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幻冬舎plus+編集部便り

2016.10.18 公開 ツイート

ストーカーにならない良い片思いの秘訣 仲俣暁生/二村ヒトシ

『すべてはモテるためである』、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』などの著作をはじめ、恋愛に悩む男女への深いアドバイスで人気の二村ヒトシさんの恋愛対談集『恋愛で暴走しないための技術』が電子書籍で発売になりました。対談のお相手は、アルテイシアさん、仲俣暁生さん、中野信子さんといった恋愛賢者たち。
恋愛に振り回されないための秘訣が満載の本書から抜粋してお届けます。
今回は、「パート2 仲俣暁生と二村ヒトシが叫ぶ『今こそ、恋愛には“橋本治的陶酔能力”が必要だ!」から。(*電子書籍は、Amazon Kindle、楽天Kobo、iBooks Store等の各電子書店でもお求めいただけます) 

恋愛には“陶酔能力”が必要だ!

仲俣 橋本さんの恋愛対象は男の人で、その”恋する”自分について徹底的に言語化した本なんだけど、ここ(編集部註:橋本治『恋愛論』のこと)で語られていることは異性愛でも起きていることだし、とにかく女性が読んでも目からウロコな名言の宝庫だと思う。例えば「恋をすると男は天使になる」なんて言葉は、すごい真実だけど誰もこんなこと書いたことなかったよな、って(笑)。

二村 まさにそうですね。でも本書を読むかぎり、橋本さんって実はあまり恋愛が成立しないんですよね。というのも、ゲイではない男性ばかりを好きになってしまって……、基本的には「片想い」の話が多い。ところが橋本さんの頭の中には「だけど彼は僕に優しくしてくれたよ~ん」みたいなロマンチシズムがあって(笑)。

仲俣 そう、ロマンチシズムですよね。

二村 この本には「恋愛に必要なものっていうのは“陶酔能力”だ」と書かれている。つまり、自分の恋心に酔っぱらうってことですね。それが大切だと。これってすごく重要なことを言っていて、例えば普通の人の片想いだと、相手を一方的に好きになって苦しくなってしまうパターンが多いと思いますが、それってあまりよくない陶酔なんだと思う。

仲俣 そうなんですよね。でも現代では得てして「片想い」というと、ストーカーになるんですよね。

二村 そうなんです、そうなんです。

仲俣 相手との関係を自分の中で一方的に、かつ妄想的に膨らませていっちゃうと、最終的にはストーカーになる以外の選択肢がない。だけど、橋本さんの説く陶酔能力っていうのはそうじゃなくて、ストーカーにならずに陶酔し続けるってことなんですよね。それこそが恋心であり、たとえ一方通行であっても、言い方は難しいけどそれはそれで幸せなことなんだと。人を恋することができるってこと自体が幸せだと。

二村 そうそう! 悲恋なんだけど、なんだか幸せそうなんです!(笑)

仲俣 このあたりについて二村さんにいろいろ伺いたいんですけど、やや病的なまでに恋愛に悩み、あるいはストーカー的になってしまう自分がつらい的なことを感じている人は多いと思うんですよね。そういう人は、どうやったら橋本治的な陶酔能力の方に持っていけるんだろう?

二村 これは本の解説にも書いたことなんですが、結論的なことを言ってしまうと「被害者意識を持たないこと」っていうのがひとつ大きな解になると思うんですよね。橋本さんは本の中で、「陶酔というものを作り出せるか、それとも自分の中の、自分に都合のいい陶酔にしか、のめり込めないでいるか」の違いが重要であるということを述べている。「自分が苦しいのは相手(もしくは世間、もしくは自分)が悪いからだ」という発想を橋本さんは絶対にしない。そうじゃなくて、恋はまず“ドラマ”ありきで、自分の中の陶酔は大事にするけど、相手にとって不本意な形でそれを押しつけることはしない。

