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「日本一有名なニート」と「クマムシ博士」の、ニッチ的生き方のすすめ

2020.02.20 公開 ポスト

【人生がつらくなったら生物に学ぶ】クマムシ的寛容生存戦力が不寛容なネット社会を生きやすくする【再掲】pha/堀川大樹

殺伐とした雰囲気がただよう、最近のツイッター。このなかでクマムシ的な寛容さを持ち寄れば、少しは暖かい空間になるのに、と思わずにはいられません。今回、再掲するのは、2015年のpha(ファ)さんとクマムシ博士、こと堀川大樹さんの対談です。phaさんとクマムシには、多くの共通点があるようなのです。これからの時代を楽しくのびやかに生きるための”クマムシ的生存戦略”について語り合う対談をあらためてお楽しみください。
(構成 小沼朝生)

低代謝でしぶといクマムシ的生き方

堀川 今日はお目にかかれて光栄です。

pha  いえ、こちらこそ。楽しみにしてました。

堀川 いきなりですが、phaさんはクマムシって生き物についてはご存じですか?

pha  それがまったく知らないんですよ。すみません。

堀川 いえいえ、最近はお笑いコンビのクマムシのほうが有名になっちゃって(笑)。ネットで検索すると、彼らの写真ばっかり出てくるんですよ。

pha  お笑いはよく知らないんですけど、そういうコンビがいるんですね。本物のクマムシとコンビ名は関係ないんですかね。

堀川 どうやら本物のクマムシみたいに、しぶとく芸能界をサバイバルできるようにという意味で命名したらしいです。クマムシは、超低温、真空、放射線などなど、とてつもないストレスに耐えられるんです。

pha  そういう意味では、一般の人に「クマムシって何だろう」と思ってもらうきっかけにはなりますよね。

堀川 そうなんです。

pha  彼らとコラボされたりはしないんですか?

堀川 したいのは山々なんですが、すっかり人気者になっちゃって、忙しいやら、予算的に厳しいやらで(笑)。彼らと一度、焼き肉を食べたことがあるんですよ。その時はまだ売れる前だったんで、「イベント呼んでくださいよ」とか言ってくれてたんですけど。その直後にブレイクしちゃって。

iPhoneで「クマムシ」を調べるphaさん

pha  へー、ちょっと検索してみていいですか。全然テレビとか見ないので知りませんでした。(スマホを見て)あ、本当だ。「クマムシ お笑いコンビ」って出てきますね。

堀川 そうなんですよ。すっかり彼らにやられました(笑)。

pha  画像検索すると、彼らと本物が交互に出てくるのがおもしろいですね。  

堀川 だいたい彼らのファンが検索して、本物のクマムシを見て「キモい」とかってツイッターで書かれるんですよ。

pha  でも、二つ出てくるっていいですよね。本物を調べたい人は彼らの画像を見て「誰だ、こいつは」みたいな感じで。混ざりあって、たくさんの人に伝わるっていうか。

堀川 そうですね。クマムシという名前を広めてくれたのはありがたいことです。

pha  ところで、その帽子。

特注のクマムシ帽をかぶる堀川さん

堀川 似合いますか(笑)?

pha  というか、それを被られてる写真をよく拝見してたので、堀川さんというとその帽子込み、みたいな感じが。それは売ってないんですか?

