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歌詞には書けない愛の話

2024.03.15 公開 ツイート

友情だと思ってたらただの穴モテだったというこの現象に、誰か名前をつけてくれ ほのかりん

シンガーソングライターとして活動するほのかりん。歌という表現を超えて、一人の女性として、心のうちをさらけだす。表現者として新たな挑戦となるエッセイ、新連載!

*   *   *

私はシンガーソングライターを仕事にしている。

私が今まで書いてきた曲は、愛してだの、愛してるだのラブソングばかりだ。これまで、自分をどうやって大切にするかを知らずに生きてきた。

でもだからこそ、誰かを大切に出来たの。時には大切にしすぎて、相手に対してなんでもかんでもやってあげたくて重たいと言われたり、わがままや自分勝手で彼を傷付けたりもした。

 

誰かを愛するにはまず自分からというが、私はそうは思わない。自分を愛せなかった反面、その分誰かを愛し、それによって私自身も喜べることを知った。

相手を想う気持ちを育て、愛と成長してきた。綺麗な思い出も辛かったことも私の一部と言えるから、ラブソングを歌っているというより私自身を歌っている。古い日記を読み返すみたいに。(最近出した新曲もラブソング!是非聞いてくれよな!急な宣伝)

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よく酒を飲む時の肴にするのが、「男女の友情はあるのか」という話。

男と女で考え方も違うと思うが、私は絶対にない!と声を大にして言いたい。

似たような話で無償の愛はあるのかという話も出るが、それも同様存在しないと思う。この世は、等価交換だ。何かを得るためには同等の対価が必要になる(エルリック兄弟が言ってた。引用元:鋼の錬金術師)。

友情には居心地などのメリットが必要で、愛情には理由がいる。可愛いし癒されるから猫を愛でるけど、ゴキブリは愛でないっしょ。
無償の愛についての話は恋愛関係以外にも適用されるが、男女の友情は「恋愛関係」か、または「その一歩手前」か。それしかないと思っている。

私に「男女の友情はあるよ!俺たちだってそうじゃん!」と朝5時から5時間も説教垂れてくれたチンコも、今やたまに上がってくるインスタで生存確認をする程度だ。おい、読んでるか?あの日の5時間分の酒返してくれ。全く酔えなかったから。

まあ、それでも私には男友達がいる。そのうちの一人は親友と呼べるほど仲が良い。お金に困って飯が食えなくなったら飯を奢ってあげたいし、仕事を無くしてしまったら紹介してあげたいと思える。でも、これは無償の愛ではない。「お前が友達という線引きを超えてこないからしてあげれること」だ。

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友達だと思っていた人に、「実は前から好きだった」と言われた経験がある人は一定数いると思う。私はある。

本来、好意を向けられて悪い気はしない(出来ればいっぱいモテたい)ものだが、友達だと思っていたやつに急に好きだと言われると「ずっと穴としてみてました」と言われた気がしてしまう。

ああ、お前が男で、私が女だから、この関係値が築けたってことね。と。

友情だと思ってたらただの穴モテだったというこの現象に、名前をつけてほしいくらいだ(穴モテドッキリとか?欲情フレンドとか?)。
この穴モテドッキリが発動しないよう努力した上でやっと、存在しない男女の友情は実現できると思っている。

例えば、めちゃくちゃハードな下ネタを話して、下品な女キャラを自ら取りに行くとか(たまに気が狂った奴が「いいね!スポーツセックスしようぜ!」などと言ってくる場合もあるので注意)。

「恋愛?ケッ!あたしゃ一人で生きていくんだよ……」と恋愛休止中アナウンスを轟かしてみたりだとか。

「お前はマジで最高な友達だな!」と呪文みたいに“オマエハ・トモダチ“と刷り込ませるとか。

まあ、こんな~口も悪い・性格も悪い・ジャイアンver女~みたいな私を一瞬でも好きになってくれるのは超超超有難いッ♪(恋愛レボリューション21のリズムで)が、ずっと夢だったエッセイの仕事のこの場(幻冬舎さんありがとうチュッ!)でモテ自慢をしたいわけでは決してない。そもそも穴モテはモテとは言わないし。

♡   ♡   ♡

人間として私を好いていてくれて、尊敬してくれたから一緒にいてくれているんだと思ってたから、ただの女に成り下がってしまった気がして悲しかった。そして私も、そいつのことをもう友達ではなくただの男としてしか見れなくなった。

こうやって友達をひとり失う度にどうして私の下半身にイチモツがついていないのか、クソ不毛なことで本当に悩んだ時期もあったけど、結局女として生きていくことを受け入れるしかないのだ。人間だけど女だし、女だけど人間だもん。

女として生きることを辛いと思いたくないから、女で生きることを許してほしい。

安っぽい行為の誘いを受けたら「ひとりで帰ってシコってな❤︎」とユーモアを交えて暴言を吐いたり、「あいつに傷付けられました!」とクソ被害者面のラブソングをいつか書いたり、こうやって嫌味たっぷりのエッセイのネタにするかもしれないけど、友達じゃないし許してくれるよね。だって私の優しさには限りがあるから。

いちいち、私を搾取しようとしてくる人間には、怒らないけど私も搾取するつもりでいくよ。等価交換だからね。

私はね、わざわざ線引きをしなくても私を人間扱いしてくれる人に、私のありったけの愛を注いであげたいんだ!

ね。無償の愛なんか、ないでしょ。

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歌詞には書けない愛の話

シンガーソングライターとして活動するほのかりん。歌という表現を超えて、一人の女性として、心のうちをさらけだす。表現者として新たな挑戦となるエッセイ、新連載!

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ほのかりん シンガーソングライター

神奈川県出身。幼少の頃からモデル/タレントとして活躍。現在はシンガーソングライターとして活動中。女の子の心に突き刺さる鋭い言葉と親しみやすくもドラマチックな曲調でティーンを中心に支持を集めている。

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