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避赤地

2025.05.09 公開 ポスト

安全圏の外側でマヒトゥ・ザ・ピーポー

南京空港に着く。ゲートを出たわたしの皮膚を夏の匂いが出迎える。すぐに長袖を脱ぎ、肩にかけて、バスに乗り込む。フェスの会場のある滁州(じょしゅう)に移動するためだ。高速道路を流れる景色は簡素な田舎の風景だが、時折人気のないところにいびつに密集するマンション群がディストピア的な世界を想わせる。隣で今回のツアーをサポートしてくれるドードーが「COPY .PASTE.」とつぶやいた。

ホテルにつき夜ご飯をすませ、休憩を挟んでリハーサルのために会場へ向かう。時刻は深夜2時半。どうしてこんな遅い時間なのか? 翌日はここに3万人が集まるらしい。わたしたちは拙い英語で、現地スタッフとコミュニケーションを取りリハーサルを終え、ホテルに戻った時にはカーテンの隙間が白んで朝の存在感を匂わせていた。

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*マヒトゥ・ザ・ピーポー連載『眩しがりやが見た光』バックナンバー(2018年~2019年)

関連書籍

マヒトゥ・ザ・ピーポー『銀河で一番静かな革命』

外国に行ったことのない英会話講師のゆうき。長く新しい曲を作れていないミュージシャンの光太。父親のわからない子を産んだ自 分を責め続ける、ましろ。大事なことを決めるのはいつも自分以外。人生の終わりも、突然の「通達」で決められてしまった。でも最後 くらい「自分」を生きたい ――。単調な日々の景色が鮮烈に変わる、美しく切ない終末小説。

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避赤地

存在と不在のあいだを漂うGEZANマヒト、その思考の軌跡。

バックナンバー

マヒトゥ・ザ・ピーポー

ミュージシャン。2009年に大阪にて結成されたバンド・GEZANの作詞作曲を行いボーカルとして音楽活動開始。
2014年からは、完全手作りの投げ銭制野外フェス「全感覚祭」も主催。自由に境界をまたぎながらも個であることを貫くスタイルと、幅広い楽曲、独自の世界を打ち出す歌詞への評価は高く、日本のカルチャーシーンを牽引する。
著書『銀河で一番静かな革命』『ひかりぼっち』、絵本『みんなたいぽ』(絵:荒井良二)。映画監督作品『i ai』がある。

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