
91歳の母の介護生活をスタートさせてから、2ヵ月があっという間に過ぎた。会話のくり返しも慣れてはきたが、深くは考えないようにする。デイサービスがない日、近所の特別養護老人ホームでショートステイの面接があり、母と出かけた。

1月10日 日曜日
<介護76日>
テレビで緊急事態だとずっと言っているので、「外へ出ない方がいい」とは分かっている。
そのせいか、冒険や探検はなく、午前は部屋にいる。午後は庭で枯葉の掃除をしてくれる。
だがそれも終わり、アルバムを見る。
1時間ほどして、「笑わないで聞いてほしいんだけど」と、深刻そうに、「わたし、ここへ来る前のことが、何も思い出せないのよ」「前からだよ」「そうなのね。あなたがそれを知っているのなら、いいわ」
あまり深刻には考えないようにしよう。テレビをなんとなく見てたら、木村拓哉の日産のコマーシャル。「あ、この人、知ってる」名前は思い出せないが、顔は知っていると言う。
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時をかける老女

91歳の母親と、33年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった。この日記は、介護殺人予防のために書き始めたものである。
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