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見栄を手放すための節約道

2016.03.14 更新

時計や靴で上質な男に見せる必要はない。中川淳一郎

 「見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。」のキャッチコピーとともに、3月10日に発売された、中川淳一郎さんの『節約する人に貧しい人はいない。』。「節約とは他人と比べないこと」と繰り返し説く、異色の節約本は、いかに生まれたのでしょうか? そして、中川さんの考える「節約道」とはどんなものなのでしょうか? 短期集中連載でお届けします。

ムダ金は見栄を張るために使っている

 カネが貯まらないと悩んでいる方々は、単純に考えてカネを使い過ぎているだけである。そう言うと、「アベノミクスの失敗でトリクルダウン効果なんてないから給料が上がらないんだよ! 勝手なこと言ってるんじゃねぇ!」なんて反論したくなるかもしれないが、「ない袖は振れない」という言葉があるように、ある袖を振り過ぎてしまった結果、お金がなくなってしまっているのだ。

 もちろん、給料が上がっていない状態というのはよろしくないことは私も理解はしているが、だったらムダ金を使っていないかをまずはチェックしてみてはいかがだろうか。大体の場合、ムダ金は、「見栄」を張るために使ってしまうものである。

 たとえばスーツ、時計、靴、自家用車といったものに対してはピンからキリまで様々な価格帯の商品が存在する。そこでいいものを買うことこそ教養であり、自らをワンステージ高めてくれるのであるっ! とそこらへんのファッション誌やモノ系の雑誌だったら言うかもしれない。

 しかーし、いくらいいモノを買おうが、世界の大富豪が身に付けられるようなものとはケタが3つぐらい違うモノしか購入できない。だとしたら、別にモノで自らを飾ることなどは考えないでいい。

 いいモノを持っていたとしても、それを気付いてもらって一体何になるのか? 日々の会社での仕事で高級時計をこれ見よがしに見せて、それで女性社員が「まっ、山田さん、ステキ。彼に抱かれたい……」なんて思うワケもない。

 そうしたモノを本気で好きであるのならば私も何も言わないが、高級品を買っているにもかかわらず「貯金がない」と言うのは本末転倒ではないかと思うのである。だって、生活が苦しいんでしょ? その趣味に多額のカネをかけ、自分の見た目を良くするために1万円のヘアサロンに行き、「ツーブロック」とかにしてカルティエのネックレスをジャラジャラさせ、ベルサーチのスーツを着る。

 それでいて、朝食はご飯に納豆をかけたものと12袋100円のインスタントワカメ味噌汁。他人に見せるところではせっせとカネをかけて見栄を張るが、他人に見せないところで妙な苦労をする。

 悪いが、他人はあなたにあんまり注目していないのである。しかも、高いものを身に付けているからといってモテるワケでもない。見栄を張るために多額のカネを使うことにはあまり合理性がないのである。

 その時に人々が考えてしまうのが、「私の収入だったらこのくらいのモノじゃなきゃ見合わないわよね」なんてことだ。

 これが問題なのである。あなたが学生だった時代においしいと感動したカレー屋のカレーは、今だっておいしいだろう。個々人の価値判断は、ライフステージによってそれほど変わるものではない。もしかしたら年を取ったらあまり塩味の強いものは食べたくなくなるかもしれないが、基本的にかつて価値があると感じたものも、そう嫌いになったりしないのではないか。そりゃあ、昔人形遊びが好きだったからといって今でも人形に同じだけの価値を見出すかといえばそれは違うだろうが。

いいモノを身に着けたからとって稼げるわけではない

 かつてEASTPAKのリュックサックをイケてると思ったのであれば、別にそれを使い続けてもいい。収入が上がったからといって、突然20万円の本革バッグを買う必要はない。「結婚指輪は給料の3ヶ月分」とか「ホワイトデーは3倍返し」とか「家賃は給料の30%」みたいな言説があるが、それは儲けたいヤツがいるからこその提案である。

 こうした提案をする人々のセールストークは「あなた様ほどの人物であれば、このくらいは!」ということだが、そこはあくまでも収入に依拠したものとなっている。私は会社を経営する社長だが、収入がいくらになろうが、サイドテーブルの上に板を載せ、さらにはキーボードの位置を高くするために雑誌を2冊置いたものを「社長机」として愛用しているのだ。みすぼらしい机だからといって、稼げないことはない。机は関係ないのである。

 まぁ、自分を良く見せるために頑張りすぎないでいいんじゃないの? ということを言いたい。

お店の「オススメ」は、お店が儲けるためのモノ

 もうひとつ、飲食店に行く時、店員に「オススメはなんですか?」と聞くことをやめることを提案したい。『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)で登場する「旅人」のオッサンとオバサンは毎回店で「オススメはなんですかぁ~?」と聞いているが、店のオススメなんてものは、その店が一番儲かるものである! それよりも自分が本当に食べたいものを選べばいいではないか。

 この前観た回では、フリーアナの小島奈津子が、サバの専門店に行っていたが、店の
オススメに従い「サバのヅケ丼定食」みたいなものを食べていた。これは、サバのヅ
ケを丼に乗せたものなのだが、名古屋の「ひつまぶし」のごとく、途中で味を変えて
食べることが推奨されている。1回目の「味変」は、「とろろをかける」であり、次
は「ダシ汁をかける」である。私はどうもトロロというものに魅力を感じないし、お
茶漬けみたいなものにも魅力を感じない。普通にヅケ丼として全部食べさせてくださ
い! なんて思うのでありました。しかし「オススメは?」と聞いてしまったため、
「それ以外のものを頼むのも悪いな」という気持ちになってしまうのは否めない。

 いやぁ、普通にワサビつけてワシワシとかきこんでいきたいよ、と思ったものだ。
とにかくカネを使う時は他人の提案に乗る必要はない。店の人は親切で言っているの
だろうが、あくまでもそれは「自分以外の人が選ぶもの」ないしは「お店自慢の逸
品」を教えてくれているだけ。それよりも、自分の直感で「コレにカネを使うべき
だ!」と思うものに全力投球をしようではないか。それは昼メシ程度のことでも構わ
ない。誰かの価値観に押し付けられたものではなく、自分で決めていきたいものであ
る。

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見栄を手放すための節約道

「見栄を捨て、自分だけの幸せを手に入れる。」のキャッチコピーとともに、3月10日に発売された、中川淳一郎さんの『節約する人に貧しい人はいない。』。「節約とは他人と比べないこと」と繰り返し説く、異色の節約本は、いかに生まれたのでしょうか? そして、中川さんの考える「節約道」とはどんなものなのでしょうか? 短期集中連載でお届けします。

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中川淳一郎

1973年東京都立川市生まれ。1997年一橋大学商学部卒業、同年博報堂入社、CC局(コーポレートコミュニケーション局)配属。2001年、サラリーマンとして通用しないと諦めて退社。無職になる。その後暇をしていたらいろいろな人から声をかけられライターになり、雑誌編集者になる。2006年にネットニュースの編集者になり、さまざまなサイトとかかわるようになる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。

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