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80歳の壁

2022.12.01 公開 ツイート

2022年 年間ベストセラー総合第1位!『80歳の壁』 和田秀樹さん「80歳を過ぎたら食べたいものを食べ、やりたいことをやりなさい」 和田秀樹

医師で、老年医学の第一人者である和田秀樹さんの著書『80歳の壁』が、2022年の日販(総合)、トーハン(総合)の年間ベストセラーランキングでいずれも1位となり、「2冠」を達成しました。発行部数は50万部を超え、発売から8か月たった今も売れ続けています。和田さんが本書でくり返し強調しているのは、「ガマンをしない」ということ。食べたいものは食べる、やりたいことはやるのが一番の健康法だと語ります。

和田秀樹さんからのコメント

『80歳の壁』の発売当初から、「友だちにも薦めました」「10冊買ってみんなに配りました」「自分の親にさっそく手渡ししました」という声を多くいただきました。
超高齢化社会を迎えると言われながら、世の中がまったく変わっていないという理不尽を日々感じています。免許の返納や、外出自粛についても世代間で軋轢が生じていますが、『80歳の壁』を起点に高齢者が遠慮しなくてもいい社会に変えていくきっかけづくりができればと願っております。本書がこれだけ読まれたのも、多くの高齢者の方の共感と元気パワーのおかげと感謝感激です。

*   *   *

「体の声を素直に聞く」のが一番の健康法

食べたいものを我慢している人は多いでしょう。食べる量を減らす、塩辛いものや甘いものを避ける、脂っこいものを控えるなどは、よくあるケースです。

世間の常識では、太っていると健康が損なわれ、「塩分、糖分、脂質」は三大害悪のように言われているからです。

(写真:iStock.com/Rawpixel)

でも、本当にそうなのでしょうか?

 

「食べたい」と思うのは体が求めている、とも考えられます。高齢者は臓器の働きが落ちるため、これが欲求を生んでいる可能性があるのです。

たとえば、塩分がそうです。人間は、ナトリウム(塩)がないと生きていけませんが、高齢者の腎臓は塩分を排出し、血中の塩分不足を起こすことがあるのです。

腎臓にはナトリウムを貯留する働きがあり、足りなければキープしようとします。ところが老化するとキープする能力が落ち、吐き出してしまう。この現象によって、塩分不足になってしまうというわけです。

すると、低ナトリウム血症(血液のナトリウム濃度が不足した状態)が起こりやすくなります。これを防ぐため、体が塩分を欲しがることがあるわけです。

 

食事の量もそうです。「少し太っている人のほうが長生き」というデータは世界中にあります。つまり、太り気味であるほうが好調だと体のほうが知っていて、脳を通して「食べたい」という信号を伝えているとも考えられるわけです。

たしかに60代くらいまでは、塩分の摂り過ぎも太り過ぎも、健康を損なう原因になるかもしれません。しかし80歳も目前の「幸齢者」になったのなら、その常識は一度忘れたほうがいいと思います。

「食べたいものを我慢してダイエット」など自ら寿命を縮める行為です。栄養不足は、確実に老化を進めるからです。

もちろん、無理に食べる必要はありませんが「食べたい」と思うなら、我慢せずに食べたらいいのです。

体の声を素直に聞く……。80歳を過ぎた「幸齢者」には、これが一番の健康法です。

人間の体は、じつによくできています。それを信じればいいのです。

 

ちなみに、先ほどの低ナトリウム血症は、意識障害やけいれんなどを引き起こします。

ふだんは逆走や暴走をしない高齢ドライバーによる逆走事故や暴走事故などは、もしかすると低ナトリウム血症が原因で意識が飛んだのではないか。あるいは、血糖値や血圧を下げ過ぎて頭がぼーっとしたのかも……などと、複数の原因が考えられるのです。

ポルノを見たいと思うのは健康の証

本当はしたいのに「いい年をして」という言葉が頭に浮かび、我慢してしまうことはありませんか?

でもやはり、したいことは我慢せず、やったらいいと思います。

(写真:iStock.com/monkeybusinessimages)

たとえば、性的なこともその一つかもしれません。世間の常識では「年甲斐もなく」と非難されそうなことです。しかし健康面から言えば、積極的になっていいと思います。なぜなら、男性ホルモンが増えるからです。

 

数年前、歌舞伎町で違法なわいせつDVDを販売して、店員が逮捕される事件がありました。この事件で話題になったのが、常連客に高齢の男性が多かったこと

店には老眼鏡やルーペが常備されており、警察官が踏み込んだ際にも80歳を過ぎた男性客がいたと報道されています。今年1月にも同様の逮捕劇がありました。

「違法なDVD」は推奨できませんが、児童ポルノとは違い、欧米では合法のものです。それ以上にそれを見たいと思うのは健康の証です。また、このような性的映像は男性ホルモンの分泌を高めるので、「元気の源」になっている側面もあると思うのです。

 

もちろん「したいこと」は、エロティックなものだけではありませんし、男性に限った話でもありません。

「楽しいな」とか「面白そうだな」と思うなら、自分にブレーキをかけず、どんどんやってみたらいいのです。

 

※本稿は、『80歳の壁』の一部を再編集したものです。

関連書籍

和田秀樹『80歳の壁』

人生100年時代だが、健康寿命の平均は男性72歳、女性75歳。80歳を目前に寝たきりや要介護になる人は多い。「80歳の壁」は高く厚いが、壁を超える最強の方法がある。それは、嫌なことを我慢せず、好きなことだけすること。「食べたいものを食べる」「血圧・血糖値は下げなくていい」「ガンは切らない」「おむつを味方にする」「ボケることは怖くない」等々、思わず膝を打つヒントが満載。70代とはまるで違って、一つ一つの選択が命に直結する80歳からの人生。ラクして壁を超えて寿命を伸ばす「正解」を教えます!

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80歳の壁

70代とはまるで違って、一つ一つの選択が命に直結する80歳からの人生。ラクして壁を超えて寿命をのばす「正解」があります!

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和田秀樹

一九六〇年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、三十年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『マスクを外す日のために』『バカとは何か』『感情バカ』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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