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ゴルフは名言でうまくなる

2020.10.18 更新 ツイート

第152回

「ゴルファーにとって最大の敵は、自分の思考力である」――中部銀次郎 岡上貞夫

「シンプルなスウィング」のための4つのポイント

日本アマ優勝6回の記録を残した銀次郎さんは、理想のゴルフスウィングについて「人間が機械になることである。クラブを何回振っても同じ軌道を通せるのは、機械でなくてはできないのだから」と語っている。

しかし、人間はSF映画のサイボーグのようにはなれないし、平坦でないコースのアンジュレーションの上から、瞬時にその足元の傾斜に対応したスウィングをすることは、スウィングマシーンにもできない。

銀次郎さんのいう理想のスウィングとは「同じ場所からならば毎回、何度でも同じように振ることができ、同じボールが打てるスウィング」、つまり再現性の高いスウィングという意味だろう。

 

銀次郎さんは「いいボールが打てるなら、スウィングなどどうでもいい」とも言う。しかし、結局のところ悪いスウィングではいいボールが打てないので、やはり「いいスウィング」を求めざるを得ないのが現実なのだと見抜いているのだ。

「いいスウィング」を実現するためには、「できるだけシンプルなスウィング」が理想的で、チェックすべきポイントは次の4点だそうだ。

(1)いいグリップ
(2)正しいアドレス
(3)頭が動かない
(4)右腰がアドレスから右へ動かない

スウィングのチェックポイントは他にもたくさんあるだろうが、多くをチェックしすぎるとかえって複雑になるだけだ。

(1)と(2)はスウィングを始める以前のことで、鏡に映せば家でもチェックできる。スウィングをスタートしてからは(3)と(4)の2点だけ意識すればいいので、たしかにシンプルだ。

まずはこの4点だけを心がけて、自分のスウィングが合致しているかどうかを確認することだ。少なくともこれらが守られていれば、悪いスウィングではないはずだ。

準備段階で思考し、いざショットに臨むときは無心で

銀次郎さんは、心理的な面でも機械に近くなれれば、ゴルフはうまくいくはずだと言っている。機械は何も思考しないから、「いいショットができるだろうか」「風に負けないボールを打とう」「ダフったら最悪だ」「少なくとも200ヤードは飛ばしたい」などなど、ショットの間際に考え込んでしまうことがないのだ。

そのような思考をいっさい排除した心理状態が、ボールをショットする間際は理想的だとおっしゃる。「機械のように」というと非人間的で抵抗を感じるかもしれないが、無心にショットすると言い換えればよいだろうか。

表題の名言は銀次郎さんの著書『もっと深く、もっと楽しく。』に出てくる。「最大の敵は、自分の思考力」というのは、ショットの間際に多くを考えすぎて、結果的にミスを犯しているゴルファーがいかに多いかを示唆しているようだ。

一方で、球聖ボビー・ジョーンズのこんな名言も有名だ。

「ゴルフは体力よりも、主として『耳と耳の間のもの』によってプレーされるゲームである」

これは「最大の敵は、自分の思考力」と矛盾するのではないかと思うかもしれない。

しかしジョーンズは、ショットをする前の準備段階では「脳を使って思考する」のがゴルフというゲームだと言い、銀次郎さんは、いざショットに臨むときにはそういった思考は終えて無心であるべきだと言っているのであって、ここの切り替えが重要なのだろう。

いいゴルフをしていながら、欲望に負けて墓穴を掘る。結局はハンディどおりか、むしろそれ以上に打ってしまう……ゴルフとはそういうものである。

ゴルフは技術の面でも奥が深いが、墓穴を掘らないようにゲームを進める考え方のほうが無限に深く、スコアへの影響も大きいのだ。

ドライバーの飛距離が伸びて、アイアンも曲がらなくなった。3パットが減った。アプローチでそこそこ寄せられるようになった。明らかに上達しているのに、なぜかスコアはいつもと同じ……こう感じているゴルファーは多いのではないか。

