

以来、節分の豆以外にもクルミやアーモンドなど様々なナッツ類をチョコでコーティングして楽しんでいる。

さて、家にリンゴがあった。

これもチョココーティングできるだろうか?

皮をむき、カットし、湯煎チョコレートに投入してみた。生のリンゴでは水分が多く、チョコがうまくコーティングできなかった。チョコの間からリンゴがまだらに見えている。冷蔵庫で冷やせばなんとかるかなとやってみれば、水分が蒸発し今度はシワシワに。不気味だ。デザートとは思えないモノがそこにあった。

これをさらに凍らせたらどうなるのか?

やるしかあるまい。やってみた。食べてみた。それなりにおいしかった。半分凍ったシャリシャリのリンゴと、パリッとしたまだらのチョコが合うのである。ただし、手間がかかる上に見た目がアレなので二度と作ることはないだろう。

冬のフィンランドを旅したときだった。

チョコレート屋さんのカフェのショーケースにイチゴのチョコがけが並んでいた。暖かい店内で温かい飲み物と一緒に食べたときの幸せが忘れられず、イチゴのチョコがけは家でもたまに作る。これは絶対に失敗しない。

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前進する日もしない日も

仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に、漫画『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『週末、森で』『きみの隣りで』『今日の人生』『泣き虫チエ子さん』『こはる日記』『お茶の時間』『マリコ、うまくいくよ』などがある。また、エッセイに『女という生きもの』『美しいものを見に行くツアーひとり参加』『しあわせしりとり』『永遠のおでかけ』『かわいい見聞録』や、小説に『一度だけ』『五年前の忘れ物』など、ジャンルを超えて活躍する。

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