Titleの2階はギャラリーになっており、大体二週間くらいの会期で、本に関する様々な展示を行っております。イラストレーションや写真、コンセプチュアルアートなど、作家によりその都度、ギャラリーの空間が変わります。本屋の中にあるギャラリーということを活かし、Titleが特に力を入れているのが〈ことば〉の展示です。
普段、ことばの存在を意識する人はどのくらいいるでしょうか。毎日読み書きしたり、人に話しかけたり……、ことばを使わない人はいないと言ってもよいくらいでしょうが、まさかその〈ことば〉が展示の対象になると聞けば、驚く人もいるかもしれません
詩人・最果タヒさんの詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトルモア)の刊行記念で行った展示では、この本のブックデザインを担当した佐々木俊さんの考案で、最果さんの詩を「青焼き」と呼ばれる紙に印刷し、本の世界観を表現しました。
普段は手に持って読むことの多い詩集ですが、大きく紙に印刷されたことばからは、「どこからか声が聞こえてきそうだ」というような感想も多く寄せられました。
作家の保坂和志さんの生原稿をそのまま展示したこともあります(『試行錯誤に漂う』みすず書房刊)。
手書き原稿の独特な感じを味わってもらいたいと思った企画ですが、読みやすいようにと思い、原稿の下にパソコンで入力したテキストも展示しました。しかし、ご覧になる方は手書きの原稿をずっと読み込んでいるようで、それだけ手で書いた文字には、迫力があるのだと思い知らされました。
現在、ギャラリーでは「Poetry for LIFE~若松英輔の大切な詩集」という企画を行っております(5月22日まで)。批評家の若松英輔さんが大切にしてきた15冊の詩集から、一篇ずつ書き写した詩を会場に並べております。手で書かれた詩のことばからは、何か見る人のこころに直接語りかけてくる声が聞こえるようで、一つ一つ丁寧にご覧になる方が多くいらっしゃいます。〈ことばを見る体験〉は、普段何気なく使っていることば、何気なく過ごしている時間を、見直すきっかけになるかもしれません。
今回のおすすめ本

批評家・若松英輔、初の詩集。若松さんは日ごろから「読むと書く」ことについて、「深く読むためには、まずは自分が書いてみることだ」ということをお話しされますが、本当に自分のことばで詩を発表されました。ゆっくりと味わえば、自分の中に忘れていた感情が甦ってくる……この詩集を読むと、そんな豊かな時を過ごすことができます。
◯連載「本屋の時間」は単行本でもお楽しみいただけます

連載「本屋の時間」に大きく手を加え、再構成したエッセイ集『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』は、引き続き絶賛発売中。店が開店して5年のあいだ、その場に立ち会い考えた定点観測的エッセイ。お求めは全国の書店にて。Title WEBS
◯2026年1月10日(土)~ 2026年2月2日(月) Title2階ギャラリー
本屋Titleは、2026年1月10日に10周年を迎えました。同日より2階のギャラリーでは、それを記念した展示「本のある風景」を開催。店にゆかりのある十名の作家に「本のある風景」という言葉から連想する作品を描いていただきました。それぞれの個性が表れた作品は販売も行います。本のある空間で、様々に描かれた〈本〉をご堪能ください。
【『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』が発売中です】
本屋Titleは2026年1月10日で10周年を迎えました。この度10年の記録をまとめたアニバーサリーブック『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』が発売になりました。
各年ごとのエッセイに、展示やイベント、店で起こった出来事を詳細にまとめた年表、10年分の「毎日のほん」から1000冊を収録した保存版。
Titleゆかりの方々による寄稿や作品、店主夫妻へのインタビューも。Titleのみでの販売となります。ぜひこの機会に店までお越しください。
■書誌情報
『本屋Title 10th Anniversary Book 転がる本屋に苔は生えない』
Title=編 / 発行・発売 株式会社タイトル企画
256頁 /A5変形判ソフトカバー/ 2026年1月10日発売 / 800部限定 1,980円(税込)
◯【寄稿】
店は残っていた 辻山良雄
webちくま「本は本屋にある リレーエッセイ」(2025年6月6日更新)
◯【お知らせ】NEW!!
養生としての〈わたし〉語り|〈わたし〉になるための読書(8)
「MySCUE(マイスキュー)」 辻山良雄
今回は、話すこと、そしてそれを通じて自分自身を考えさせられる3冊の本を紹介します。
NHKラジオ第1で放送中の「ラジオ深夜便」にて本を紹介しています。
偶数月の第四土曜日、23時8分頃から約2時間、店主・辻山が出演しています。コーナータイトルは「本の国から」。ミニコーナーが二つとおすすめ新刊4冊。1週間の聴き逃し配信もございますので、ぜひお聞きくださいませ。
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本屋の時間

東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」店主の日々。好きな本のこと、本屋について、お店で起こった様々な出来事などを綴ります。「本屋」という、国境も時空も自由に超えられるものたちが集まる空間から見えるものとは。

本屋Title10周年記念展「本のある風景」











