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感情バカ

2020.09.05 公開 ポスト

心理学で判明!競馬の最終レースは「本命」に賭けたほうがおトク和田秀樹

「感情の動物」と呼ばれる私たち。喜びや楽しみがあるからこそ、人生は豊かになります。ところが怒りや不安などのネガティブな感情、あるいは自分でも気づかない服従、同調、損失回避といった感情のせいで、どんなに知的な人でもバカな判断をすることがあります。そんな「感情バカ」のメカニズムを解き明かし、バカにならないためのコツを教えてくれるのが、精神科医の和田秀樹さんが贈る『感情バカ』です。その中から、とくに私たちが陥りやすい感情をご紹介しましょう。

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日本の選挙はなぜ「現職」が強いのか

「損失回避性」という心理は、人間の判断に影響を与えることがわかっています。その一つが「現状維持バイアス」です。

たとえば「自民党がいろいろな問題を起こしたところで、自民党政権が潰れたり、あるいは安倍首相が辞めたりしたら、今よりももっと悪くなるんじゃないか」という心理から、つい現職に投票してしまうのが、「現状維持バイアス」です。

(写真:iStock.com/Sportlibrary)

日本の選挙は「現職が強い」と、よく言われます。

アメリカの大統領選挙は、一年かけて行われます。有権者は一年という長い期間の中で、じっくりと候補者を選ぶことができます。これに対して日本の国会議員の選挙は、二週間程度の短い期間で選ばなくてはならないので、どうしても知名度の高い人に票が集まりやすくなります

知名度の高さで言えば現職が有利であり、あるいはテレビで顔を知られているタレントも有利ということになります。

しかし、現職が強い理由はそれだけでなく、そこにはやはり、「損失回避性」という心理が働いていると思われます。その人がよほど悪いことをしたとか、スキャンダルを起こしたとか、人格的に問題があるといったことがないかぎりは、ついつい「現状維持でいいんじゃないか」という心理が働いてしまうわけです。

 

あるいは、多少批判があったとしても、5選ぐらいしている候補だと、「今までも特に大きな問題もなかったし、ここで新しい人を選んで良くない結果になるよりも、現状維持でいいや」と思って一票を投じてしまうこともあるでしょう。日本の選挙運動期間の短さが、その心理に一層拍車をかけていると思われます。

つまり、人間は、損をすることを無意識に恐れ、あるいは「現状維持のほうがいいんじゃないか」という感情が働いて、それによって判断をしてしまうということです。そういう意味で、損失回避性や、現状維持バイアスが働いている状態というのは、ある種の感情的な状態であると言えます。

「現状維持バイアス」が崩れるとき

ただし、この現状維持バイアスが崩れることもあります。

たとえば、アメリカの大統領選挙でドナルド・トランプ氏が選ばれたとか、あるいはイギリス国民がEUからの離脱を求めたといったことは、その一例と言えます。アメリカやイギリスにかぎらず、最近はいろいろな国で、現状維持バイアスが崩れて新しいものを求めているという状況があります。

(写真:iStock.com/BBuilder)

では、現状維持バイアスは、どのようなときに崩れるのでしょうか。これについても、心理学の研究があります。それによれば、人間は損失局面では、現状維持や手堅いほうよりも、思い切ったほうを選ぶことがあるというのです。

これは行動経済学にかぎったことではありません。よく言われるのが、競馬や競輪などのギャンブルでの、「最終レースは本命に賭けたほうが得」といった法則です。

すでにすごく損をしているのだからそろそろやめればいいのに、逆に、ものすごく損をしているからといって、当たれば大きな利益を得られる大穴に賭けて、それで損を取り戻そうとする心理があります。これまでの損を大ばくちで取り戻そうという心理で、ギャンブル依存症の人などによく見られます。

これは、典型的な大損をするパターンなのですが、人間はそういうことをついやってしまうということが知られています。

 

たとえば競馬で1日12レースあるとします。11レースが終わった時点で、儲かっている人はあまりいないのが現実です。その場合、負けている人たちは、「手堅い本命に賭けて負けを少しでも減らそう」という気持ちにはなかなかなれず、「最後のレースは大ばくちを打って、これまでの損を埋めよう」と大穴狙いをしがちです。

そうすると何が起こるか。負けているたくさんの人たちが穴馬の馬券を買うので、穴馬のオッズ(予想配当率)が下がり、本命馬のオッズが上がってしまうのです。たとえば、通常なら2倍くらいのオッズになる本命馬が、3倍、4倍のオッズになったりするということです。

本命馬は、期待値が高いことは言うまでもありません。つまり、もともと勝つ確率が高いところ、穴馬を狙う人が多いためにさらにオッズが高くなるので、やはり「最終レースは本命に賭けたほうが得」であると言えるわけです。

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この続きは幻冬舎新書『感情バカ』でお楽しみください。

関連書籍

和田秀樹『感情バカ 人に愚かな判断をさせる意識・無意識のメカニズム』

喜びや楽しみの感情があるから人生は豊かになり、怒りや哀しみも生きるバネになる。だが、感情が過剰になり理性とのバランスを失うと、どんなに知的な人でも、信じられないほど愚かな判断をする「感情バカ」になる。しかも怒り・不安のような意識できる感情だけが問題なのではない。自分では気づかず無意識のうちに感情的になることで、「服従」「同調」「損失回避」など心のクセが働き、判断はゆがんでしまうのだ。「感情バカ」のメカニズムを解き明かし、感情のせいで苦しむ・損する人生を抜け出す方法をアドバイス。

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「感情の動物」と呼ばれる私たち。喜びや楽しみがあるからこそ、人生は豊かになります。ところが怒りや不安といったネガティブな感情や、自分でも気づかない服従、同調、損失回避といった感情のせいで、どんなに知的な人でも「バカな判断」をすることがあります。そんな「感情バカ」のメカニズムを解き明かし、バカにならないコツを教えてくれるのが、精神科医・和田秀樹さんの『感情バカ』です。その中でも、私たちがとくに陥りやすい感情をご紹介しましょう。

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和田秀樹

一九六〇年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、三十年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『マスクを外す日のために』『バカとは何か』『感情バカ』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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