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やまゆり園事件

2020.07.22 更新 ツイート

記者座談会第1回(全3回)

僕たちが4年間問い続けてきたこと 神奈川新聞取材班

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された「やまゆり園事件」。神奈川新聞取材班が、地元紙として4年にわたり取材を続けてきた記録が『やまゆり園事件』として刊行されました。差別と偏見、優生思想、匿名報道ほか、事件が突きつけた重い問いに、何を考え、悩み、迷い、向き合ったのか。執筆にあたった記者たちがその思いを率直に語った座談会を、3回にわたってお届けします。(構成:大山くまお  写真:神奈川新聞社)

*   *   *

――最初に皆さんの自己紹介をお願いします。今のお仕事と書籍『やまゆり園事件』の中で、何章を担当されたのかを教えてください。

石川泰大記者

石川 2019年5月から県政担当として県庁の取材を担当しています。2016年7月に事件が発生したときは本社報道部の遊軍という部署に属していたので現場に一番に行くことになりました。その後は、逮捕された植松聖死刑囚(以下、植松と省略)と接見を重ねるとともに、被害者とそのご家族なども含め、事件から4年間取材を続けてきました。そういったことから、今年1月に始まった裁判では県政担当を一度外れ、取材班の一人として全ての裁判を傍聴しました。

書籍では一章「2016年7月26日」と二章「植松聖という人間」の執筆を担当しました。これまでの取材で得た情報をまとめた事件の概要や植松の生い立ち、私の目を通した「植松像」を接見記として書かせていただきました。

川島 本社の報道部で遊軍という部署に所属していまして、いわゆる何でも屋です。今は新型コロナウイルスの記事を書いたり、終戦七五年関連の企画を準備したりしています。

川島秀宜記者
川島秀宜記者

書籍では三章「匿名裁判」と四章「優生思想」の執筆を担当しました。被害者が今回、基本的に匿名裁判で審理されたのですが、その匿名が定着してしまった背景を三章で書きました。四章は植松の優生思想がこの社会とどうリンクしているかということに着眼して書いています。

田中 今年の春から遊軍のキャップということで現場に戻りまして、今は川島と同じ部署に所属しています。

田中大樹記者
 

書籍では、川島が書いた三章と四章のデスク、五章「共に生きる」のデスクを手分けして、それと終章「『分ける社会』を変える」のデスクを担当しました。デスクとは、企画を現場と一緒にもみながら作っていき、何を取材するかを考えたり、あとは現場が書いてきた原稿をチェックしたりする仕事です。書籍の世界での書き手に対する編集者みたいな存在ですね。

神奈川新聞取材班『やまゆり園事件』

「植松聖」とは誰なのか? 2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が刃物で刺され死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った。犯人は、元職員の植松聖。当時26歳。「重度障害者は不幸をばらまく、生きるに値しない存在」――彼の強烈な差別意識はなぜ生まれたのか? これは「特異な考えの持ち主」による「特異な事件」だったのか? 植松死刑囚との37回の接見ほか、地元紙記者が迷い、悩みながら懸命に取材を続けた4年間のドキュメント。

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やまゆり園事件

〈目次〉
第1章 2016年7月26日
未明の襲撃/伏せられた実名と19人の人柄/拘置所から届いた手記とイラスト

第2章 植松聖という人間
植松死刑囚の生い立ち/アクリル板越しに見た素顔/遺族がぶつけた思い/「被告を死刑とする」

第3章 匿名裁判
記号になった被害者/実名の意味/19人の生きた証し

第4章 優生思想
「生きるに値しない命」という思想/強制不妊とやまゆり園事件/能力主義の陰で/死刑と植松の命

第5章 共に生きる
被害者はいま/ある施設長の告白/揺れるやまゆり園/訪問の家の実践/“成就”した反対運動/分けない教育/学校は変われるか/共生の学び舎/呼吸器の子「地域で学びたい」/言葉で意思疎通できなくても/横田弘とやまゆり園事件

終章「分ける社会」を変える

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