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性犯罪者の頭の中

2020.09.22 公開 ポスト

性犯罪者は「警察に届け出なさそう」な相手を計画的に選んでいる鈴木伸元

著名な漫画原作者やタレントが逮捕されるなど、日々メディアを騒がせている性犯罪。こうした行為に手を染めるのは「粗暴で不気味な人」と思われがちですが、実態はかなり異なるようです。『性犯罪者の頭の中』(2014年5月刊行)は、そんな彼らの意外な素顔と、心の闇に迫った渾身のルポルタージュ。恐ろしい犯罪から自分やわが子を守るためにも読んでおきたい本書より、一部を抜粋してお届けします。

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彼らは計画的に被害者を選んでいる

子どもを対象にした性犯罪者の中には「小児性愛」の者もいるが、「子どもは狙いやすい」という理由で犯行に及んでいる者も少なくない。

前述の科学警察研究所の調査では、「なぜ今回の被害者を“被害者”として選定したのか」を性犯罪者たちに問うている。答えは、16項目の中から複数回答を選択するという形で集計・分析された。

(写真:iStock.com/metamorworks)

理由として、多かった順に次のようになっている。

・警察に届け出ることはないと思った 37.2%

・おとなしそうに見えた(抵抗されないと思った) 36.1%

・一人で歩いている女性を選択 28.3%

・警察に捕まることではないと思った 21.3%

・弱そうな感じがした 15.5%

 

一方で、次のような項目は、上位にはならなかった。

・性産業の従事者には何をしてもかまわない 0.7%

・被害者が挑発的な服装をしていた 5.2%

・自分の好みのタイプが通るのを待っていた 11.9%

 

ここから性犯罪者たちは、いかに自分の犯行がスムーズにいくか、ということを基準にして、被害者を選んでいるということがわかる。科学警察研究所の報告は、被害者が「挑発的な服装をしていた」などといった、従来からある被害者の落ち度を問うような風潮は間違いである、とまとめている。

そして、被害者を選ぶ際の、こうした性犯罪者の傾向については、研究者の間で意見がかなり一致している。小児性愛者だけが子どもを狙った性犯罪をするわけでもないし、挑発的だったり派手だったりする女性に性的衝動を駆られて性犯罪をするのでもない。むしろ、もっと計画的に被害者を選んでいるのである。

子どもの帰宅時間に要注意

性犯罪者は、自分に都合のよい時間帯を選んで犯行に及んでいる。

子どもが狙われる性犯罪は、小学校からの帰宅時間に集中している。逆にいえば、性犯罪者が犯行を企てようとしているその時間帯には、特に注意が必要だ。

ここで取り上げるのは、『平成18年版犯罪白書』が「年少者を狙う性犯罪の実態」として、13歳未満の子どもが被害者となった性犯罪310件を抽出して分析した結果だ。

(写真:iStock.com/anurakpong)

まず犯行の手口を見てみる。310件のうち半分以上の173件が、「被害者に対して最初に何らかの言葉をかける」というものだ。成人女性への性犯罪は、有無を言わさぬ暴力的な襲撃が多いのとは対照的である。さらに、そのときの言葉かけは、どのようなものが多いのか、具体的に書かれている。

・道案内を請うもの

・着衣の乱れを注意するもの

・「かわいい猫がいる」などと動物の話題で興味を引くもの

・「有名人に会わせてあげる」「お金やお菓子をあげる」などの誘惑的言辞のもの

 

では、性犯罪者たちは、子どもたちを襲うにあたって、どのようにして機会をうかがっているのか。『犯罪白書』によれば、曜日別の事件数は以下のようになる。

・月曜日 52件

・火曜日 39件

・水曜日 54件

・木曜日 42件

・金曜日 40件

・土曜日 47件

・日曜日・祝日 25件

月曜日と水曜日が多く、日曜日・祝日が少ないというのが、一つの傾向である。

 

犯行の時間帯別の事件数は、次の通りだ。

・午前0時~6時台 4件

・午前7時~11時台 36件

・午後0時~午後1時台 41件

・午後2時~午後3時台 109件

・午後4時~午後5時台 87件

・午後6時~午後11時台 19件

子どもたちが、学校などから帰宅する時間帯に多発している。パターン化され、行動の予測がつきやすいからだろう。

塾などから帰宅する夕方以降の時間帯は、行動が子どもによってまちまちとなるためか、むしろ少ない。何度も触れてきたように、性犯罪者は、思いつきで衝動的に犯行に走るのではなく、周到な準備をし、執拗に機会を待ち続けるのである。

 

こうした時間帯や曜日についてのデータは、実際に性犯罪者が犯行に至る一種の傾向を示している。この年の『犯罪白書』は、次のようにまとめている。

犯行は平日が多く、犯行時間帯は午後2時台から4時台に集中し、犯行場所は路上が最も多かった。小学校の下校時間帯の帰宅途中で性犯罪被害に遭いやすく、年少者が一人になったときが特に危険であることがうかがわれる」

関連書籍

鈴木伸元『性犯罪者の頭の中』

平成24年、警察に届けられた強姦は1240件、強制わいせつは7263件。だが実際の被害は約10倍とも言われる。性犯罪者は「外見も気持ち悪い人」と思われがちだが、実は身なりも会話も普通で結婚しているケースも多い。そんな彼らはなぜ性犯罪をし続けるのか? 「強姦するたびに自分がレベルアップしていく感覚があった」と十数件の性犯罪を繰り返す者もいれば、性犯罪をやめられない自分を苦に自殺する者もいる。共通するのは日常生活での“満たされなさ”。その感情がどう変化していくのか。彼らを性犯罪へと駆り立てる心の闇を赤裸々に綴った一冊。

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性犯罪者の頭の中

著名な漫画原作者やタレントが逮捕されるなど、日々メディアを騒がせている性犯罪。こうした行為に手を染めるのは「粗暴で不気味な人」と思われがちですが、実態はかなり異なるようです。『性犯罪者の頭の中』は、そんな彼らの意外な素顔と、心の闇に迫った渾身のルポルタージュ。恐ろしい犯罪から自分やわが子を守るためにも読んでおきたい本書より、一部を抜粋してお届けします。

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鈴木伸元

1996年、東京大学教養学部卒業。同年NHK入局。報道番組ディレクター。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」などを担当。ギャラクシー賞の奨励賞を二度受賞。著書に『新聞消滅大国アメリカ』『加害者家族』(ともに幻冬舎新書)、『生活保護3兆円の衝撃』(共著、宝島SUGOI文庫) がある。

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