
世界幸福度ランキングで何度も1位に輝いたフィジーで17年暮らした著者・永崎裕麻氏による話題の新刊『余白をつくる練習』。この度、9/19(金)に特別対談イベントの開催が決定いたしました!これからの長い人生、「余白」は重要なキーワードになるでしょう。今回の記事では、イベントの開催に先立ち、書籍にだけに収録された特別原稿を大公開します。
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1日23時間デザインのススメ
僕たちはつい、1日を24時間フルで使い切る前提でスケジュールを組んでしまいがちです。朝から晩まで予定をびっしり詰め込み、スキマなく動けた日は「よくできました」と自画自賛したくなるかもしれません。でもそれって、収入をすべて使い切る生活とどこか似ていませんか? 少しでも想定外の出費があると、すぐに破綻してしまう。予定も同じで、例えば交通機関の遅延、急な来客、子どもの不調、自分の気分の波。何かひとつ想定外があるだけで、あっという間に心の余裕が失われてしまいます。
だからこそ、あえて「1日は23時間しかない」と思ってスケジュールを組んでみることをオススメします。イレギュラーな出来事を吸収したり、ふと感じた疲れをいやしたり、誰かの相談に耳を傾けたりするためのバッファー・タイムです。
この1時間の余白があるだけで、「詰め込みすぎている」という感覚から解放され、予定が押しても焦らずに対応できるようになります。精神的な安全地帯が確保されることで、時間に追われる不安が減ってきます。
予定をキチキチに入れていると、多忙感は増してきます。だからこそ、最初から余白を前提とした「1日23時間デザイン」で暮らしてみましょう。
すべての予定が計画どおりに進み、余白の1時間がまるまる手元に残る日もあるでしょう。そのときは、「時間が余ってしまった」と焦るのではなく、「今日という1日に、ボーナスタイムがついてきた」と受け取ってみてください。その1時間を、読みかけの本に手を伸ばす時間にしてもいいし、少し長めの散歩に出かけてもいい。あるいは、ただ何もせずにぼーっとしてもいい。使い道が決まっていない自由な時間こそが、心のゆとりをつくり、生活に深みを与えてくれるはずです。
予定を詰めるスキルだけでなく、予定をあける設計力もまた、これからの時代に大切な能力なのではないでしょうか。
忙しすぎても暇すぎてもダメ!?
「ととのう」ためにサウナに通う人がいます。高温のサウナで体を温め、キンッと冷たい水風呂で一気に冷やす。そして、外気浴でただぼーっとする。まったく異なる温度の空間を往復することで、心身が深いリラックス状態へと導かれていきます。
この「真逆の刺激を往復することで整う」という構造は、サウナの中だけに限った話ではありません。僕自身、この現象を「サウナ理論」と名づけて、日常生活にも応用しています。
例えば「仕事と遊び」「効率と非効率」「社会とのつながりと孤独」など、一見対極にあるものを行き来することによって、心はリセットされ、バランスが整っていきます。片方に偏ると、疲れや閉塞感が蓄積されていくものです。バランスを保つためには意図的に揺らぐことが必要です。
僕自身、日本とフィジーというまったく異なる価値観の土地を往復する2拠点生活を続けてきました。便利だけど時間に追われる国と、不便だけどゆったりした国。この行き来によって、どちらか一方に染まらず、自分の軸を取り戻せる。両極を知っているからこそ見えてくる、自分にとっての「ちょうどよさ」があります。
この「サウナ理論」は、時間の使い方にも当てはまります。余白がなさすぎると疲弊しますが、余白ばかりでもリズムを失い、無気力が生まれます。大事なのは、「忙しい」と「暇」の両方を知ったうえで、その間をゆらぎながら往復すること。緊張と緩和を行き来することで、時間との関係性も整っていきます。人は極端な揺れがあってこそ、逆に安定を感じられる生き物なのかもしれません。
「ととのう」とは、単なるリラックスではなく、バランスがとれた心の状態を意味します。皆さんにとっての「熱いサウナ」と「冷たい水風呂」はなんでしょう? その行き来を日常に組み込むことで、ちょうどいい余白が見えてくるのではないでしょうか。
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【9/19(金)】永崎裕麻 × 本間正人『余白をつくる練習』出版記念特別対談『人生100年時代の"余白"と"学び"』
イベント概要
人生100年時代を生きる私たちにとって、「余白」と「学び」は、より豊かに、より自分らしく生きるための両輪です。『余白をつくる練習』出版記念特別対談では、「余白先進国」のフィジーで17年間暮らした永崎裕麻さんと、「学習学」の提唱者である本間正人さんにご登壇いただきます。お二人の豊富な知見と経験をもとに、「余白」と「学び」が持つ可能性と、それを取り入れるヒントについて語っていただきます!
・登壇者:永崎 裕麻 本間 正人
・オンライン開催(ZOOM)
・参加無料(定員50名のところ、申込多数により増枠しました)
・日時:2025年9月19日(金)20:00〜21:30
詳細、お申し込みはPeatixから
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余白をつくる練習

効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。
世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。
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