幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
太田 光『笑って人類!』
平会議”に、極東の小国・ピースランド首相
が、まさかの遅刻。そのおかげで惨劇を免れ
た彼は、世界を一つにするため、ドン・キホー
テのごとく立ち上がるが……。「言葉の力」
を信じる太田光の、祈りのようなエンター
テインメント!
一方、こちらは大長編ながら一気読み必至のエンタメ作品。
時は21××年、各国は民主国家の同盟「安全な球連合(セーフティボール)」と、ティグロと称するテロ国家の共同体の2極に分断され、両者の抗争は長年にわたり続いていた。その状況を打破すべく、すべての主要国とティグロの代表が一堂に集まり、和平交渉を行うことになった。
だが、「ピースランド」国の富士見総理がその会合に遅れるという大失態を演じる。ピースランドは世界でも「影が薄い、極東の島国」という評価。富士見も、義父の七光りで総理まで上り詰めた無能政治家と国内で酷評されていた。富士見総理が不在のまま会議は予定通り始まるが、その会場で大規模テロが発生。富士見以外すべての首脳が死ぬという大惨事に。世界中が混乱に飲み込まれるが、富士見は同じく生き残ったフロンティア合衆国のアン大統領首席補佐官とともに、和平交渉の実現に向けて動き出す……。
奇想天外な設定を下敷きに、社会の分断、SNS の功罪、行き過ぎたAI の弊害といった現代の宿痾が巧みに織り込まれており、読者は富士見総理の願いと奮闘をリアルな物語として読むことになる。今我々の周囲には目をそむけたくなる出来事ばかり。そして100 年後、富士見総理の時代になっても、人間は過ちを繰り返すだろう。しかし、いや、だからこそ、人類は夢や希望を捨ててはいけない、とこの作品は教えてくれる。普段、テレビの中で悪態をついている著者の、ピュアであたたかい眼差しに読者は感動するだろう。
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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