堀川 これは世界に一つだけの特注で、1万円かけて作りました。でも、作ってくださった方には本当にこまめに制作していただいたので、1万円でもすごく安いくらいです。

pha  すごい。さすがクマムシ博士。

堀川 いえいえ、僕の中でphaさんはものすごく有名な方なんですよ。かなり以前から存じ上げてたんですが、まさかお目にかかれる日が来るとは思ってもいませんでした。実はいま某出版社から『クマムシ的生き方のススメ』みたいな連載を依頼されてるんです。1年ほど前から話が進んでるんですが、まだスタートできていなくて。草稿としてphaさんの本の引用とかを書いたりしてみたんですが、残念ながらボツになり(笑)。ただ、そちらの編集者さんとも「対談できたらおもしろいですね」って話はしてたんですよ。

pha  どうも僕とクマムシが似てるってことらしいですね。

堀川 そうなんです。すごくいろんな共通点があるんですけどね。まずは低代謝なところですかね。なるべくエネルギーを使わないで生きてる感じがすごいなというか。クマムシって、周囲の環境が厳しくなると、乾燥して丸まるんですね。あまり何も感じないような状態になって、そうなると何カ月もご飯を食べずに生きながらえるんですけど。乾燥した状態だと、クマムシは宇宙空間という極限的な環境でも耐えるんです。 クマムシのそういう耐性は英語でいうと“tolerance”と言うんです。耐性や抵抗性という意味では“resistance”という単語もあるんですが、それはストレスなどに対してものすごく抵抗する感じなんです。一方、“tolerance”はストレスなどを全部受け流す、要するに「寛容」なんですよ。その寛容さが、ストレスを受け流すすごく大事な要素だなと思っていて。  phaさんもいまかなり露出されてて、たぶんいろんな人から批判とかも来ると思うんですね。実際、ネットでそういう批判をたまに見ますし、強烈な言葉とかもあるじゃないですか。でも、phaさんはあまり意に介していない感じがして。その強さは“resistance”じゃなくって“tolerance”、つまり受け流す寛容さにあるんじゃないかと。そのへんもクマムシっぽいなっていうか。

pha なるほど。

堀川 それから、ご著書やブログにも書かれてますけど、「ニートになるには才能が必要だ」と。おそらく、ほとんどの人がニートになれない原因は、やっぱり人目をすごく気にするからだと思うんです。働いていないと思われるのが嫌だっていうか。 たまに就職活動が全然うまくいかなくて、生活できなくて死ぬしかないなんて言う人がいますよね。でも、それって実は生活できないことを気に病んでるわけじゃなくて、「就職活動に失敗した」というレッテルを貼られて、それが半径10メートルぐらいの近しい人たちに見られてるという状態が、死ぬほど耐えられない感じかと。実際、本当に死んじゃう人もいるくらいですからね。でも、phaさんの場合、別に無職だろうが何だろうが、誰からどう見られようと、そんなの人それぞれでいいじゃんっていうふうに、たぶん思われてると思う。そう思える才能の基盤にあるのは、やっぱり寛容さだと思うんです。まあ、こういった共通項から、勝手に親近感を持ったりしてたんですけど。

pha  寛容さというか鈍感さかもしれませんね。

関連書籍

pha『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』

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「日本一有名なニート」と「クマムシ博士」の、ニッチ的生き方のすすめ

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pha

1978年生まれ。大阪府出身。京都大学卒業後、就職したものの働きたくなくて社内ニートになる。2007年に退職して上京。定職につかず「ニート」を名乗りつつ、ネットの仲間を集めてシェアハウスを作る。2019年にシェアハウスを解散して、一人暮らしに。著書は『持たない幸福論』『がんばらない練習』『どこでもいいからどこかへ行きたい』(いずれも幻冬舎)、『しないことリスト』(大和書房)、『人生の土台となる読書 』(ダイヤモンド社)など多数。現在は、文筆活動を行いながら、東京・高円寺の書店、蟹ブックスでスタッフとして勤務している。Xアカウント:@pha

 

堀川大樹

1978年生まれ。北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。地球科学博士。NASA Ames Research center研究員、AXAポスドクフェロー、パリ第五大学および仏国立衛生医学研究所研究員を経て、慶應義塾大学SFC上席所員。著書に『クマムシ博士の「最強生物」学講座 私が愛した生きものたち』(新潮社)、『クマムシ研究日誌 地上最強生物に恋して』(東海大学出版部)がある。

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