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日本・破綻寸前

2020.11.23 公開 ツイート

来たるべきハイパーインフレに備え「いま買っておくべき株」は? 藤巻健史

新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。

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なぜ日本株ばかり買うのか?

株の購入も不動産同様、一般的にはインフレ対策と言われています。株の場合、不動産と同様の動きが「会社がつぶれなければ」起こります。Xデーで一時、大幅下落しても、そこからインフレ加速で大幅上昇すると思います。

(写真:iStock.com/bee32)

しかしつぶれてしまった企業の株は、紙っぺらのままで戻ってはくれないのです。Xデーのときにつぶれるか生き残るかの見極めが重要です。昔、絶対大丈夫だと思っていた日本航空や東電が、一度は実質的に破綻しました。大企業だから大丈夫、という単純なものではありません。

一般論で言えば、輸出産業の会社は生き延びるでしょう。また、輸入品と競合する製品を作っている会社も、円暴落で輸入品が高騰しますから、生き延びる可能性が高いと思います。もっとも、ぜいたく品は安くとも購入する人が激減するでしょうから、そのような品に専念している会社は難しいと思います。

一番のポイントは、経営者が、きちんと日本の財政状況を認識し、外貨建て資産を購入したり、借金を増やしたり、外資系企業を買収するなど、それなりの備えをしている企業であるかということです。生き延びた企業の株はハイパーインフレで急伸するでしょう。

いつも思うのは、日本人はどうして日本株ばかり買うのだろう? ということです。私の著作をずっと読んでくださった方はおわかりだと思いますが、この20年間、私は一貫して「金持ちになりたかったら、強い国のリスク資産を買え」と主張してきました。その主張に賛同してくださった方は、かなり資産を増やされたと思います。

もっとも、私自身は「日本にXデーが来たら、さすがに米国株もかなりの下押しをするだろう」と思い、数年前に米国株から完全撤退してしまいました。米国株が急騰する前に売ってしまったので、資産を増やし損ないました。完璧な失敗です。

海外不動産のほうは結果オーライですが、米国株のほうが、投入額が大きかっただけに残念至極です。ただ、ディーラーですから、頭の切り替えは早いです。そうでないと間違いなくノイローゼになります。ですから今は笑い話で済ませています。

日本株は「五輪前」に崩れる?

1989年末に3万8915円をつけた日経平均株価は、約30年後の現在(2020年1月30日現在)2万2978円で約6割の水準です。一方、当時2753ドルだったNYダウは現在2万8859ドルで10・5倍です。一方、為替は1989年末のドル/円は1ドル=143・40円。2019年12月25日のドル/円は1ドル=109・40円です。

(写真:iStock.com/Petrovich9)

私はこの30年間ドル高を予想していましたので、「フジマキの逆張りをすれば儲かる」とか「曲がり屋フジマキ」とかよく言われます。しかし為替で24%損しても、株が10・5倍になっていれば、日本円では8倍になります。日本株に投資して60%に目減りするより、為替リスクをとったほうが、よほどに成功だったと思っています。これを書いていたら、米国株を早く売りすぎたのが、やっぱり悔しくなってきました。悔し~!!(苦笑)

米国経済は先に述べたように、市場が思っているより、よほど強いと私は思います。日本のバブルと同じ資産効果が働くからです。

私の感覚では、1985年から1990年まで続いた日本のバブル期でたとえれば、1988年頃なのかな? と思っています。ただこれは感覚論であり、明日崩れるかもしれないし、崩れるのは5年後かもしれません。

でも今はバブル期の佳境に入っていく雰囲気です。まだまだ上がる可能性は大ありですが、以上のことを頭に入れ、どうしても買いたいのなら、いつでも撤退できる準備をしながら「こわごわ買っていただければ」と思います。日本のバブル期のようにイケイケドンドンの気持ちだけですと、足をすくわれます。

日本株も米国株につられて、また円安で、当面上昇することが充分考えられます。

しかし日本株に関していえば、Xデーが来て日本売りの可能性があることに充分ご注意ください。また、非常に多くの人が「日本の景気はオリンピックまでは持つだろう」と言っていることも気がかりです。

2019年12月26日のブルームバーグの記事によると、日銀の黒田東彦総裁が、都内で開かれた経団連の会合で「東京五輪後の日本経済について『過度に悲観的になる必要はない』」と発言されたそうです。

ということは、現状では多くの人が悲観していると日銀も思っているのでしょう。もし、皆がそう思っているのなら、日本株は五輪前に崩れると思います。投資家は五輪まで売却を待ちません。他人より半歩早く売ろうとするからです。

その対策に五輪後、異次元緩和の深掘りと、さらなる財政出動をするのなら、株価は当面維持されるでしょうが、膿はさらに溜まり、日本の将来は真っ暗となります。

関連書籍

藤巻健史『日本・破綻寸前 自分のお金はこうして守れ!』

日本経済は年々悪くなっているのに、日銀はお金のばらまきをやめず、社会保障費なども増加する一方で、日本財政がよくなる兆しはまったくない。「日本の財政が破綻する日(=Xデー)はいつ起きてもおかしくない」と著者。Xデーが起きたとき、政府は守ってくれないし、自分のお金は自分で守るしかない。本書では著者の資産運用法を公開し、読者にも、ハイパーインフレが起きても大丈夫な手法を具体的に伝授。

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日本・破綻寸前

新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。

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藤巻健史

1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表などを歴任し、東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。
2000年にモルガン銀行を退職後、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。現在、株式会社フジマキ・ジャパン代表取締役。東洋学園大学理事。

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