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「日本一有名なニート」と「クマムシ博士」の、ニッチ的生き方のすすめ

2020.02.20 更新 ツイート

【人生がつらくなったら生物に学ぶ】クマムシ的寛容生存戦力が不寛容なネット社会を生きやすくする【再掲】堀川大樹/pha

多様性を認めることができるか

堀川 ネットの世界だとどうなんですかね。かなり発言に気をつかわないといけないように思いますけど。

pha  どうでしょうね。ネットはちょくちょく変な人に絡まれたりすることはありますね。変な人というか、とにかく不特定多数のいろんな人に見られるから全然意見が合わない人がやってくることもよくあるし、スルーする力がすごく要求されると思いますねえ。

堀川 批判を目にするだけで、ダメージ受けるみたいなこともあるじゃないですか。

pha  ありますよね。

堀川 やっぱりありますか? そういうの。

pha  いや、僕はあまりないんですよね。だからネット向きの性格だと思うんですけど、気にする人にとってはネットは辛いでしょうね。僕は批判されたりするたびに、世界にはいろんな考えの人がいて面白いな、この多様性が人間だ、世界だ、みたいな感じに思いますね

堀川 すごいポジティブですね。

pha  僕はだいたい割合で考えるんですよね。9割に批判されたらさすがに落ち込みますけど、6、7割ぐらいが肯定的で、残りの3、4割に批判されたとしたら、まあ肯定のほうが多いわけだし、「世界はそういう割合でできているんだな」って納得する感じですね。でも、気にする人はやっぱり気にしちゃいますよね。批判してるのは一部の人だけど、それでもしんどいと言って、ブログを閉じたり、エゴサーチ(自分の名前を検索すること)をやめたりする人もいます。気にしすぎる人はあまりネットにディープにハマらないほうがいい人ですね。気にしない方がネットでは生きやすいし、そういう意味で僕はすごくネット向きでしたね。

堀川 ご著書を読むと、やっぱりネットがあったからこそ、いますごく生きやすくなってるとお話しされてますよね。でも、一方ではネットの弊害みたいなものもあって。その点では、生息場所としてすごく合ってたということでしょうね。

pha  そうですねえ。ネットのストレスをあまり気にしないタイプだったので。

堀川 天性のストレス耐性があるphaさんから、普通の感性っていうか、結構気にしやすい人に対して、そういうスルー力みたいなのを身につけるコツを教えてほしいんですが。

pha  コツはなんですかね。同じ人間と思わないみたいな。別の動物と思えば、理解されないで当たり前だって思えるじゃないですか。

堀川 今回のご著書にもそう書かれていましたね。おもしろいなと思いました。

pha  話が通じると思ってるから気になるわけで、犬や猫が言ってると思えば、それは話が合わなくて当たり前みたいな感じに思いますよね。それから、それだけいろんな意見があるのはおもしろいなと、その世界の多様性自体を楽しむことも大事かな。自分も100%正しくなくて相手も100%正しくなくて、自分も相手も両方いるから世界はバランスが取れている、みたいな。あとは議論とかは無意味だって思ってますね。批判されて反論してもあまり意味がないと思うんですよね。論破しても、相手はだいたい納得しません。そもそも持っている価値観とかが違うから仕方ない。だから、議論に意味はないし、何か言われたら「ああ、そういう人もいるんだな」って流せばいい。

堀川 でも、人間じゃない別の生物だと思えっていうのは、それだけ他者の価値観を尊重しているっていうのと同じことですよね。生理的に相容れないぐらいのレベルで、もう全然違う価値観の人たちがたくさんいて。それは多様性だから、ちゃんと認めるということが出発点で。ですから、上から目線な感じに聞こえたりもするんだけど、実はリスペクトしてるわけですよね。

pha  それはそうですね。

堀川 否定も肯定もしないというか。

pha  そうですね。リスペクトは大事ですよね。攻撃的な人とかを見ると「よくわからんけど、この人はこの人で大変なんだな、つらいんだな」って想像しますね。自分とは全然違う意見の人でも、それはそれでいろいろなことを背負っていろんなことを考えてきていて、そのことはみんなすごいなと思います。自分に対する批判については、原則「そんなん言われても知らんけど」って感じですが、「まあ、そういう意見もあるんだな」と認めるというか、リスペクトはあるかもしれないですね。やっぱり多様性が好きですし、人間は多様性があるからいいと思うので、みんなでそれを認めつつなんとなく共存していけたらいいなと思いますね。

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pha『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』

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堀川大樹

1978年生まれ。北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。地球科学博士。NASA Ames Research center研究員、AXAポスドクフェロー、パリ第五大学および仏国立衛生医学研究所研究員を経て、慶應義塾大学SFC上席所員。著書に『クマムシ博士の「最強生物」学講座 私が愛した生きものたち』(新潮社)、『クマムシ研究日誌 地上最強生物に恋して』(東海大学出版部)がある。

pha

1978年生まれ。大阪府大阪市出身。現在東京都内に在住。京都大学を24歳で卒業し、25歳で就職。できるだけ働きたくなくて社内ニートになるものの、28歳のときにインターネットとプログラミングに出会った衝撃で会社を辞める。以来毎日ふらふらしながら暮らす。シェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人。著書に『ニートの歩き方 お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法』(技術評論社)、『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』『ひきこもらない』などがある。

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