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白い巨塔が真っ黒だった件

2023.09.05 公開 ポスト

「ここまで暴露してよいのだろうか。生々しい筆致に鳥肌が消えず、読んでいて背筋が凍りっぱなしだった」アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/大塚篤司(医師)

白い巨塔が真っ黒だった件』に、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんこと、内田剛さんからアツいレビューが届きました。内田さんは「何に震えた」のか!?

*   *   *

人は生きているうちに一体何度、病院に行くのだろうか。そして一体何人の医者のお世話になるのか。超高齢化社会となった今、その頻度はますます高まっており、これまで以上に、人々の暮らしと医療は切っても切り離せない関係になっている。

いまや「衣食住」よりも生活に欠かせないのは、「衣食住」よりも医療だ。まさに「医食住」の時代ともいえるほど、誰にとっても医療問題は誰にとっても実に切実なテーマなのだ。

個人的な話で恐縮であるが、これを書いている僕はコロナ直前まで約30年間、書店店頭でおもに文芸書の担当として勤務していた。時代小説やミステリー、ケータイ小説にライトノベルなど、ジャンルに流行りや廃りはあれども、棚で根強い人気があるのが医療をテーマにした小説だ。テレビドラマや映画など映像化でベストセラーとなった作品もたくさんあるが、その中でもとりわけ現役医師による著作には根強いファンが目立っている。医療という身近なテーマだけに興味関心の深い読者が多いためであろう。

本書は、医療という並みいるライバル作品が多いジャンルの中でも、そのリアルさでは群を抜いている。

もちろん著者が現役大学病院教授であり、その実体験に基づいたく内容であるから間違いないのだが、それにしても、ここまで暴露してよいのだろうか。まさに小説の皮をかぶったノンフィクション。ほぼ実話であろう生々しい筆致に鳥肌が消えず、読んでいて背筋が凍りっぱなしだった。

タイトル通り「白い巨塔」が実は「真っ黒だった」というストーリーなのだが、その壮絶さは想像を遥かに凌駕する。白と黒が明確になるというより、グレーゾーンという闇があまりにも深いところがショッキングだ。

物語の導入部分から「すごいところにきてしまった。(P.12)」という本音が炸裂。病院は一体誰のためにあるのか。医学を志した者たちの崇高な理念はいったい何処へ消えてしまったのか。大切な命を預かる病院は身の毛もよだつ伏魔殿で、仁義なき教授戦は底の見えない蟻地獄のよう。

内田さんの手書きPOPもアツい!

このままでいいはずはない。理不尽な組織と真向から闘いを挑みながら、たったひとつの真実を書き残さねばならないという、著者である大塚篤司先生の並々ならぬ決意と覚悟も伝わってくるのだ。

ただ貫かれている己の正義を綴っただけではない。本書で披露されたエピソードによって明らかになった知られざる病院の現実は、数多の理不尽な常識で成り立っていることが分かる。つまりは大いなる問題提起の一冊でもあるのだ。著者の強烈なメッセージが込められた雄弁なペンは、長い年月をかけて「白い巨塔」にこびりついてしまった澱を、根こそぎ剥がすメスにもなっている。

医療の世界に大きな一石を投じた本書はまた、真っ直ぐに未来を照らしていることにも気づくだろう。たくさんの読者に読まれるほど、この社会を浄化させるパワーを持っている一冊だ。

まずは興味本位のような「怖いもの見たさ」がきっかけでも構わない。とにかく最狂のホラー小説より恐ろしい読書体験で全身を震わせてもらいたい。

そう、知ることからすべてが始まるのだ。

―ー内田剛(ブックジャーナリスト)

関連書籍

大塚篤司『白い巨塔が真っ黒だった件』

患者さんは置き去りで、俺様ファースト!? この病院は、悪意の沼です! 現役大学病院教授が、医局の裏側を赤裸々に書いた、“ほぼほぼ実話!?”の教授選奮闘物語。

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白い巨塔が真っ黒だった件

実績よりも派閥が重要? SNSをやる医師は嫌われる?

教授選に参戦して初めて知った、大学病院のカオスな裏側。

悪意の炎の中で確かに感じる、顔の見えない古参の教授陣の思惑。

最先端であるべき場所で繰り返される、時代遅れの計謀、嫉妬、脚の引っ張り合い……。

「医局というチームで大きな仕事がしたい。そして患者さんに希望を」――その一心で、教授になろうと決めた皮膚科医が、“白い巨塔”の悪意に翻弄されながらも、純粋な医療への情熱を捨てず、教授選に立ち向かう!

ーー現役大学病院教授が、医局の裏側を赤裸々に書いた、“ほぼほぼ実話!? ”の教授選奮闘物語。

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

大塚篤司 医師

1976年生まれ。千葉県出身。近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授。 2003年信州大学医学部卒業、2010年京都大学大学院卒業、2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部外胚葉性疾患創薬医学講座(皮膚科兼任)特定准教授を経て、2021年より現職。専門は皮膚がん、アトピー性皮膚炎、乾癬など。アレルギーの薬剤開発研究にも携わり、複数の特許を持つ。アトピー性皮膚炎をはじめとしたアレルギー患者をこれまでのべ10000人以上診察。アトピーに関連する講演も年間40以上こなす。間違った医療で悪化する患者を多く経験し、医師と患者を正しい情報で橋渡しする発信に精力を注ぐ。日本経済新聞新聞、AERA dot.、BuzzFeed Japan Medical、などに寄稿するほか、著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)、『教えて!マジカルドクター 病気のこと、お医者さんのこと』(丸善出版)などがある。最新刊は、自身の教授選の体験をもとにした初の小説『白い巨塔が真っ黒だった件』(幻冬舎)。

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