
本読みのアルパカ内田さんと、幻冬舎作品を誰より愛する営業部のコグマ部長。
2人が、幻冬舎の新刊の中からお気に入りを選んで、おススメしあう、本コーナー!
今月のコグマ部長のおすすめはこちら。
(あわせて、アルパカさんがコグマさんにおススメした作品についても、お楽しみください)
【幻冬舎営業部 コグマ部長から、
アルパカ内田さんへオススメ返し】
最東対地 『耳なし芳一のカセットテープ』

琵琶語り。そのカセットテープを聞いた人には
不幸が訪れる。【耳なし芳一のカセットテープ】
は有名な怪談のはずだが、誰も知らない。
怪談師・馬代融が不思議に思い調べ始め──。
一方こちらは、この夏イチオシの傑作ホラー。
物語は、ある「実話怪談」から始まる。――80年代、男子高校生がラジオの深夜番組を楽しみにしていると、なぜか琵琶法師が語る「耳なし芳一」の物語が流れてきた。後日分かったことだが、その「放送」を聞いたのは自分だけらしい。いつもの習慣で、録っていたカセットテープを級友たちに聞かせたところ、彼らに次々と不幸が訪れて……。これが【耳なし芳一のカセットテープ】と言われる怪談だが、この存在を知った怪談師の馬代が調べると、当時はテレビでも取り上げられた話にもかかわらず、周囲の誰も知らないし記録も見当たらない。やがてとある芸能人の死や奇妙な偶然、さらには東北地方に今なお残る因習にも踏み込むことに。そこには強烈な悪意が存在して……。
さて、聞くところによると、どうやらこの怪談は著者が聞いた実在のものらしい。それだけでも怖いのだが、深夜ラジオから突如「ベンベン!」と琵琶の音が流れ、『耳なし芳一』を歌った声が聞こえてきたら、もうそれだけで恐ろしいと思いませんか?
さらには、作中作としてある『耳なし芳一』も、最恐の出来ばえ。まるでそのページだけが冷たく感じられる……といえば上手く伝わるだろうか。本作、どこまでが実話で、どこまでが創作なのか、それは読者の判断にゆだねたいが、この怖さ、相当の覚悟をして読まれよ!
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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