自分でも技術的には上達している実感があり、友人たちからも「うまくなったね」「飛ぶようになったね」と褒められているなら、技術は向上しているに違いない。

あなたのスコアが伸びない技術的・心理的な原因

では、なぜスコアに反映されてこないのか? この原因も、技術面と心理面の両方にあるのではないかと思う。

まず技術面からいうと、たとえばドライバーの飛距離が伸びたとしても、曲がりが大きくなっていたらどうだろう。合格点を80点として飛距離は70点から80点になったものの、正確さのほうは80点だったものが70点に下がってしまっていたら、結局平均点は同じ75点で合格に達していないのだ。

アイアンも曲がらなくはなったけど飛ばなくなっていたとか、3パットは減ったけどパーオン率が下がっていて単に長距離パットが減っただけだったとか、アプローチも寄ることが多くなったが狙いすぎでトラブルも増えたとかで、結局トータルでは合格点に達していないのではないか。

ゴルフのスコアは複合的な技術的要素が合格点に達しないと、スコアには反映されないものなのだ。何が合格点に達していないのかの課題を見つけ、総合点で合格できるよう練習していくしかない。

一方、心理面ではどうかというと、ドライバーの飛距離が伸びたからと無理に最短ルートを攻めていたり、アイアンが曲がらなくなったのでグリーンセンターではなくピンを攻める欲望に負けていたりしないだろうか。

3パットが減ったからと、たまにパーオンしたときはバーディを取ろうと積極的になりすぎていたり、アプローチも上達したからと、難しいところからでも無理に寄せようとしていないだろうか。

つまり、技術が上達した実感が自分にもあって、友人たちからも褒められるので、ついその気になって欲望に負けてしまっているのだ。

こういう心理はゴルファーなら誰でも共感できるし、ついつい陥りやすい。だが、うまくいったホールはパーが取れて舞い上がったりするが、次のホールではトリプルボギーなんてことになり、結局スコアはよくならない。

技術面の要因は、合格点に達していない課題を練習場へ行ってひとつひとつクリアしていかなくてはならないので、時間がかかる。だが、心理面の要因は、考え方を変えるだけでいいので、今日からでも改善することができる。

ドライバーが飛ぶようになったからといって無理な狙いはせず、フェアウェイキープを重視する。アイアンも曲がらなくなったのなら、ますますグリーンセンターをしっかり狙う。3パットが減って距離感が向上したのなら、しっかり「2パット・イズ・ベスト」を心がける。アプローチが向上したのなら、入れやすい上りのショートパットを残すようにマネジメントする。

銀次郎さんは、このような思考をすれば、アベレージゴルファーなら5ストロークぐらいはすぐによくなるという。こうして技術の向上が、スコアにも結びついてくるのだ。

まず心理面のシングルになっておいて、その後、練習場で課題がクリアされ、技術面の裏付けが加わってくれば、シングルハンディは目の前だ。

今回のまとめ

1. スウィングはシンプルであればあるほど再現性が高い

2. スウィングのチェックはグリップ、アドレス、頭、右腰のみにし、多くを考えない

3. 技術の向上をスコアに結びつけるには、まず心理面で無理をしないこと、次に合格点に達していない技術的課題をクリアして、総合点で合格レベルまで向上させること

参考資料:中部銀次郎『もっと深く、もっと楽しく。 アマチュアのためのゴルフ聖書』集英社文庫、1991年

関連書籍

岡上貞夫『ゴルフは名言でうまくなる』

「ゴルフに“打ち上げる"運動は存在しない」(ボビー・ジョーンズ)「アマチュアは、ハンディの数だけヘッドアップするのよ」(岡本綾子)、「次善を求めて、最善を尽くす」(中部銀次郎)ほか、古今東西・名選手の実践的名言37を厳選して解説。読むだけで100を切る!? アベレージゴルファー必読の書。

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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