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13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう

2020.07.21 更新 ツイート

長篠の戦い パート2

パパ武田信玄が死んで、息子勝頼、頑張る。それも、信長と家康が敵だよ!の巻房野史典〔ブロードキャスト!!〕

武田信玄の急死で、信長と家康はやったー!な感じになりました。
でも、信玄の息子は諦めません!

世にも有名なこの戦について、
『超現代語訳 戦国時代』の房野史典さんに、ばっちり解説していただきましょう!

*   *   *

【長篠の戦い】パート2
すみません、こちら騎馬隊ですが……鉄砲の数すごいんだけど、突撃しろと?

 

さて、長篠の戦いパート2です。
じゃ、まずはおさらいから!

武田信玄さんお亡くなりに。

家康は、「やったー!」

信長は、2度の包囲網でヘロヘロ真っ最中だったので、さらに「やったー!」

2人暴れまくり。しかし……


武田がいなくなったわけじゃありません。

そう、亡くなったのは"武田信玄"その人で、"武田家"が消えたわけじゃないんです。

信玄には、

武田勝頼

という息子がいます。

今度は、その武田ジュニアが、


武田勝頼「信長! 家康! 次はこのオレが相手だ!!」


的な感じで攻めこんでくるから、武田とのバトルはまだまだぜーんぜん終わりません。

信玄パパに負けず劣らずの勢いで、信長や家康の領地を奪っていく勝頼。
そんな彼が、次のターゲットに選んだのが、

長篠城(愛知県新城市)と奥平信昌(こんとき貞昌)。

このときから、『長篠の戦い』のイントロが流れ始めます。


「長篠城? 奥平? なんだそれは?」

確かに。よくわかりませんよね。
でもとりあえず、長篠城と奥平さんが家康側のお城と武将だった。ってことだけをわかっといてもらえたらオッケーです。

そしてもう1つ。
信玄が三河に侵攻してきたときには、長篠城と奥平も武田に奪われた。けど、信玄が死んで家康がそれをまた取り返した。というのも知っておいてもらえると助かります。

んで。
それをまたまた勝頼が奪い返そうとしてる、ってのがこのときの状況です。

長篠城は、三河、遠江、信濃(長野県)をむすぶ交通の要衝(大切な地点)にある城なんです。当然、なんとしても手に入れたい。
そして今、長篠城を守っているのは、武田を裏切り徳川に寝返った奥平(これまでは違ったよ)。こいつのことは、ガチで許せない。

落としたい城とシバきたい相手がセットになってるなんて、いちご大福と同等の夢のコラボ。

てなわけで、全力で長篠城を攻める勝頼くん。

長篠城の東に「鳶ノ巣砦(or鳶ヶ巣砦)」ってのをつくり、自分は北側にスタンバイ。
城の兵約500に対し、

1万5000の軍勢

で長篠城を取り囲むんですね(どちらの兵数も諸説あり)。

(写真:iStock.com/Zeferli)


家康「ダメーーーーーーー!!!」


となります家康は。

攻めづらいお城ですから、すぐには落ちません。でも、兵力差は30倍。


家康「時間の問題ーーーーー!!」


です。

なんとか長篠城を救わなければ……。しかし、徳川だけでは武田と戦える兵力がそろわない。となれば……


家康「信長さーん! 援軍お願いしまーーーす!!」


やっぱり信長を頼るんですね。

すると信長、

「これは武田をぶっつぶせるチャンスだ!」

と思ったのか、

「今まで自分の戦いが大変すぎて、家康からの援軍要請に満足にこたえたことなかったな……。次もそれだと、家康から「お友達やめましょ」って言われるかも……」

と思ったのか、どれがホンネかはよくわかんねーけど、家康のいる岡崎城(愛知県)になんと、

3万の兵

を率いて駆けつけるんです(兵数諸説ありです)。

あっちがその気ならこっちもと、まるでオークションのように膨れ上がった兵の数。
結果、織田・徳川連合軍は3万8000という大軍で、岡崎城を出発したのでした。


少し話しはそれますが……


『長篠の戦い』での家康の印象って、「あーそういやいたな……」くらいの感じじゃありません?

しかし、読んでもらったように、実際の『長篠の戦い』ってのは「家康 VS 武田」の領地争いで、本当は家康の戦いなんです。信長はあくまで"援軍で呼ばれた人"。

だけど、3万という大軍をぶっ込んだ信長が、織田・徳川連合軍のリーダーとなっちゃって、いつのまにかこの戦いを全部持っていっちゃったんですね。

おかげで、現代の教科書や物語で語られる『長篠の戦い』は、ほぼ信長一色。良くも悪くも、主人公感ハンパじゃありません。


話しを戻しましょう。


武田との決着をつけるべく、長篠城の西「設楽原」ってとこに到着した織田・徳川連合軍。
設楽原を見渡した信長と家康は言います。

信長「デッコボコだね」

家康「デッコボコすね」

言ってません。が、たしかに設楽原は、"原"とは言いつつ、かなりデコボコな地形(いわゆる丘陵地ってやつ)。
そこに目をつけた信長は、


信長「よし! この地形を利用して、陣地をつくんぞ!!」


"設楽原の全面プロデュース"に取りかかるんです。


騎馬隊の攻撃を防ぐための柵をたて("馬防柵"って言います)、
地面をけずって土の堤防をつくり("土塁"って言います)、
軍勢をバラバラに配置。

そのさまは、あたかも"設楽原"という名の要塞です(こういうのを"野戦築城"って言うよ)。

それに加え、用意された火縄銃の数がとんでもありません。戦国のこれまでの戦いで使用されてきた鉄砲の数を、ケタ違いに上回る

3000挺——。

攻めてきた敵を一人たりとも逃さない、さしずめ”火薬"という名のクモの巣です("火薬"という名のクモの巣って何ですか?)