仲俣 なるほど。橋本さんは鶴屋南北を卒論のテーマにしたほど、歌舞伎や浮世絵といった江戸時代の文化に深い理解と関心のある人ですけど、彼のいう陶酔って、もしかしたら“粋”って感覚に近いのかもしれませんね。橋本さんは東京生まれ、つまり江戸っ子でしょう? 恋愛において被害者意識をもつこととか、自分の気持ちを一方的に相手に押しつけたりすることを、いたって“野暮”だと感じているのではないか。野暮は江戸っ子にとって何より耐えられないことのはずなので。

二村 橋本さんって屁理屈を交えながらまわりくどい文章を書くし、文体も甘えたような口調でナヨナヨしているようにも見えるんだけど、実はものすごく男らしい人なんだと思う。それってつまり、仲俣さんの言う粋ってことなのかもしれない。「自分について徹底的に考え、だが、罪悪感も被害者意識も持たない」というのが、橋本治の真骨頂だと思います。

 ***
続きは、『恋愛で暴走しないための技術』でお楽しみください。
下記に目次もご紹介します。

パート1 

アルテイシアと二村ヒトシが語る
「オクテ女子のための恋愛指南」

■オクテ女子は非モテ男子を育てるべし!
■恋愛至上主義の両親を反面教師に!?
■非モテのオクテ独身男子は“ブルーオーシャン”
■乳首の感度も高めな20代男子に希望あり!?
■男は「受け力」を、女は「攻め力」を鍛えるべし!
■「レズビアンのリバ同士」みたいなセックスを推奨したい


パート2
仲俣暁生と二村ヒトシが叫ぶ
「今こそ、恋愛には『橋本治的陶酔能力』が必要だ!」

■30年の間に2度の復刊を果たした不朽の名作
■「橋本治とは○○である」と言い表せない幅広さ
■恋愛に必要なものは“陶酔能力”である
■王者とクイーンの気高きドッジボール対決
■「恋は戦い」ではなく、「戦いこそが恋」だ!
■恋愛の暴走を止め、恋愛の何たるかを教える

 

パート3 
二村ヒトシが中野信子に訊く
「恋をする時、脳では何が起きるのか?」

■人はなぜ“苦しい恋愛”にハマるのか?
■恋愛=快楽だけを得ようとする行為?
■脳の“建て増し構造”が生み出す苦しみ
■快楽と幸せはまったく違うもの!?
■セックスは好きだけど重い女は嫌いな男の脳内
■インチキ自己肯定は競争激化の産物!?
■男はまともな恋愛ができず、女は苦しい恋愛を繰り返す
■脳に電流を流すとセックスがうまくなる?
■「心」とは、非合理にして不完全な脳のユニット
■セックスする男たち、AKBを崇める男たち

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仲俣暁生 フリー編集者、文筆家

1964年生まれ。東京都出身。フリー編集者、文筆家。『WIRED日本版』、『季刊・本とコンピュータ』などの編集者を経て、現在はウェブサイト『マガジン航』編集人(発行:ボイジャー)。このほか『文化系トークラジオLife』のサブパーソナリティなども務める。著作 に『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、編著『ブックビジネス2.0』(実業之日本社)、『編集進化論』(フィルムアート社)など多数。
Twitter:@solar1964

二村ヒトシ アダルトビデオ監督

アダルトビデオ監督。1964年六本木生まれ。慶應義塾幼稚舎卒、慶應義塾大学文学部中退。監督作品として『美しい痴女の接吻とセックス』『ふたなりレズビアン』『女装美少年』など、ジェンダーを超える演出を数多く創案。現在は、複数のAVレーベルを主宰するほか、ソフト・オン・デマンド若手監督のエロ教育顧問も務める。 著書に『すべてはモテるためである』、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(ともにイースト・プレス)、『淑女のはらわた 二村ヒトシ恋愛対談集』(洋泉社)『オトコのカラダはキモチいい』(共著/KADOKAWA)などがある。
公式サイト:http://nimurahitoshi.net/
twitter:@nimurahitoshi / @love_sex_bot

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