やっほー、そっちはどうだい。私はやっと落ち着いてきた。そっちももう慣れたかい。
先月珍しくあんたの友達から電話が来た時、なんだか嫌な予感がしたの。なぜかいつもの飲みの誘いではないような気がして、なるべく明るく声を作ってさ、予感が当たらないことを願ったよ。
結局私の悪い予感は当たってしまった。哀しさと寂しさと悔しさで、耳が詰まって聞こえなくなるまで泣いた。いまこの文章を書きながらまた泣いてしまっているのだけれど。
私やあんたの親友たちがきっと泣くだろうなってことも考えられないくらい、あんたはひとりぼっちになってたんだね。気付けなくて、ごめん。
あんたに元気がないときは、人に会いたくないと知ってたし、遊ぶ予定が何回かリスケになっていても復活するのをいつもみたいに待ってた。また急に電話がかかってくるだろうって。
なぜいつもみたいに連絡をしてくれなかったのか。私も気になってたのに待つばかりで連絡をしなかったのか。どうして置いていってしまったのか。私たちのことや家族はもういい、でも犬と猫はどうすんだ。
あんたが眠りについてから、あんたのことばかりを考えてるよ。
意外とあんたのこと尊敬してたからさ、どうしても寂しくなっちゃって。
同い年で、マルチリンガルで、頭が良くて、美人で、明るくて、飲み会では一番踊って歌って騒ぐ。
でもなんだかんだ気遣いで、弱さもあって、その危うさすら儚くて好きで。
あんたと私はお互い一番の友人ではなかったと思うけど、つらいときは電話して家族の話をしたり、悩みを打ち明けたり。私は相談が苦手だからさ、心の繋がりを感じられる数少ない友達だったんだよ。
まだ友達の結婚式に出席したこともないのに葬式に出席することになったことも、悲しかった。
葬式であんたの親友がさ「この世界で生きる方が苦しそうな人だったから、きっと向こうで幸せになってるよ」って言ってたの聞こえた? それを聞いて納得できたところもあったんだけど、でも、やっぱり私はプリンセスジャイアンだから、ここで一緒に地獄を生きていたかった。
あんたがいないのは、さみしいよ。どうしても、私も会いに行きたくなってしまう日がある。
でもね、憧れのあんたと心の中で一緒に生きるんだって決めた。ありがちな話だけど本当だよ。本当にそう思えたの。
今もこうして思い出しては泣いたり悔やんだりしてしまうけど、あんたは弱くても、ぐんぐん進んで立ち向かう人だったから、私も立ち向かう。簡単に諦めないし、努力をする。素直で全力な、あんたの好きだったところを全部私がやる。
そう思ってからね、仕事が、家族が、友人がどうだ、なんてぐちぐち悩んでいられなくなってね。最近は頑張ってるよ。頑張るからさ、たまにまたあんたを羨ましがってシクシクしても、ガハハって笑ってそばにいてね。
あんたの話を書いていいのかずっと迷ってた。でも、本当に私の中で生きてるって思えてから、あんたをもっと好きになって、大事になって、どうしても書きたくなっちゃった。
あんたのことをどやこや言うやつは、私がシバいとくから、許して。
私頑張るから、スーパー生きるから。死ぬほど生きてやるから!
ババアになってそっちに行ったらまた踊り狂って歌ってくれ。
Stay gold.
P.S.
こないだ私の誕生日会で、あんたのキープボトルを皆で飲んだよ。ずっと取って置いてくれるって、お店の人が言ってくれたよ。あんたの親友たちも、あんたに会いに行かないか心配するくらい寂しがってるよ。私がここであんたの代わりにみんなを大事にするから安心してね。おやすみ。
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歌詞には書けない愛の話
シンガーソングライターとして活動するほのかりん。歌という表現を超えて、一人の女性として、心のうちをさらけだす。表現者として新たな挑戦となるエッセイ、新連載!