準備は整いました。あとは武田軍が攻めて来るのを待つだけ。
勝頼がこの地に足を踏み入れたが最後、信長たちの勝利は確定。

ただ、1つだけ問題が。


攻めて来なかったら……

どうしよう?


勝頼「だーから大丈夫だって!! 勝てるって! オレらも設楽原行くぞ!!」


来てくれるみたい。

勝頼は、信玄時代からの家臣たちが反対するのも聞かず、設楽原に移動してスタンバイ。小川(連吾川)をはさんで、織田・徳川連合軍と対峙したのでした。


信長「きたぁーーー!!! これは天が与えた大チャンスだ!!」


歓喜にふるえる信長。勝利がグゥッと近いたところで、


信長「会議に入る! 作戦練っていくぞ!」


織田・徳川の合同会議を開きます。


酒井忠次(家康の家臣)「鳶ノ巣砦を奇襲しましょう! ここを崩せば、長篠城を救うことができるし、武田軍の退路を断つことにもなります!」

信長「なんだそのアイデアは……? 話にならん! 会議は終わり、解散!」

忠次「そんな……(肩を落としながら、その場をあとにする忠次)」

信長「酒井! ちょっと戻ってこい。……さっきの案、素晴らしかったぞ」

忠次「え」

信長「会議に武田のスパイがまぎれこんでるかもしれんからな、お前の意見を一蹴した。だが、オレも鳶ノ巣砦を奇襲するべきだと思う。そして、その役割をお前に任せる」

忠次「あ……はい!!」


なんか缶コーヒーのCMっぽい(雰囲気が)。

酒井忠次は、徳川四天王と言われる家康の片腕です。そんな忠次と信長との、かなりしびれるエピソード……なんだけど、信憑性はうすいんです(紹介しといてごめんなさい)。

ただ、酒井忠次が別働隊をひきいて、鳶ノ巣砦にむかったのはホント。
深夜にこそーっと鳶ノ巣砦の背後にまわり、夜が明けると、

忠次「かかれぇぇーーーーーー!!!」

奇襲をかけ、いくつかあった砦たちを、バン! バン! バン! バン!! と、すべて落とすことに成功します。
これで、長篠城の救出という、本来の目的は果たせました。


そして、信長、家康、勝頼がそろったメイン会場では……


勝頼「織田、徳川を蹴ちらせぇぇぇーーーーー!!!!」


……パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ!!

勝頼が織田・徳川連合軍への攻撃を開始。

しかし……

織田家臣「鉄砲隊かまえ!!」

ザッ! カチャ……

敵をめがけ、突撃を繰り返す武田騎馬隊は、

織田家臣「はなてぇぇぇーーーーー!!!」

ババババババーーーーーーン!!!!!

武田騎馬隊「グゥワァァァーーーーー!!!!」

鉄砲で

織田家臣「はなてぇぇぇーーーーー!!!」

ババババババーーーーーーン!!!!!

武田騎馬隊「グゥワァァァーーーーー!!!!」

鉄砲で……!

ババババババババーーーーーーン!!!!!
ヌゥワァァァーーーーーー!!!!!

鉄砲で……!!
ババババババババーーーーーーーン!!!!!!
ウヮアァァァァーーーーーーー!!!!!!!
鉄砲で……!!!
ババババババババババーーーーーーーン!!!!!!

入れ替わり立ち替わり攻め寄せる武田騎馬隊は、入れ替わり立ち替わり放たれる無数の弾丸によって、次々と倒されていったんです。

当時の鉄砲は、1発を放つまでの準備に30~40秒くらいはかかったそう。鉄砲隊がいたとしても、その準備の隙をつき、

「突撃すりゃなんとかなる!」

ってのがセオリーだったんですが……織田・徳川連合軍の鉄砲の数は、その常識を見事に破壊していったんですね。

信長の用意したディフェンス(馬防柵)とオフェンス(鉄砲)の前に、武田騎馬軍団の最強神話は崩壊。
代わりに待っていたのは、優秀な家臣団とおびただしい兵の喪失です。

やがて、自軍の敗北を悟った勝頼は、戦場から撤退。
この瞬間、織田・徳川連合軍の歴史的勝利が決定したのでした。


と、いうわけで、以上が『長篠の戦い』のおおまかな流れでございます。

しかし、実はまだ超重要な部分に、1つも触れてません。

次回お届けするのは『長篠の戦い』の核心部分。キーワードはもちろん、

「鉄砲」です。

 

てなことで、次回までに幻冬舎plusの会員登録よろしくお願いいたします!
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13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう

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房野史典〔ブロードキャスト!!〕

1980年岡山県生まれ。名古屋学院大学卒業。お笑いコンビ「ブロードキャスト!!」のツッコミ担当。 無類の戦国武将好きで、歴史好き芸人ユニット「ロクモンジャー」を結成し、歴史活動にも意欲的。 子供たちに歴史の面白さを教える授業も好評。初の著書『笑って泣いてドラマチックに学ぶ 超現代語訳 戦国時代』で、ブレイク! 戦国に始まり、『笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語』『時空を超えて面白い! 戦国武将の超絶カッコいい話』など著書あり。

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