電気工事や配管といった現場仕事で富を築いた人々を指す、「ブルーカラービリオネア」。その誕生の背景に迫った、坂口孝則さんによる『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』が9月28日に発売されました。富をめぐって世界ではどのような地殻変動が進んでいるのでしょうか? 本書の「第一章 地政学が強制する『3K仕事』の国内回帰」から一部をご紹介します。

日本への生産回帰実例──TSMCの衝撃と半導体立国の再来
日本への生産回帰の象徴といえるのはTSMCだろう。台湾を本社にするTSMCは微細化ロジック半導体の受注生産企業ファウンドリーとして有名だ。ファウンドリーとは自社では設計せず、他社が設計した半導体を受託製造する企業だ。日本には約86%を出資する製造会社のJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)として進出している。その他はソニーセミコンダクタソリューションズや、トヨタ、デンソー等が出資している。

第一工場は熊本県菊陽町に2022年4月に着工。2024年には車載用のCMOSセンサー用半導体の生産を開始している。投資額は約1兆2700億円にいたっている。さらに第二工場は近接地に約2兆1000億円だ。第一、第二工場の合計で日本は約1兆2000億円を補助している。これによる九州への経済波及効果は20兆円と試算する向きもある。とくに2026年2月に3ナノの生産を発表した第二工場は注目するべきだろう。この3ナノプロセスのロジック半導体は世界先端だ。2028年を予定しているようだが、次世代のロジック半導体を日本国内で生産できれば、先端の付帯技術も呼び込むだろう。
北海道千歳市ではラピダスが2027年に2ナノの生産を予定している。このラピダスはTSMCとおなじくトヨタやデンソー、ソニーらが出資している。ここへの政府支援総額は2兆9000億円に達する。
日本はいつのまにかふたたび半導体立国になりつつある。これはすべての産業に必要になる半導体を自国生産できなければ経済安全保障上の問題だとする日本政府の意図を受けたものだ。
米国の説明時にあげたマイクロンも広島県で先端メモリーの製造工場に着工している。また、スマートフォン関連ではソニーセミコンダクタソリューションズが、やはり熊本県合志市にイメージセンサーの新工場を建てているし、キオクシアは岩手県北上市の北上工場で最先端のメモリーを量産開始した。
その他、経済産業省は経済安全保障を理由に、電気自動車向け電池についても国内での生産能力を高めている。トヨタはPPES姫路工場等に約4000億円を投資した。またパナソニックエナジーもSUBARUと群馬県に4630億円の工場を新設する。
なお、これまでは工場誘致というと、補助金で訴求して法人税等の税収をねらうこと、そして経済を活性化することが目的だった。もちろん日本は補助金を撤廃してはいないものの、ここ最近は、サプライチェーンの重要ポイントを経済安全保障の観点から囲い込むねらいになっている。
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続きは、『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』をご覧ください。
ブルーカラービリオネア

2026年9月28日発売『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』について












