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濃かれ薄かれ、みんな生えてんだよなぁ……

2014.12.29 公開 ツイート

データを調べられない一絵描きが勝手にほざく「これからの日本」(feat.木村奈緒)
〈その6〉 会田誠

 僕はこのオリンピック招致委員会が作成した文面の方向性を、「よせばいい年寄りの冷や水」と見ます。そういうイチャモンは消極主義であり、ビンボー臭い負け犬根性に過ぎない――という批判は当然あるでしょう。けれどこちらも負けたくてこんなことを言っているわけではありません。「負けないために、勝つために、そろそろ勇気と知恵を持って、やったことのない新しい工夫にトライするべき時期ではないの?」と言いたいのです。

 新国立競技場の問題に限らず、最近の日本で一部の人が発する「高度経済成長期(あるいは日露戦争あたり)の夢(成功体験)よ再び」というメッセージには、僕はたいてい嫌な予感しかしません。その考え方自体が、逆に「負け」を呼び込みそうで。「歴史は繰り返す」にしても、それは人智を超えた歴史の運命がそうさせるのであって、失敗から学ばず「バカの一つ覚え」しかしない人間には、都合よく「二匹目のドジョウ」は用意されないものだと思います。

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濃かれ薄かれ、みんな生えてんだよなぁ……

「とにかく信じられないくらい文章がうまい。ほれぼれしちゃう」とよしもとばななさんも絶賛。アーティストの日常からアートの最前線まで、第8回坂口安吾賞受賞、天才の頭の中身をエッセイで!

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会田誠 美術家

1965年新潟県生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科修了。 絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画など表現領域は国内外多岐にわたる。
小説「青春と変態」(ABC出版、1996年/筑摩書房、2013年)、漫画「ミュータント花子」(ABC出版、1999年/ミヅマアートギャラリー、2012年)、エッセイ集「カリコリせんとや生まれけむ」(幻冬舎、2010年)、「美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか」(幻冬舎、2012年)など著作多数。
自身の制作を追ったドキュメンタリー映画に「≒会田誠~無気力大陸」(B.B.B. Inc.、2003年公開)、「駄作の中にだけ俺がいる」(Z-factory、2012年公開)がある。 近年の主な個展に「天才でごめんなさい」(森美術館、東京、2012-13年)、「考えない人」(ブルターニュ公爵城、ナント、フランス、14年)、「世界遺産への道!!~会いにいけるアーティストAMK48歳」(鹿児島県霧島アートの森、14年)、「ま、Still Aliveってこーゆーこと」(新潟県立近代美術館、15年)、「はかないことを夢もうではないか、そうして、事物のうつくしい愚かしさについて思いめぐらそうではないか。」(ミヅマアートギャラリー、東京、16年)など。
<プロフィール写真>千葉九十九里にて 撮影:松蔭浩之

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