1. Home
  2. 生き方
  3. 本屋の時間
  4. 荻窪にある本屋「Title」です

本屋の時間

2016.12.01 更新 ツイート

第1回

荻窪にある本屋「Title」です辻山良雄

町の本屋さん「Title」店主の新連載。店主おすすめの書籍もご紹介。月2回更新です。(photo:齋藤陽道)

 はじめまして。Titleという本屋を営んでおります辻山良雄と申します。Titleは東京の西にある荻窪駅から10分少々歩いたところに店があり、今年の一月に開店しました。まもなくできて一年になります。青梅街道沿いのイチョウ並木の横にある、古い一軒家を改装した店で、1階が本屋とカフェ、2階をギャラリーにしております。

 個人で新刊書店を開いた例というのはここ10年の間でもほとんどないと、後から多くの人に聞きました。私がこの仕事をするようになった20年ほど前から、「本が売れない時代になった」とずっと言われておりました。しかし、個人で本を売りながら自分とその家族を養い、しかも楽しく生きていくことができないかと思い、勤めていた書店の閉店を機会に自分の本屋を開くことにしました。

 いざ、町の中に自分の店を出して、そこに一日中いるようになると、本を売ることの意味が以前よりもはっきりと実感できるようになりました。来店されるお客さまは、POPやサインもない簡素な店の中、ずっと本棚を眺めたあとで、大事そうに本を数冊抱えてレジに来られます。小さな空間の中では、一冊の本の存在感がより増してくるようであり、その人にとってかけがえのないものになるかもしれない一冊を手渡しているという、本を売る仕事の醍醐味を毎日感じています。

 何せ朝から晩までずっと店にいるので、どんなお客さまがどんな本を買っていったのか、店の中で起こった様々なことや一冊の本にまつわる話などを、ずっとレジの中から見てきました。この連載では、そうした本屋の中で生まれた話や、本屋という場所について考えたことを、思いつくままに綴っていきます。

 一冊の本の中には、それぞれ広い世界が広がっているように、一軒の本屋という場所にも、底知れぬ不思議さがあるように思います。

 

今回のおすすめ本

フジモトマサル『二週間の休暇』(講談社)

 一年前、急逝したフジモトマサルさんが遺した長編漫画。壁をひとつ隔てた先には、こんな不思議な世界が広がっているのではないか。そう思わせる、ひやりとしてあたたかな世界。この本の中に「ニライ書房」という小さな本屋がちょっとだけ出てきますが、こんな感じの本屋になりたいと思っています。


 

◯Titleからのお知らせ
6月1日(月)から、書店・カフェともに店頭での営業を行います。短縮営業です。詳細はこちらをご覧ください。

◯2020年9月12日(土)~ 2020年9月29日(火) Title2階ギャラリー

西淑作品集 刊行記念巡回展 “WORKS” 2020

西淑作品集「Shuku Nishi WORKS」、「DRAWINGS」の刊行記念巡回展。これまで、西淑が手掛けてきた装幀の原画作品を中心に、新たに描き下ろした作品も展示販売します。

 

◯ 2020年10月3日(土)~ 2020年10月4日(日)Title 2階ギャラリー

第6回「家族製本」展示 | 宮本恵理子+キッチンミノル
取材体験でつくる、家族のための時間。 完全オーダーメイド&オールハンドメイドの本づくり。

家族が永遠に残したい言葉と写真の表現をプロがお手伝いし、世界で1冊の本に仕立てる「家族のためのものづくりプロジェクト」。ライターによるインタビューと、カメラマンによる写真撮影を、ご家族で一緒に体験してみませんか?

 

◯かみのたね『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙』書評/辻山良雄 2020.8.27



◯『本屋、はじめました』増補版がちくま文庫から発売、たちまち重版!!

文庫版のための一章「その後のTitle」(「五年目のTitle」「売上と利益のこと」「Titleがある街」「本屋ブーム(?)に思うこと」「ひとりのbooksellerとして」「後悔してますか?」などなど)を書きおろしました。解説は若松英輔さん。
 

 

◯辻山良雄・文/nakaban・絵『ことばの生まれる景色』ナナロク社

店主・辻山が選んだ古典名作から現代作品まで40冊の紹介文と、画家nakaban氏が本の魂をすくいとって描いた絵が同時に楽しめる新しいブックガイド。贅沢なオールカラー。

 

 ◯辻山良雄『365日のほん』河出書房新社

春、夏、秋、冬……日々に1冊の本を。書店「Title」の店主が紹介する、暮らしを彩るこれからのスタンダードな本365冊。

 

 ◯辻山良雄『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』苦楽堂 ※5刷、ロングセラー!! 単行本

「自分の店」をはじめるときに、大切なことはなんだろう?物件探し、店舗デザイン、カフェのメニュー、イベント、ウェブ、そして「棚づくり」の実際。

関連キーワード

{ この記事をシェアする }

本屋の時間

東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」店主の日々。好きな本のこと、本屋について、お店で起こった様々な出来事などを綴ります。「本屋」という、国境も時空も自由に超えられるものたちが集まる空間から見えるものとは。

バックナンバー

辻山良雄

Title店主。神戸生まれ。書店勤務ののち独立し、2016年1月荻窪に本屋とカフェとギャラリーの店 「Title」を開く。書評やブックセレクションの仕事も行う。著作に『本屋、はじめました』(苦楽堂)、『365日のほん』(河出書房新社)がある。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP