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ぶらり東京・仏寺めぐり

2016.11.11 更新 ツイート

都内でできるお遍路めぐり 三寳寺長田幸康

東京には、観光スポットとしても人気の浅草寺・増上寺といった大寺院から、地元の信仰を集め続ける霊験あらたかなお寺まで、大小さまざまなお寺があります。身近なところに意外な歴史を持つ古刹があったり、なんとなく通り過ぎていたお寺に有名人のお墓があったりと、街歩きの目的としても興味深い寺院が、じつはたくさん佇んでいるのです。
自然を残し、静かな時間が流れる境内は、都会の癒しスポット。都内39のお寺を紹介している『ぶらり東京・仏寺めぐり』を片手に、涼しい秋風を感じながらの仏寺めぐりはいかがでしょう。思わず訪れたくなる素敵なお寺を、全6回にわたってご紹介します。

*  *  *

 

三寳寺(さんぼうじ/真言宗智山派)

地上の曼荼羅、根本大塔の麓。
「お砂踏み」でバーチャルお遍路

 

三代将軍家光ゆかりの御成門

 

 石神井公園と石神井川の間に位置する三寶寺は、六百年以上の歴史を誇る古刹。三寶とは仏教徒が大切にすべき三つの宝、仏(釈迦)・法(教え)・僧侶を意味する。鎌倉・大徳寺[だいとくじ]の幸尊法印が、亀の甲羅のような形の丘に真言密教の道場を開いたのが、亀頂山という山号の由来とされる。

 歴史を感じる山門は文政十(一八二七)年に建てられた。たびたび火災などに見舞われた三寶寺において、古の姿を伝える最古の建築物である。江戸の三代将軍・徳川家光が狩りの際に休息に立ち寄ったことから、この山門は「御成門[おなりもん]」と呼ばれている。

 境内でひときわ目を引くのは、本堂から見て西側にそびえる二層の塔「根本大塔[こんぽんだいとう]」だ。平成八(一九九六)年に建てられた。真言宗の総本山、高野山金剛峰寺[こんごうぶじ]にある根本大塔と同様のものである。

 

建物そのものが曼荼羅を表わす根本大塔

 

 塔の中には仏・菩薩たちが祀られており、塔そのものが大日如来[だいにちにょらい]を中心とする立体の曼荼羅[まんだら]となっている。

 その西では、高さ九メートルもの十一面観音像「平和観音」が陽の光を浴びて白く輝く。その大きさは迫力満点だが威圧感はなく、仰ぎ見る者たちを優しい表情で見守ってくれる。

 

巨大ながら優しい佇まいの平和観音

 

 平和観音の北にある観音堂には「補陀洛迦[ほだらか]」と書かれた額が掲げられている。これはサンスクリット語で「観音菩薩が降り立つところ」を表わす「ポタラカ」の音写だ。この亀の甲羅のような丘に、まさに観音菩薩は降り立っているのだ。

 

四国八十八カ所を手軽にお遍路

 根本大塔と大師堂の間には、木立が生い茂り、木々の間に石碑が並んでいる。

 けっして墓地ではない。これは「お砂踏み」である。

 

木立に囲まれた「お砂踏み」

 

 四国八十八カ所霊場のお遍路をしたくても、事情があって現地に行けない者もいる。そこで、四国八十八カ所それぞれの「お砂」を持ち帰ってもらい、しかるべき場所に敷いて踏みしめながらお参りすることで巡礼とみなす「お砂踏み」が行われるようになった。そのご利益は実際の遍路と同様とされている。

 三寶寺のお砂踏みは、木立の中に並んだ石碑を札所に見立て、順番に巡っていくスタイル。石碑には「四国二十番 地蔵菩薩 鶴林寺[かくりんじ]」などと各札所の本尊が記されているので迷うことはなさそうだ。

 

大師堂の左右には曼荼羅が掲げられている

 

 根本大塔の麓で、大師堂の弘法大師空海に見守られながら木立の間を行くミニお遍路は、季節によってさまざまな風情を感じさせてくれるだろう。

 

【お寺データ】
東京都練馬区石神井台1-15-6
[山号]亀頂山
[院号]密乗院
[寺号]三寳寺
[本尊]不動明王

【アクセス】
西武池袋線 石神井公園駅よりバス荻窪駅行き「JA東京あおば」下車徒歩4分 

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長田幸康『ぶらり東京・仏寺めぐり』

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長田幸康

1965年、愛知県生まれ。早稲田大学理工学部卒業。仏教とチベット文化に造詣が深い。インドでダライ・ラマ14世に出会って仏教に目覚め、チベット寺院に住み込んで理論と実践を学ぶ。現在、日本各地に伝わる仏教説話を訪ねる聖地巡礼に励むかたわら、毎年夏には、チベットに渡航し、仏教文化を巡るツアーの現地コーディネートを担当している。著書に『知識ゼロからの仏教入門』『知識ゼロからの仏の教え』『知識ゼロからのダライ・ラマ入門』(以上、小社)、『仏教的生き方入門 チベット人に学ぶ「がんばらずに暮らす知恵」』(ソフトバンク新書)、『心の安らぎに出合える仏教の教え』(双葉社)、『ブッダに学ぶ生きる智慧』(東洋経済新報社)など。

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