
子のことが好きで、好きで、好きすぎて泣けてくるときがある。
「かわいいね」と薄い髪を撫でると、おっぱいを飲み終わったばかりで赤らんだ顔の息子は鼻息でふんっ、ふんっと答える。おそるおそる頬に唇を押し当てると、ちょっとびっくりするくらいにやわらかい。これはなににも形容しがたい、たぶんこの世界のなかで、もっともやわらかいものじゃないかしら……。死ぬ間際にみる“走馬灯”には映像以外も含まれるんだろうか。もしリクエストできるなら、この頬のやわらかさも、そのときに思い出したいものである。
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