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日本・破綻寸前

2020.11.19 公開 ツイート

これから起こるハイパーインフレに備え「ドル資産」という保険をかけよう 藤巻健史

新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。

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今は「保険」がお買い得

これからお勧めするアクションは、「火事に対する保険と同じ」です。保険をかけておいて「火事が起こらなくて損した!」と怒る人はいないはずです。「保険料は損したけど火事が起こらなくてよかった」と思うのが普通の人です。

(写真:iStock.com/Dian_S_Cahya)

火事の起こる確率が1%か2%なら火災保険をかけないのも、一つの見識でしょう。しかし火事が起こる確率が20~30%に上っていると思ったら、普通の人は火災保険をかけると思います。

ここまで日本の財政が悪化し、日銀がメタボになった以上、私は保険をかける時期に来ていると思います。私自身は火事(に相当するXデー)が起こる確率は20~30%どころではない、かなり高いと思っています。いつ起こるかの時間的な問題のみです。だとすると保険はかけておくべきだと思うのです。

その上、今ドル/円はかなり低いところにあると思っています。円が強すぎるということです。日本にXデーが来ても来なくても、今後米国経済と日本経済の差はますます拡大していくと思うので、いずれ円安が進行すると思います。

ということは、今は、強い円でドル資産を買う、ドル資産という保険を安く買えるということです。保険料が安いのですからドル資産(=保険)は今、お買い得だと思います。

これだけ財政が悪く、日銀がメタボという異常事態なのですから、今は「資産を増やす」ときではなく、「守る」ときだとも思います。A社株がよいかB社株のほうがよいかなどと悩んでいるときでもないと思います。どういうポートフォーリオを組むか、またどういう金融商品を組み入れるかを考えるべき時期なのです。

2019年2月26日の日経新聞2面に、ジョージ・ソロス氏と一緒に「クォンタム・ファンド」を立ち上げた、ジム・ロジャーズ氏のインタビューが載っていました。

「副作用が強く、正気でない金融緩和に世界の中央銀行は手をつけるべきではなかった」「日本株は7~8年前まで保有していたが、昨年秋にすべて売った。株も通貨も日本関係の資産は何も持っていない。(中略)日銀が大量のお金を刷り続け、日本株や国債を買い支えているのも売りの原因だ」

A社株がよいかB社株がよいかという選択ではなく、ジム・ロジャーズ氏が「日本関係のモノはすべて売った」と言うように、どの国から撤退し、どの国の資産を積極的に買っていくか等の、「資産の枠組み」を真剣に考えるべきときだということです。

いつか「ドル資産」がものを言う

私がお勧めする第一は「ドル資産を持つこと」です。「ドル資産を持つ」とは「日本の危機に対する保険を買うこと」なのです。円資産しか保有していない方は、倒産しそうな会社に勤めている人が「全資産を、その会社の自社株とその会社の社内預金にしている」ようなものと思えてしまいます。

(写真:iStock.com/scyther5)

仮に「この本で書いたことが大はずれだった」とします。それは日本国民にとっても、私にとっても大変うれしいことです。私自身、Xデーに備えてはいますが、実際にXデーが到来すれば、(準備していない方に比べて損害が小さくて済むというだけで)少なからずダメージを被ります。

一方、この本に書いたことが大はずれで、日本経済が順調な発展をとげ、世界の成長に追いつくとすれば、円は強くなる可能性大です。110円で買ったドルが、円高ドル安で為替で20円の損をするかもしれません。

しかし、いいではありませんか。日本経済が回復すれば給料も年金もきっと上がるでしょう。失業の恐れもありません。円預金も無効になることなく、高い金利をもらえます。持ち家があればその価格も上昇します。日本株も上がります。唯一、損をするとすれば、為替だけなのです。この為替の損こそが、火事に対する火災保険料です。

一方、万が一、この本で書いたことが当たってしまった場合、仕事は失うわ、年金はなくなるわ、円預金も無価値になるわ、日本株は暴落するわで、大変なことになります。

政府の援助に頼ろうにも、政府が一番、危ないのです。第1次世界大戦後のドイツの場合のように、餓死の危険さえあるかもしれません。

そんなときにドルさえ持っていれば、暴騰したドルを切り売りしていけば、何とかなるのです。まさにドル資産の保有は、保険を買うことと同じなのです。

関連書籍

藤巻健史『日本・破綻寸前 自分のお金はこうして守れ!』

日本経済は年々悪くなっているのに、日銀はお金のばらまきをやめず、社会保障費なども増加する一方で、日本財政がよくなる兆しはまったくない。「日本の財政が破綻する日(=Xデー)はいつ起きてもおかしくない」と著者。Xデーが起きたとき、政府は守ってくれないし、自分のお金は自分で守るしかない。本書では著者の資産運用法を公開し、読者にも、ハイパーインフレが起きても大丈夫な手法を具体的に伝授。

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日本・破綻寸前

新型コロナによって大打撃を受けている日本経済。「この国の財政が破綻する日は、いつ来てもおかしくない」と警鐘を鳴らすのは、経済評論家で元参議院議員の藤巻健史さんだ。著書『日本・破綻寸前』は、いかに日本経済が瀬戸際まで来ているかを豊富なデータをもとに解説。さらに、ハイパーインフレが到来したときの「自分のお金の守り方」まで具体的に伝授してくれる。そんな本書から、ぜひ押さえておきたいポイントをご紹介しよう。

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藤巻健史

1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表などを歴任し、東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。
2000年にモルガン銀行を退職後、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。現在、株式会社フジマキ・ジャパン代表取締役。東洋学園大学理事。

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