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豆柴センパイはおばあちゃん ヨロリゆるゆる、今日もごきげん

2021.04.02 更新 ツイート

センパイ、深夜のグル活も安心? 石黒由紀子

「センパイ、こんなに健脚だったの?」おばあちゃんとなったセンパイと暮らして、そう思っています。なにせ「散歩ぎらい」として有名だったのですから。それは子犬の頃からで、まずは歩きはじめるまでに時間がかかり、やっと歩いたと思ったらすぐに立ち止まる。前方から犬が歩いてくれば、通り過ぎるまで固まって気配を消す。草むらではいつまでも匂いを嗅いでのらりくらり……。今思えば、私の歩かせ方(ハンドリング)がよくなかったのだと反省していますが、歩こうとせず、道で立ち往生しているセンパイは近所でも有名でした。

 

通りすがりに「どうしたの?」と聞いてくれる人もいて、「散歩があまり好きではないようなんです」言い訳のように私が言うと「え~、そんな犬、いるの?」と不思議がられたり、笑われたり。それが、ここ1年くらい、足並み軽くサクサクと歩くようになりました。

とはいえ、スタートが遅いのは相変わらず。家を出て、近くの広場までは抱っこ。広場に着いたら土に降ろして、気持ちがアガるように声をかけながらアイドリングOKになるのを待っています。

歩き出してからはサクサクいきます。後ろ脚の動きが良くないようで、少しだけピョンピョンと跳ねるような歩き方。目が見えづらくなってからは、大きな影に驚いて立ち止ったりするもののテンポよく歩きます。「もっとゆっくりでもいいんだよ」そう声をかけるのですが、彼女なりの歩きやすいスピードがあるよう。ゆっくりだと止まってしまう? 今のところ、散歩は朝と夜の2回。15~20分ほど、同じコースを歩きます。

以前は「変化がある方が刺激になっていいかな」と、歩くコースを変えていましたが、目や耳がおぼろげになってからは、慣れた道を行くようにしています。

センパイは、ひとりで遊ぶことやなんとなくのんびりしている、ということができなくなりました。睡眠も長くて4時間くらい。目を覚ますと部屋中を歩きまわります。極端な言い方をすると4時間眠り2時間部屋をグルグル歩く生活。認知症が進んでくると、朝昼の生活サイクルが崩れてくるそうですが、センパイもそうなのでしょうか。

センパイが部屋中をグルグル歩き続けることを我が家では「グル活( グルグル活動)」と呼んでいます。センパイは「グルマー」。本当によく歩くのです。「脚腰が鍛えられてよいね!」と言っていますが、本当のところはどうでしょう。前にも書きましたが、「歩く」と「ハマる」がセットです。

部屋の隅や壁とソファの間、立て掛けてある大きな鏡の裏、椅子やテーブルの脚……、あらゆるところにハマります。センパイは「グルマー」で「ハマラー」。ハマったらずっと立ちすくんでいるので、救出するのが私たちの役目。最近は、オットか私のどちらかは必ず在宅するようにして、ふたり揃って長時間の外出はできるだけしないようにしています。困るのは、ひとりで在宅していてお風呂に入るとき。それから深夜です。

深夜はふたりとも眠っている間にセンパイが目を覚ましグル活をはじめます。そしてハマって、助けを呼ぶ声で起こされるのでした。

ソファや小さなスツールを片付け、棚を壁にぴったり付けて、リビングや寝室に広い空間を作ってみても、「ここに?」と、思いもしないところにハマるのです。箱と箱の間、積んである雑誌の角、ベッドからはみ出した毛布、キッチンに立っている私の右足と左足の間にも。天才的なハマりに泣き笑い。本犬は大真面目なのですが。

そこで導入したのがサークルです。「子ども用のビニールプールの中を歩かせるといいですよ」とアドバイスをいただいたので、何かそのようなモノはないかとネットで検索していたときに見つけたのが「八角形ペットサークル」でした。ペット連れでキャンプに行くときなどに使用するもののよう。

表面はナイロン製。メッシュで通気性もよく、天井を開けておけるのでセンパイとしても「閉じ込められている」という感じがないのでは。軽いので、家中どこにでも簡単に運べるのも都合よし。折りたたみ式で使わないときにはたたんでしまえるのもいいのです。

「買うならこれでしょう!」というのは見つけたものの、導入してしまうと「本格的な老犬介護がはじまりました」という雰囲気になりそうで躊躇。しかし、時間は流れていくし、センパイも日々変化します。意味のない抵抗はやめ、「いつか使うなら早い方がいい」えいっ、ポチりました。

到着し、早速組み立てると、リビングに大きなサークル(直径114センチ、高さ62センチ)が出現しました。ハマったセンパイをすぐに助けられないときに、この中に入れることにしました。籐のスツールをサークルの中心に置いたところ、そのまわりをグルグル歩き始めました。ここでならハマる心配もなく、スムーズに歩けます。「目が回ったりしない?」と心配でしたが、今のところは大丈夫。夜はサークルをリビングから寝室に引っ越して、深夜のグル活に備えています。

歩くスイッチが入ったら、センパイは何かに衝き動かされているかのように、ただ黙々と歩きます。まっすぐまっすぐ歩きます(それでハマります)。獣医師から「家具などに強くぶつけてケガをさせないよう気をつけて」と注意を受けましたが、サークルのおかげでその心配も軽減しました。

最近はもっぱら介助猫となっているコウハイもサークルが気に入ったよう。サークル内をグルグル歩くセンパイに並走したり、真ん中のスツールに乗って警備。ニャルソックしています。

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石黒由紀子

エッセイスト。栃木県生まれ。日々の暮らしの中にある小さなしあわせを綴るほか、女性誌や愛犬誌、webに、犬猫グッズ、本のリコメンドを執筆。楽しみは、散歩、旅、おいしいお酒とごはん、音楽。著書に『GOOD DOG BOOK ~ゆるゆる犬暮らし』(文藝春秋)、『なにせ好きなものですから』(学研)、『さんぽ、しあわせ。』(マイナビ)など。『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』、『犬猫姉弟センパイとコウハイ』(ともに小社刊)は、幅広い支持を受け、ロングテールで人気。

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