
来る日も来る日も30度超え、残暑は一体いつまで……? と暑さに負けていました。9月に入ると空が高くなり、朝夕に吹く風は涼しくなっていたものの、日中の日差しは暴力的。秋分の日を境にぐっと秋らしくなったセンコウ地方です。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですね。
「暑くない」というだけで、こんなにも気持ちが安らぐとは。週末には地元のお祭りがありましたが、御神輿も気持ちよさそうに通って行きました。
おかげさまでセンパイ、18歳になりました! そしてコウハイは13歳です。酷暑にビクビクしていた数ヶ月、むしろ暑すぎてほぼほぼ冷房の中でひっそりしていたのがよかったのでしょうか。体調も安定しています。
早朝と夕方に風を通して部屋の空気を入れ替える以外、本当に冷房の中にいました。決まった時間にごはんを食べ、ミルミル水を飲み、紙パンツを替える。ちょいちょいおやつで気を紛らわせ、あとはカートでくるくる。そして昼寝。「規則正しい」と言えなくもない、そんな夏の日々。
気をつけていたのは冷えすぎないこと。服を着せたり靴下を履かせたりして体温調整をしていました。あとは紙パンツの中が蒸れて汗疹にならないように、ということくらい。
食欲が落ちないように、少しずつ味を変えたり、食べやすいようにとろみをつけたりもしていましたが、鉄の食欲を持つ女•センパイにはあまり関係なかったかもしれません。
私もセンパイよろしく、最低限の外出をする以外は引きこもり。ときどき友人たちがセンパイに会いに来てくれて、外の空気を運んでくれました。犬と猫と、蚕が育つ繭の中にすっぽり入っていたような感じです。変化がなくて淀みがちな気持ちを除けば、おだやかな世界でありました。老犬には「変化がない」「特別なことは何も起こらない」ことが何よりなこと。
いつものクッキーとケーキでお祝いし、恒例の記念撮影もできました。なんだか夢のようです。感慨に耽ける私ですが、センパイは「生まれて18年経ったから18歳になっただけだけど?」と言いたげ。
猫のコウハイはセンパイ以上に年齢など気にしていないと思う。生まれてきて捨てられて、拾われたと思ったら、勝手に誕生日を作られて「おめでとう」と言われてもね? 的な。「まぁ、いつも食べないようなケーキやクッキーが食べられるから、それはそれでラッキーではあるけどさ」、その程度なのだと思います。
センパイとコウハイ、人間に付き合ってくれてありがとう。
「いくつになった」とか「もうすぐいくつ」とか、年齢を気にしているのは人間だけかもしれませんね。動物は生まれたら、今を生き、生きるだけ生き、そしてそのときがききたら潔く旅立つ。それが10歳でも15歳でも18歳でも気にしないのかもしれませんね。
夏がはじまる前の「まだ夏本番ではないのに、それにしては暑いよね」の頃から、定期的に我が家に通ってくれていた人たちがいました。先月にも少し書きましたが『ネコメンタリー 猫も杓子も』(NHK Eテレ)という番組のスタッフのみなさんです。オットに声がかかり、コウハイとのドキュメンタリーを撮ってもらえることになりました。
「普段のままを撮りたいので」と、スタッフは3人。30分弱の番組なのに何度も通ってくれて、大きめの座敷わらし(おとなサイズ)のように、なんとな~く家の片隅にいて、様子を見ながらカメラを回しセンパイとコウハイ(とオット)に静かに寄り添ってくれました。
センパイをじっと見つめるコウハイの姿、カタカタカタと歩くセンパイ など、この連載を読んでくださっているみなさんにも動く2匹を見ていただく機会となり、うれしかったです。よい記念となりました。そして観て下さってありがとうございました。
この撮影が進行している中で、心の隅にあったのは「これが放送されるとき、2人と2匹で観ることができるのかな」ということ。番組のおしまいに「センパイはこの夏……」なんて、小さくテロップが入るようなことになったりして……、なーんて。ついつい思ってしまう自分に喝! 無事にみんなで放送を観ることができて本当にうれしかったです。
番組が放送されているとき、コウハイはずっと私たちの近くで眠っていました。そして、放送が終わると同時に目を開けて伸び~~。多分、たぬき寝入りです。『ネコメンタリー 〜』はいつも興味深げに観ているんです、なのに自分のときは……。照れてる?
「だって、ボクのことはボクがよくわかっているから、別に観なくてもいいんだ」なんだか、そう言いたげでした。
豆柴センパイはおばあちゃん ヨロリゆるゆる、今日もごきげん

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