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パンダのうんこはいい匂い

2026.08.02 公開 ポスト

「うんこ」を何回言ったか?の数字を間違えた話から、「ヨリパンダメリタヨコエビ」の話まで!藤岡みなみ(エッセイスト/タイムトラベラー)

藤岡みなみさんの文庫新刊『パンダのうんこはいい匂い』の刊行記念として、紀伊國屋書店 札幌本店にて、トークイベント&サイン会が開催されました!

面白トーク炸裂!? だったこの日の様子を、記事にしました。

参加くださった皆様も、参加できなかった皆様も、どうぞお楽しみください。

*   *   *

ものすごく変なところに誤植があり……

藤岡:3カ月ぶりに札幌に来ました! お昼ご飯に、ここぞとばかりに海鮮丼を食べてきたんですが、今日(ワンピースが)真っ白なので、醤油をはねさせようものなら終わりだと思ってすごい緊張感で。山盛りの海鮮は食べにくかったですが、緊張してたからかまったく醤油を飛ばさずにいけました。でもその後電車に乗ってふと見たら、服の真ん中にでっかいご飯のかたまりがついてたんですよ……。ちっちゃいお寿司ができそうなぐらいの大きさの……。

……そんなわけで始めさせていただきますが、今日は話したいことがいっぱいあるんです。

まず、この『パンダのうんこはいい匂い』は、もともと2022年8月に単行本として刊行されたんですが、出たばかりの時にすぐ誤植を見つけてしまって。何度確認しても見落としはあるもので、どんな本でもある程度は仕方ないことでもあるんですが、ただその誤植、冒頭も冒頭、「はじめに」にあったんです。始まって、2ページ目に!

重版するときや文庫にする時に直せるチャンスがあるんですけど、単行本が出てから4年間ずっと直せないままで、今回やっと直せました。

ちなみに、どこかと言いますと……。「はじめに」の頭から引用します。

「本のタイトル、『パンダのうんこはいい匂い』ではどうでしょうか」

本書の完成が近づいた頃、出版社からそう言われた。うんこ。まさか自分の本のタイトルにうんこが入る日が来るとは思わなかった。じゃあ、プロフィールとかにも今後ずっとうんこが入り続ける、ということか。「主な著書に……うんこ……がある」みたいになるのだろうか。この先いくらかっこいいプロフィール写真を用意しても、自己紹介にはうんこが入っている状態。どうなんだろう。

元はと言えば私のせいだ。一本のエッセイに自分でそういうタイトルをつけたのだ。でもまさか本の題名になるとは思っていなかった。軽率にエッセイのタイトルにうんこを入れてはいけないんだな、と学んだ。いいのか悪いのかわからなくて「うんこ 類書」で検索したりもした。

もうすでに8回うんこって言っているが、異文化について考えたくて書いた本です。

この最後の1行、「もうすでに8回うんこって言っているが」のところです。文庫では直ってるんですが、単行本のときは「7回」になってて……うんこの“サバ読み”が発生してたんです。

しれっと数減らしてるじゃん! と思ったら面白くなって、当時の出版社の編集者さんに刊行後、「本当は8回なのに7回って書いちゃってました(笑)」って伝えたんですね。世界で一番どうでもいい誤植だってラジオで絶対話そうと思って、その編集者さんに一応「話してもいいですか?」って聞いたら、「藤岡さんがいいならいいですけど、私は胸が張り裂けそうです」と言われました。実は編集者さんにとって誤植ってとてもつらいことらしくて、著者以上に気にしてくださるというか、自分のせいだと感じてしまうようで。

冷静に考えると、うんこが7回でも8回でもどっちでもいいですよね。というか完全に私のせいですし、まったく責任を感じないでほしいと思ったのですが、彼女を苦しめるわけにはいかないので、当時ラジオでは話さなかったんです。時間も経って今回無事に直ったということでやっと言えました。

新種の生き物に命名! という衝撃のエッセイを、文庫化にあたって1篇追加しました

藤岡:さて、文庫にあたって、単行本の時にはなかったエッセイを1本だけ、書き下ろしで入れました。「白黒の架け橋」というエッセイです。

これは、「ヨリパンダメリタヨコエビ」っていう、珍しい生き物の話なんです。「ヨリパンダメリタヨコエビ」というのは、近年発見されたヨコエビです。

ヨコエビは、見た目は1センチあるかないかの“すごく小さいエビ”みたいな感じなんですが、種類としてはダンゴムシやダイオウグソクムシに近い甲殻類らしくて。横になって移動するからヨコエビというそうです。

実は前の年に、“パンダによく似たヨコエビ”が見つかって、発見した研究者の方が、パンダに似ているから「パンダメリタヨコエビ」って名前を付けたんです。見つかったのが、パンダがいる和歌山県白浜町(アドベンチャーワールドがある町です)だったこともあって話題になりました。

これが、パンダメリタヨコエビ。(写真:藤岡みなみ)

すると翌年、なんと「もっとパンダに似たヨコエビ」が見つかったんです。しかしもうパンダはすでに名付けてしまっている。広島大学の富川光先生が「どうしよう……」と困ったみたいで、私に「名前を考えてくれませんか」と連絡をくださいました。

富川先生は、単行本が出た時に『パンダのうんこはいい匂い』を読んでくださっていたそうで、パンダ愛を感じるとともに、私にネーミングセンスがあると思ってくださったのかもしれません。

とんでもないことですよね。新種の生き物に名前をつけるなんて、子どもの頃の夢じゃないですか。

何の研究もしていない私なんかが命名するなんて恐れ多すぎるんですが、こんなありがたいことはないなと思って、何種類かご提案させていただきました。その中で、選んでいただいたのが「ヨリパンダメリタヨコエビ」という名前です。「より似てる」から「ヨリ」と付いてます。

せっかく命名させていただいたので、もっとこのパンダに似たヨコエビたちを知りたくて、先日和歌山に行って採取してきました。

日本からパンダがいなくなってしまいましたが、いま私の自宅では、パンダメリタヨコエビの繁殖に成功しています。

ーーその後、パンダメリタヨコエビ、ヨリパンダメリタヨコエビのお話に花が咲くのですが…このお話はまたの機会に…!

関連書籍

藤岡みなみ『パンダのうんこはいい匂い』

四川省までパンダ飼育ボランティアに行くと、仕事がほぼうんこ掃除だった。ラスベガスのレストランで注文すれば生ハムだらけに。食べるために孵化させた鶏なのに、死ぬと荼毘に付す。首吊りショーで命の誕生を感じ、縄文土器で豚汁を煮る。―― 好奇心の向こう側にはいつも、想定外の未来。過去の価値観から解き放たれる、面白異文化エッセイ!

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パンダのうんこはいい匂い

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藤岡みなみ エッセイスト/タイムトラベラー

一九八八年兵庫県淡路島生まれ。文筆業のほか、ラジオパーソナリティやドキュメンタリー映画プロデューサーとしても活動。時間SFと縄文時代が好きで、タイムトラベル専門書店utoutoを東京都板橋区にオープン。著書に『ふやすミニマリスト』『ぼちぼち』『時間旅行者の日記』など。

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