1. Home
  2. 読書
  3. マンガ停留所
  4. 一瞬先の「勇敢か、卑怯か」すら見えない戦...

マンガ停留所

2015.09.06 公開 ツイート

第8回

一瞬先の「勇敢か、卑怯か」すら見えない戦場のリアリティ
小林よしのり『卑怯者の島』
中条省平

誰もが卑怯者であることを余儀なくされる

 前回、「戦後70年」にちなんで、マンガの雑誌特集と単行本を紹介しましたが、今回も戦争マンガの企画を2つ取りあげたいと思います。いずれも重いテーマに正面からぶつかった力作で、ぜひ「戦後70年」のこの機会に紹介したいと思うからです。

 1つは、小林よしのりの『卑怯者の島』(小学館)です。

 前回論じた戦争マンガ企画の2点のなかに、いずれも「アッツ島玉砕」を題材とした作品がありましたが、本作の主題も玉砕です。作者はあとがきで「舞台設定はペリリュー島を参考にした」と書いています。天皇夫妻が戦後70年を期して戦没者の慰霊に訪れたことで一躍クローズアップされたこの島でも、日本軍の兵士約1万人が「玉砕」しました。

ここから先は会員限定のコンテンツです

無料!
今すぐ会員登録して続きを読む
会員の方はログインして続きをお楽しみください ログイン

{ この記事をシェアする }

マンガ停留所

バックナンバー

中条省平

1954年神奈川県生まれ。学習院大学フランス語圏文化学科教授。東大大学院博士課程修了。パリ大学文学博士。著書『中条省平は二度死ぬ!』『文章読本』など。翻訳書最新刊はロブ=グリエ『消しゴム』。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP