1. Home
  2. 生き方
  3. カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~
  4. 今年の総括「ウマ娘も好きだが刀剣乱舞もい...

カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2021.12.27 更新 ツイート

今年の総括「ウマ娘も好きだが刀剣乱舞もいまだに好き」 カレー沢薫

今年も終わろうとしている。

この一年オタクとしてどうだったかと言うと、前々から言っている通り、ウマ娘にハマったため、使った金額だけで言うなら生涯一、文句なし、ドン引きのクソオタクだったと言える。

 

だが残高激減の推移をパワポで説明しながら得意満面の経理部長に対し、股間社長は腕組み渋面である。

正直いくら使ったかは計算していないのでわからないのだが、仮に計算して正確な数字が出たとしても、私はそれをここで言えないと思う。

その理由は「引かれるから」と言うのが大きい。

実際前に若干サバを読んだ金額を言っただけでも引かれたので、現在の正確な累計額を言ったら、多くの人間が高速ムーンウオーク、船越の前を横切って東尋坊から転落すると思われる。

年末の海は冷たいし、警察も忙しい、私の課金額を言ったせいで国民の血税が無駄遣いされるとなっては申し訳が立たない。

だが股間社長の貧乏ゆすりが止まらないのはそこである。

何故なら私は数年前から「FGOの土方さんを宝具5にするのに17万使った」と言っているし、今も言い続けている、なんだったら名前より先に言っているレベルだ。

額の問題もあるかもしれないが、そもそも金の使い方というのは理解できない人からすれば1円でも「高い」であり、特にソシャゲは無料でやっている人からしてみれば課金しているというだけでドン引きであり、金額は関係ない。

そもそも他人に好きなものがあって、それにこれだけ金と人生を賭けているという話に引く方もどうかしているのではないか。

ただ、引かずに「すごい! お金持ちですね!」と肯定したところで「こちとら金もないのにやっているんだ金持ちの道楽と一緒にするな」と逆に面倒な話になるに決まっているので、やはり「引く」というのが一番正しいような気がする。

自分が自分の金を何に使おうと自由だが、その話で相手の貴重なお時間を無駄にさせるのはよくない。

ともかく「自分の好きな物に自分の金を好きなだけ使った」というのは、一言で言えば「人生エンジョイ」である。

姿としては、南の島でアロハシャツにレイ、両隣に金髪美女と両頬にキスマークでダブルピースである。

自分がそんな姿になっているなら、むしろ自慢したい、引かれるとしたらそれは嫉妬であり「嫉妬乙」の一言で、金髪美女とハプバーに消えていけばいい話なのである。

よって私も、今年はウマ娘にこれだけ使って楽しまさせていただきました! と金色の着物でリアル白馬に跨りながらと登場すればいいのだ。

サンバと暴れん坊将軍が混ざってしまったが、どちらもマツケンなので誤差として、とにかくそのぐらい堂々と、むしろ誇らしげにしていれば良いのだ。

なぜそれができないのか、と聞かれれば「自分もちょっと引いている」としか言いようがなく、それが股間社長が足を210度に開脚し、ご立腹している点である。

逆に言えば私が土方さんに使った金額を言えるのは全く使いすぎと思っていないからである。

だからと言って高いものを買ったという自慢でもなく、むしろ「この金額でこれだけの物が手に入るのはすごい」という、お買い得情報だから皆にも教えねばというという気持ちに近い。

それができないということは、自分が良い買い物をしたという確信が持てないからに他ならない。

確信があるなら、例え相手がそれを聞いてドン引きしたとしても、その顔を肴に悠然とワインを嗜みながら、葉巻を咥え、輪っかを10連ぐらい(ガチャだけに)作ってみせただろう。

よって来年は自信のない課金をやめるのではなく、自信を持って課金できるように、もっと愛馬たちとの親交を深めていきたいと思う。

そんなわけで、この原稿を書くつもりが、すでに4時間ほど愛馬と親交を深めてしまった。

このように、「ハマっている」と聞いたら、お金をたくさん使っているというイメージがあるかもしれないが、実はそれ以上につぎ込んでいるのが「時間」だったりする。

ウマ娘に中毒性があるのは、ガチャだけではなく、ウマ娘をトレーニングするのにも運が大きく関わり、運がいいと強いウマ娘ができるのだ。

トレーニングにも有償石を使ったりはするが、ガチャに比べれば微々たるものである。

つまり無限にタダでガチャが引けるようなものなので、引かない方がおかしい。

しかしこのトレーニングには時間がそこそこかかるため、金の代わりにジャブジャブ時間がなくなるのである。

しかし、ほとんどタダと言ってもそれは私の感覚であり、一応有償なので、無課金の人は無償でできる分を終えたら切り上げることができるだろう。

だが世の中にはそんなストッパーすら無くしたゲームがある。

それが我らが刀剣乱舞だ。

あのゲームはイベントは別として、基本的な周回であれば何も消費せず、そして運が良ければレア刀が手に入るのだ。

まさに無償無限ガチャ状態であり「金がなくなった」という、最強のやめる理由がない上に「次こそレア刀が出るかも」という期待があるため、切り上げることがなかなかできず無限に時間を使えてしまうのだ。

ウマ娘にハマった時は、そのゲーム性の高さから、いまだに城の地下を掘らせたり、玉をマ万単位で集めさせている刀剣乱舞とは対極のゲームだと思っていたが、方向性は同じ、むしろ「刀剣乱舞の方が上」であることに気づいた。

それに気づかなかったら、ウマ娘は面白い、それに引きかえ刀剣は、という一番してはいけない比較をするところだった。

何かを上げるために何かを下げるというのは、オタク以前に人間として最も低い。

だが、気づけたおかげで、ウマ娘は面白い、そして刀剣乱舞は面白くないけどすごい、という両上げをすることができた。

ウマ娘も好きだが、刀剣乱舞もいまだに好きなジャンルである、その偉大さに改めて気づけたのだから、やはりウマ娘をやってよかった。

関連書籍

カレー沢薫『人生で大事なことはみんなガチャから学んだ』

引きこもり漫画家の唯一の楽しみはソシャゲのガチャ。推しキャラ「へし切長谷部」「土方歳三」を出そうと今日も金をひねり出すが、当然足りないのでババア殿にもらった10万円を突っ込むかどうか悩む日々。と、ただのオタク話かと思いきや、廃課金ライフを通して夫婦や人生の妙も見えてきた。くだらないけど意外と深い抱腹絶倒コラム。

{ この記事をシェアする }

カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

バックナンバー

カレー沢薫

漫画家。エッセイスト。「コミック・モーニング」連載のネコ漫画『クレムリン』(全7巻・モーニングKC)でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『もっと負ける技術』『負ける言葉365』(ともに講談社文庫)、『ブスの本懐』(太田出版)がある。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP