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脳が冴え続ける最強メソッド

2018.05.10 公開 ツイート

「脳のケア」は、世界のビジネスエリートがもう始めている常識だ 寒竹泉美(サイエンス・ライター)

歳のせいか最近物忘れが多い、仕事の決断に昔より時間がかかる…。そんな脳のパフォーマンスの低下は、実は適切な休息をとることで改善できることがわかってきました。すでに世界のビジネスエリートたちは、肉体をメンテナンスするように脳のケアを始めています。日本でも昨年、認知症を予防するための脳トレーニングジム「ブレインフィットネス®」の誕生が話題に。5月にはこの脳トレーニングジムのプロデューサー髙山雅行氏と脳科学者の杉浦理砂氏の共著『ブレインフィットネスバイブル 脳が冴え続ける最強メソッド』も刊行されます。
どうやったら加齢に負けず、冴えた脳を維持していけるのか?書籍の内容の一端をご紹介するコラムシリーズです。

本当はもっとできるはずの脳。なぜ起動できないのか?

「ほとんどの人間は脳の10%かそれ以下の割合しか使っていない」という話を耳にしたことがある人も多いと思います。これは多くの科学者によって疑問視されている、いわば都市伝説のような話で、10%という数値に科学的な根拠はありません。でも、広まり方や信じている人の多さから考えると、この説がたくさんの人の心をとらえる魅力的な都市伝説であるということは間違いなさそうです。

“どうしたら残りの90%の力を目覚めさせることができるだろう”と考えたことのある人のために、この都市伝説を、最新脳科学に基づく、より確からしい言い方に修正するとこうなるでしょう。

ある条件に当てはまる人は、脳が本来の力を発揮できていない可能性があり、本来の力を発揮できるように働きかけることができる可能性がある

では、ある条件に当てはまる人とは、どんな人でしょうか。
それは、「脳のケアに無頓着な人」。例えば、毎日十分な睡眠をとっていない人、仕事に追われている人、ストレスの多い人、食事や運動に気を配っていない人、健康的な生活をしていない人たちです。条件に当てはまらない人を探すほうが難しいかもしれませんね。

脳パフォーマンスが落ちるのは“歳のせい”だけではないという事実

くたくたに疲れ切った体では早く走れないように、脳も休ませずに酷使し続ければ本来のパフォーマンスを発揮できません。常に脳が疲労していると、パフォーマンスの落ちた状態を疲労のせいではなく、通常の自分の実力だと思ってしまいます。昔よりもうまく働かないけれど、歳をとったから仕方がないと諦めてしまうのです。しかしここに大きな間違いが潜んでいます。

たとえば、脳が疲労する原因の1つに、良質で十分な睡眠がとれていないことが挙げられます。
書籍『ブレインフィットネスバイブル 脳が冴え続ける最強メソッド』には、米国ペンシルバニア大学で行われた興味深い実験結果が紹介されています。

4時間睡眠を2週間続けたグループは、3日間徹夜を続けたグループと同じくらい認知機能が低下するという結果です。

認知機能とは「記憶する」「考える」「判断する」「コミュニケーションをとる」「情報を処理する」など脳の高次の機能を指す言葉で、どれもビジネスパーソンに欠かせない力といえるでしょう。つまり、毎日4時間睡眠が当たり前という人は、常に3日間徹夜のときと同じくらいしかパフォーマンスを発揮できていない可能性があるのです。
さらに、6時間睡眠を2週間続けたグループの認知機能のレベルは、徹夜グループの1日目の結果より下だったのです。ちなみに、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、睡眠時間が6時間未満の人の割合は、平成27年には全体の約40%に上っています。

もちろん必要な睡眠時間は人によって違うので、すべての人がこの実験結果にあてはまるわけではありません。でも、脳の健康を取り戻す取り組みを始め、自分にどんな変化が起こるか体感してみることに大きな価値があることは間違いありません。

ビジネスエリートはもう始めている「脳のケア」

ここ数年、マインドフルネス瞑想や睡眠の重要性が注目を集めています。シリコンバレーの第一線で活躍するビジネスパーソンやエンジニアたちが発端となった、パフォーマンスを上げるために脳を休める習慣は、今や世界中で実践されています。脳を酷使する現代社会に適応しながら、高いビジネス・パフォーマンスを維持していくための新しいスタイルだと言えるでしょう。

80年代以降、肉体の健康を目指すフィットネス・ジム通いや、ヨガやランニングを続けることが、多くの人たちにとって習慣になっていったのと同じように、これからは脳のケア=ブレインフィットネスを私たちの生活の一部にしていく必要があるようです。実際、アメリカではブレインケアや脳トレーニングのマーケット市場が著しく拡大していますが、睡眠不足大国であり、超高齢化社会がそこまで迫っている日本こそ、社会全体で意識していくべきテーマなのです。

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